「文春」で“爆弾騒動”が勃発し警察が出動する事態に!“文春無双”状態の裏で編集部が抱く警戒心と危機意識

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「週刊文春」(文藝春秋)2016年9月22日号

 今週も、中村橋之助と芸妓の不倫をスクープするなど、芸能、政界、企業とさまざまな分野のスキャンダルをスッパ抜き、快進撃を続ける「週刊文春」(文藝春秋)。その勢いは他誌の追随を許さず、“文春無双”“文春砲”とまで称される存在となっている。

 ところが、その「週刊文春」をめぐって、3日前の9月13日夜、こんな物騒な情報が駆け巡った。

「文春編集部に爆弾が届けられたらしい。警察が出動する騒ぎになっている」

 取材してみると、たしかに騒動があったのは事実だった。文藝春秋関係者がこう証言する。

「この日送られてきた郵便物の中に不審な形状のものがあり、すぐに警察に届けた上、厳重警戒下で問題の郵便物を調べたようです」

 宛先は「週刊文春」の編集部ではなく、住所、社名に“編集長”宛と書かれていただけだったようだが、やはり、真っ先に疑われたのが、「週刊文春」だった。

「これまで『週刊文春』にスキャンダルや不祥事を暴かれた企業や関係者の可能性はもちろん、『週刊文春』はこのところ、豊洲移転や東京五輪をめぐる政界とゼネコンの癒着問題を熱心にやっていましたからね。その関連じゃないかという噂も流れた。NHKやフジテレビなど一部マスコミもこの情報をキャッチし取材に駆けつけたようです」(週刊誌関係者)

 しかし、結論から言うと、これはただのいたずらだった。警察が調べた結果、郵便物の中身は爆発物ではないことがすぐにわかったという。

「当初は、段ボール箱に時限爆弾のようなものが入っていたという情報もあったんですが、実際は封筒で、乾電池のようなものが入っていたので危険物と判断したのでしょう。いずれにしても、調べた結果、いたずらということで処理され、ニュースにもならなかったんです」(前出・文藝春秋関係者)

 まったく人騒がせないたずらだが、しかし、この結果に、マスコミ関係者の間では「この程度で警察に届けるなんて、騒ぎすぎなんじゃないの」と、文春の対応に首をかしげる向きもあったという。

 たしかに、脅迫の手紙やメール、いたずらはメディアにはつきもので、今回の文春の対応はいささかオーバーにもうつる。

 ただ、文藝春秋は1993年、「週刊文春」が美智子皇后バッシング報道を展開した際に、当時の田中健五社長の自宅が右翼団体によって銃撃されるという事件が起きて以来、郵便物などをかなり厳重にチェックする体制を敷くようになっていた。

 しかも、ここ最近、「週刊文春」が注目を集めるようになって、社内の危機管理意識はいままで以上に高まっていたという。

「これだけ話題になると、やっぱり“出る杭は叩かれる”でどんな報復があるかわかりませんからね。上層部は相当に警戒しています。今回のような脅迫とか襲撃はもちろんですが、ナーバスになっているのは社員や契約記者の不祥事。たしかに、いま、文春の社員が痴漢事件でも起こしたら、袋叩きに遭うでしょうからね。下手をしたら、社員同士の不倫というだけでも大々的に報道されてしまうかもしれない。そのためか、『週刊文春』の編集部では、社員編集者、契約記者なども含め身辺に気をつけるよう訓示が出され、スタッフは『目立つ店や場所では派手に飲まない』など、相当に注意を払っています」(「週刊文春」関係者)

 権力を監視する側が監視され、権力を追及する側が追及されるようになってしまったいまの時代、たしかに、メディアが危機管理意識をもって、自分たちの身を律することはたしかに必要だろう。

 タブーを恐れずスクープを連発するイケイケ的姿勢の一方で、この臆病ともいえるくらいの警戒心をあわせもっていることが、文春の強みなのかもしれない。
(田部祥太)

最終更新:2017.11.24 06:56

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