ニッポン抑圧と腐敗の現場 60

安倍首相が秋田で「イージス・アショアは必要」演説もデタラメだらけ! 筆者が直撃するも…

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 秋田へのイージス・アショア配備計画を強行する安倍首相は7月13日、渦中の参院選秋田選挙区に初めて入り、中泉松司候補の応援演説を3カ所で行った。候補地の陸上自衛隊新屋演習場を抱える秋田市でもマイクを握り、「まずイージス・アショアについてお話をします」と切り出して謝罪をした。

「イージス・アショアについては緊張感を欠いた不適切な対応がありました。極めて遺憾であり、言語道断であります。まず秋田県の皆さまに心からお詫びを申し上げたいと思います」

 しかし秋田へのイージス・アショア配備方針は不変だった。安倍首相は次のように必要性を訴えて理解を得ようとしたが、“フェイク演説”と呼びたくなるデタラメ発言のオンパレードだった。

「私は日本の安全保障政策の責任者であります。国民の安全を守り、命を守り抜いていくためにはイージス・アショアがどうしても必要です。しかし安全保障政策を前に進めていく上においては、国民の皆様、地域の皆さまの理解がなければ、進めていくことは出来ません。まずは調査をやり直す。そして第三者と専門家を入れて徹底的に調査をしていくことをお約束を申し上げる次第です」

 デタラメ発言の一つが、安全保障政策を進めるには「地域の皆さまの理解」が不可欠と強調した部分。すでに安倍政権は今年4月、イージス・アショア2基の購入契約を締結、秋田でも山口でも地域住民の理解が不十分な状態で見切り発車をしていたのだ。「口から出任せ」「言行不一致」と後ろ指を指されても仕方がないだろう。

 2番目の嘘が「国民の安全を守り、命を守り抜いていくためにはイージス・アショアがどうしても必要」の部分。これは購入の経過に目を向ければ、一目瞭然だ。

 かつて4隻で現在は6隻のイージス艦を8隻にする倍増計画が進行中だった2017年11月、日米首脳会談でトランプ大統領の米国製兵器爆買要請を安倍首相は快諾、翌12月にイージス・アショア購入が閣議決定された。イージス艦8隻で十分だったのに、米国に「NO」と言えない安倍首相の“下僕外交(政治)”のせいで莫大な国民の血税を貢ぐと同時に、日本の領土の一部を有事の際に攻撃対象になる危険エリアを作り出す羽目にもなったのだ。

 しかも、当連載で前回指摘したが、【https://lite-ra.com/2019/07/post-4831.html】、歴代自民党政権とも密接な関係を有するジャパンハンドラーの米国民間シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は昨年5月に、「Shield of the Pacific:Japan as a Giant Aegis Destroyer」(太平洋の盾 巨大な“イージス駆逐艦”としての日本列島)という論文を発表、イージス、アショア配備が日本でなく、米国を守るためものであることを明らかにしている。論文にはこんな内容が記されていた。

〈今回、秋田・萩に配備されるイージス・アショアのレーダーは、米国本土を脅かすミサイルをはるか前方で追跡できる力をもっており、それによって、米国の国土防衛に必要な高額の太平洋レーダーを建設するためのコストを軽減してくれる。このことは日米同盟を強化するだけでなく、そのレーダーを共有することでおそらく10億ドル(約1100億円)の大幅な節約が実現できる〉

 これらの事実をみれば、イージス・アショアが「日本の国民の安全を守り、命を守り抜いていくため」などという安倍首相の言い分が真っ赤な嘘であることは明らかだ。

「日本国民や秋田県民の安全と命を守ることには逆行しますが、米国第一のトランプ大統領のご機嫌を損ねないためには、イージス・アショア購入がどうしても必要でした」というのが本当だろう。

 秋田市に加えて大館市と横手市でも安倍首相は同じ内容の釈明をしたが、秋田へのイージス・アショア配備の白紙撤回(イージス艦での代替など)に踏み込むことはなかった。「第三者と専門家を入れた徹底調査」と言っても、あくまで「新屋演習場配備」の前提は不変で、秋田県民の命や安全が脅かされる状況は同じなのだ。

「イージス・アショアのせいで秋田が攻撃対象になっていいのか」との直撃に安倍首相は…

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応援演説する安倍首相(撮影・横田一)


 事実歪曲としか思えない"フェイク演説”はこの後も続いた。「トランプ大統領にきちんと物が言える」かのようなエピソードを次のように披露したのだ。

「(大阪で開催されたG20で)私は議長席を麻生大臣に譲り、トランプ大統領と直談判をした。『何とか、この地球の未来を守るために、G20でしっかりとメッセージを出していきたい。アメリカも少し妥協してもらえないのか』という話をしました。そうしたら『こういう案だったら、いいかも知れない』とアメリカが妥協案を出して来た。これを原点にして、最終的には難しいと言われた首脳宣言を出すことが出来ました。皆さん、『恐らくトランプ大統領は型破りの大統領だ』と思っておられると思います。トランプ大統領は意外と人の話を聞くのです。『意外』というのは少し語弊があるかも知れませんが、私の話の筋が通っていると思えば、『分かった、シンゾー、協力するよ』と言って協力をしてくれます。米国は日本にとって唯一の同盟国。日本がもし海外から侵略を受けたら、日本を守るために戦ってくれる唯一の国であります。この米国の大統領と信頼関係を持つことは、日本の総理大臣として最大限の責任があると考えています」

 おかしいと思わないだろうか。「安倍首相はトランプ大統領と対等で信頼関係を有している」と安倍首相は自画自賛しているが、それなら、なぜ「日本はイージス艦倍増計画中だからイージス・アショア購入はする必要はない」と筋の通った話をしなかったのか。米国製兵器爆買要請を快諾した挙げ句、秋田と山口をハワイとグアムの米軍基地を守る米国防衛前線基地(「太平洋の盾」=前記事参照)にして日本の領土の一部を米国に献上するに等しい“売国奴的下僕外交(政治)”が罷り通るのは、筋の通った話ができないからではないのか。こんな疑問が沸き起こってきたのだ。 

 そこで大館市での応援演説後、聴衆とのハイタッチを終えて「みなさん、ありがとうございます」と言った直後の安倍首相を直撃、「総理、秋田が攻撃対象になっていいのですか、イージス・アショアで」と声をかけた。しかし安倍首相は、こちらを一瞬振り向いて手を振った後、すぐに顔を背けて無言のまま車に乗り込でいった。イージス・アショアという米国製兵器爆買で秋田が米国防衛前線基地となり、県民の命や安全が脅かされるのは明白だ。安倍首相は謝罪したものの、秋田への配備方針は不変で、米国に言いなりの“売国奴的下僕外交(政治)”に邁進していることが露呈した形だ。形だけの謝罪で秋田県民の怒りは収まるのか。参院選秋田選挙区の結果が注目される。

最終更新:2019.07.14 10:34

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