「みんな死ね!」と思っていた20代の前半。俳優・山田孝之が病んでいた暗黒の日々を明かす!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
yamadatakayuki_01_150622.jpg
カメレオン俳優・山田孝之の闇とは?(『21世紀深夜ドラマ読本』洋泉社)

『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京)、『荒川アンダー ザ ブリッジ』(毎日放送)といったカルト的な人気を誇るドラマ作品に出る一方で、ジョージアやプレイステーションなど、大企業のCMにも登場する山田孝之。

『闇金ウシジマくん』(毎日放送)のようなコワモテ役から、映画『鴨川ホルモー』のコメディタッチの役まで、どんな仕事の依頼が来てもこなすことのできる“憑依型”の俳優である彼が、いかにしてそのような役者になることができたのか、そこに至るまでの葛藤を『21世紀深夜ドラマ読本』(洋泉社)掲載の吉田豪によるインタビューで語っている。

 まだ現在のような評価を得る前、20代前半から半ばにかけての時期に、彼は『WATER BOYS』(フジテレビ)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS)といったドラマに出演し、注目の若手俳優として活躍していた。

 だが、アイドル的な人気を得て順風満帆に見えた彼の心は“病んで”いた。

 その頃、彼が心酔していたのは、90年代のグランジムーヴメントを代表するアメリカのバンド、ニルヴァーナ。1994年に自殺したカート・コバーンを中心とし、鬱屈した思いを抱える少年少女からカリスマ的人気を得た彼らの音楽や詞は、“病”“うつ”“死”を連想させる暗いものだ。

 その時期の山田は、「ただ単に人がイヤになったりすると、みんな死ねと。でも、みんな死なないから僕が死ぬかなぐらいの感じでしたね」と言うぐらい荒んでいた。

 そして、その時期の山田はカート・コバーンの残した言葉に大いに共感する。

「なんの本か忘れましたが、ライブでステージに立つときに、出る瞬間タイムカードを押している気持ちになると。それはすごく僕も共感できて、「今本当にそんな感じだ、なんで俺こんなことやってるんだ」と思いながら仕事していて」

 出る作品はどれもヒットし、人気もあったが、事務所がもってきた仕事をただこなす日々に山田孝之は虚しさを感じていた。

 現在では、「そこからいろいろと仕事の状態が変わってきて、面白いことに参加させてもらえるようになって、自分から動けるようになって、それが形になってきて、徐々に変わってきて、今はすごい楽しめるようになっていますね」と語るまでに“病んだ”時期を乗り越えた彼だが、そのターニングポイントは、2007年に三池崇史監督の映画『クローズZERO』に出演したことだった。

「Quick Japan」(太田出版)10年10月号では、『クローズZERO』が初めて自分で出演を選ぶことのできた作品だと語っている。

「昔は「はい次コレ」って台本を渡されて、「はいわかりました」ってやってたんですよ」
「『白夜行』(TBS)みたいに今でも大好きな作品に出ることができましたけどいつでも自由に作品を選べるわけじゃなくて」
「たまたま組織変更もあって。で、初めて自分で選んだ作品が『クローズZERO』だったんです。以前の体制だったらたぶんやらせてもらえなかった」
「17歳の頃から、「不良の役をやってみたい」って訴えてたんですよ。「役者としてステップアップするためには、いろいろな役で、いろいろな作品に出ることが必要だからやりたいっす」と言っても、なんだかんだでやれなかった。『クローズZERO』でようやくチャンスが回ってきて、これは賭けだなと。ここでぶちかませば、絶対に仕事の幅が広がるな、と」

 山田孝之が、この賭けに勝ったのはご存知の通り。そして、ここからは自分の役は自分で選ぶことができるようになった。

 かつて、「ライブでステージに立つときに、出る瞬間タイムカードを押している気持ちになる」というカート・コバーンの言葉に共感していた彼はもういない。

「Cut」(ロッキング・オン)11年1月号でも、「芝居することは昔から楽しかったんですけど、今は、次これやりたいっていうのを自分でチョイスできるから、その分もっと楽しめてますよね。「次これ」って会社に言われるのと、「よし、次これやろう!」って自分から言うのは、ぜんぜんやる気が違うじゃないですか」と、自分の活動に裁量権を与えられた充実感を語っている。

 そして、この時期から彼に仕事を選ぶ権利が与えられたことが、どんな役でもこなしてしまう、今の“憑依型”俳優としての山田孝之をつくることになる。

 前述の『21世紀深夜ドラマ読本』では、こう語る。

「仕事もそれこそ前後1年でバランスを見て選ぶので、似たような作品がなるべく続かないようにしたりとか」
「まず飽きるのもそうだし、自分が飽きるということは観る側も絶対飽きると思いますし。映画でも300館で公開するデカイのもあれば小さいのもあるじゃないですか。それは館数で選んでいるといいうよりは、わかりやすく大勢の人が観て喜ぶような作品をやったあとってそういうのを求めなかったりするので、次はかぎられたところでもいいから、もっと心にバスッと響くようなやつをやりたくなって」

「役者の仕事は、イメージがついたら終わり」。この考えが、『クローズZERO』以降の、演じる役の幅が広すぎる役者人生を歩むうえでの根幹となっている。

 そして、最近の山田孝之は、“役者としてステップアップするためにいろいろな役に挑戦したい”という役者としての本能に忠実に生きるだけでなく、プロデューサー的な仕事にも関わるようになった。

 そんな彼のプロデュース業の本格的な第一歩が『REPLAY&DESTROY』(TBS)。この作品では、出演だけでなく、キャスティングプロデューサー的な立場としても動いている。共演者に出演オファーの連絡を入れたのも彼で、オーディションの立ち会いや様々な会議にも顔を出している。

 そういった動きもあるので、この作品には、“企画 飯塚健+山田孝之”としてスタッフクレジットにも彼の名が載っているのだが、これには「今回は別に大したことはやってないですけど企画としてちゃんと名前を入れさせてもらって。こういうことをやりだしました、今もっと勉強したいです、だから誰か一緒に組んでやりましょうよというアピールでもありますね」という意図があるようだ。

 山田孝之と共演回数も多い小栗旬も、表舞台に立つ役者でありながら、映画『HK 変態仮面』で脚本協力を務めるなど、“陰のプロデューサー”として裏方の働きをする人物として知られている。山田孝之も『REPLAY&DESTROY』を契機に小栗のような存在になっていくのだろう。

 かつて山田孝之が心酔していたカート・コバーンは、遺書に「徐々に色あせていくなら、いっそ燃え尽きた方がいい」と書き残して自殺した。だが、山田孝之には「徐々に色あせていく」日も、「燃え尽きる」日も、やって来ることはなさそうだ。
(新田 樹)

最終更新:2015.06.23 08:29

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

21世紀深夜ドラマ読本

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

「みんな死ね!」と思っていた20代の前半。俳優・山田孝之が病んでいた暗黒の日々を明かす!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。プロデュース新田 樹の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 テレ朝で黒鉄ヒロシが慰安婦像デマと韓国ヘイト
2 統計不正で厚労省課長が「官邸関係者」明記の圧力メール
3 ウーマン村本と宇賀なつみのテレビ批判に羽鳥慎一が
4 沖縄県民投票を妨害し続けた安倍政権!辺野古署名呼びかけ人にも
5 メリー氏が文春の記者に「殴るぞ」…
6 安倍が統計不正答弁中の根本厚労相に「戻れ」指示
7 小川彩佳アナが『NEWS23』キャスター就任か!
8 加計学園獣医学部の「四国枠」合格者がたった1名! 
9 安倍の成蹊時代の恩師が涙ながらに批判
10 「憲法9条を守れ」と主張する芸能人
11 データ不正、元厚労次官の村木厚子が「何かの圧力」発言
12 蓮池透氏が著書で安倍の冷血を批判!
13 ネトウヨ局アナがテレ朝のお昼の顔に
14 安倍が拉致被害者に「北朝鮮に戻れ」と
15 田宮二郎自殺の真相を夫人が告白!
16 松尾貴史「日本を壊しているのは安倍さん」
17 恵俊彰が田崎史郎を「政権の代弁者」と
18 沖縄2紙の記者を警察が拘束する暴挙
19 グッディ!土田マジギレ真の原因
20 安倍首相が統計不正に「選挙5回勝ってる」とヤジ
1 安倍首相が統計不正に「選挙5回勝ってる」とヤジ
2 嫌韓批判で炎上も…石田純一はブレない
3 渡辺謙が東京五輪の東北無視を批判!五輪の人命軽視がひどい
4 安倍が統計不正答弁中の根本厚労相に「戻れ」指示
5 安倍政権が拉致被害者の生存情報を隠し
6 勤労統計不正で厚労省委員が官邸と菅長官の圧力を証言
7 加計学園獣医学部の「四国枠」合格者がたった1名! 
8 安倍首相「自衛隊募集に6割以上の自治体が協力拒否」は嘘だった
9 小川彩佳アナが『NEWS23』キャスター就任か!
11 厚労省に圧力をかけた首相秘書官は安倍首相の子飼い官僚
12 安倍「私は森羅万象を担当」発言の背景
13 統計不正で厚労省課長が「官邸関係者」明記の圧力メール
14 ウーマン村本が朝鮮学校差別を煽る政治とメディアを痛烈批判
15 ウーマン村本と宇賀なつみのテレビ批判に羽鳥慎一が
16 フィフィの蓮舫デマに新聞が丸乗り! 背景に安倍忖度と女性蔑視
17 「安倍がトランプをノーベル賞に推薦」を海外メディアが
18 安倍がトランプ「ノーベル賞に推薦された」で世界に恥
19 辻元清美の外国人献金に大騒ぎする夕刊フジの愚劣
20 橋本聖子が池江選手の病を利用しスポーツ界の不祥事放置を宣言

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄