韓国叩きワイドショーの自国棚上げが酷い!「韓国メディアは圧力で政権批判できない」安倍政権の不正に沈黙してどの口が

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ワイドショーは口利き疑惑をほとんどスルー(上野宏史・前厚労政務官の公式サイトより)


 約2カ月にもわたって連日ワイドショーがつづけている嫌韓報道。そもそも安倍政権が嫌韓政策を仕掛け、韓国が何度も対話を呼びかけていたのに日本が無視したことで起こったGSOMIA破棄を「韓国は感情的だ!」とそれこそ感情的な論調で一方的にバッシング。そして、ここにきてワイドショーが血道をあげて取り上げているのが、文在寅大統領の側近で法相候補に指名されている曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官の疑惑だ。

 ワイドショーは、曺氏に持ち上がった娘の不正な大学入学や奨学金受領疑惑をはじめ、息子の兵役逃れ、家族ぐるみのファンド運営などを熱心に伝え、玉ねぎのように皮をむいてもむいても疑惑が噴出することから名付けられた「タマネギ男」という呼称を嬉々として連発し、『ひるおび!』(TBS)では八代英輝弁護士が「(曺氏は)反日の急先鋒」と“解説”。さらに、あらゆる番組が「GSOMIAを破棄したのは曺氏のスキャンダル隠しのためだった」という韓国右派メディアの論調に丸乗っかりして文政権を非難している。

 だが、この国のワイドショーは「タマネギ男に新疑惑!」「反日で醜聞隠しか」などと隣国のスキャンダルを連日力を入れて特集する一方、自国の重大な不正、スキャンダルには目を瞑る方針らしい。例の前厚生労働政務官である上野宏史衆院議員の口利き疑惑がますます深まっているのに、ほとんどの番組は無視を決め込んでいるのだ。

 本サイトでも取り上げたが、上野厚労政務官の口利き疑惑をスクープしたのは、21日に発売された「週刊文春」(文藝春秋)。その内容は、人材派遣会社であるネオキャリアが在留資格を申請している外国人について法務省に問い合わせするなどし、その見返りに金銭を求めていたというものだ。

 もし上野厚労政務官がネオキャリアから見返りを得ていたとなれば、上野厚労政務官はあっせん利得処罰法違反にあたるのは明々白々。しかも「週刊文春」は、発売に合わせて上野氏本人が秘書に「だってこれ、うちがネオキャリアからお金もらう案件になっているんだから」などと語っている音声を公開、さらには秘書に当たり散らす“パワハラ”の模様も伝えていた。

 だが、これだけ“ネタ”が揃った政務三役による疑惑だというのに、ワイドショーは無視を決め込んで嫌韓報道に終始した。

 しかも、上野氏は報道以降、当番日でも厚労省に登庁しなくなり、28日になって突如、辞表を提出。永田町では「内閣改造が間近に控えているわけだから、普通なら、それまで居座るはず。それすらできずに、このタイミングで辞任するということは、相当黒いということだろう。刑事事件に発展する可能性もある」という見方も広がっていた。

 しかし、それでも、この問題を取り上げた番組はわずか。トップで伝えたのは『バイキング』(フジテレビ)だけという状態で、『ひるおび!』(TBS)と『ゴゴスマ〜GO GO!Smile!〜』(CBCテレビ)は取り上げたものの、それも韓国バッシングをみっちり伝えた後のことで、熱の入れようは雲泥の差。そして、そのほかの番組はほとんどが一言二言コメントするだけか、コメントさえないストレートニュースのコーナーで消化したのだった。

安倍政権の厚労政務官口利き問題を無視して、文在寅側近の不正に大騒ぎ

 言っておくが、上野氏の問題は、ワイドショー的にツッコミどころが満載というだけでなく、刑事事件の可能性もある重大不正であり、国民に対して説明責任をまったく果たしていない。

 たとえば、辞任に際して上野氏は「不正なことはしていないが、迷惑をかけたくない」と語っていたといい、その上、辞任理由は「誤解を招きかねないとの指摘があり、体調を崩し役所に出ることもままならない」と文書で発表しただけで、説明会見さえ開いていないのだ。

 そして、もっとも重要なことは、外国人労働者の受け入れ拡大は安倍首相の肝いりで強引に押し通されたものであって、それをさっそく安倍政権の政務官が食い物にし、私腹を肥やそうとしていたという事実だ。にもかかわらず、安倍政権は政務官を辞任させただけ。菅義偉官房長官にいたっては「法治国家なので(警察や検察など)そこで対応されるだろうと思う」と言い、疑惑にかんする調査はおこなわないと宣言したのである。

 まったく信じがたい無責任ぶりだが、この安倍政権の態度を批判もせず、ワイドショーは「タマネギ男に新疑惑!」などと大はしゃぎし、さらに上野氏が辞任した翌日29日などは朴槿恵・前大統領の裁判を生中継で伝えるという、一体ここはどこの国なのか錯覚しそうな報道体制をとったのである。

 上野氏の問題だけではない。曺氏のスキャンダルをワイドショーが熱を上げて報じているさまを見ていると、「自国の問題の棚上げぶり」への無自覚さに頭がクラクラしてくる。

 たとえば、ワイドショーは曺氏が「娘を不正に大学入学させた」とがなり立てるが、昨年問題になった東京医科大学の不正入試問題では、国会議員を含む複数の政治家が口利きをおこなっていたことが報告書でも指摘された。だが、このとき、その政治家が誰なのかとワイドショーが徹底追及する動きなど、まったく起こらなかった。

 さらに、韓国右派メディアの主張のまま「GSOMIA破棄は曺氏のスキャンダル隠し」と決めつける報道もどうかしているが、言っておくが日本では、安倍首相が森友・加計問題という私物化疑惑の国会追及から逃げるためだけに国会を冒頭解散し、「国難突破だ!」などと勝手に宣言して総選挙をおこなうという、とんでもない「スキャンダル隠し」をやってのけたのだ。そして、そのときワイドショーは何をしたというのか。御用ジャーナリストをスタジオに呼んでもっともらしく正当化させ、「政局」の問題としてお茶を濁しただけだったではないか。

「韓国の検察トップは大統領の肝いり」「検察が政権の意向を忖度」といった批判も同様だ。日本の検察がこの間、安倍政権の不正・スキャンダルをどれだけ不問にしてきたかをマスコミが知らないはずはないだろう。それを完全に棚に上げて、さも韓国を司法が機能していない民主主義後進国家のように上から目線で叩くのだから、呆れるほかはない。

「韓国のメディアは政権批判できない」に金慶珠が「報道の自由ランクは韓国63位、日本72位」

 極めつきは、「韓国のマスコミには言論の自由がない」という批判が飛び出したことだ。30日放送の『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)では、「政権がメディアに圧力」「テレビでは政権批判できない」と、批判しだす始末。安倍政権の言論弾圧体質や、政権とメディアトップの癒着、右へ倣えで政権の意向を忖度してきた自分たちの報道の自由の放棄を忘れたのか。

 ちなみに、この日の『グッディ』では、前日『ゴゴスマ』で東国原英夫にひどいヘイト攻撃を浴びせられた金慶珠・東海大学教授が出演しており、韓国メディアの問題でこんな指摘をしていた。

「ちなみにね、国境なき記者団という世界的なNGOが、報道の自由ランキングっていうのを毎年発表しているんですけれども、韓国は63位(2017年の順位。2019年=41位)、日本は72位(2017年。2019年=67位)なので。まあ一概に『韓国は規制がすごくて、日本は言論の自由がある』とは言えないんですね。言論の自由というのは、目に見える形あるいは見えない形で様々に複雑な仕組みが機能するので。ただ韓国の場合、わかりやすくテレビ局、とくに政府が免許を出す方向には積極的には介入する傾向が見られると」

 実際、日本のテレビの散々たる状況にくらべたら、閣僚候補のスキャンダルをしっかり追及し、ヒステリックな対応しかしない日本政府に対しても安倍政権の極右思想の問題から掘り下げ、国に怒りを向かわせることは間違いであると自制的に報じている韓国のメディアの姿勢のほうがはるかに真っ当だろう。
 
 一方、この国のテレビはどうなのか。いま、ワイドショーが揃いも揃って嫌韓報道に染まりきっているのも、視聴者の受けがいいとか数字がいいとかそういう問題以前に、それが安倍政権の方針と合致し、安全だからだ。ようするに、韓国叩きという忖度報道をやっているだけなのである。

 他国への攻撃に血道をあげるばかりで、自国の政治家スキャンダルも頬かむりするこの国のワイドショーには、恥を知れ、と言っておきたい。

最終更新:2019.08.31 01:19

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