『アナ雪』大ヒットの裏に「同性愛」と性的マイノリティ市場?

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イメージ画像「アナと雪の女王」公式HPより

【トカナ初出】(2014年4月)

 大ヒット上映中のディズニー映画『アナと雪の女王』(以下、『アナ雪』)。公開から1カ月で観客動員数が約750万人を突破し、高い評価の口コミ効果も絶大で、ゴールデンウィークにはさらに客足が伸びそうだ。

 そんななか、一部で噂され、話題を集めているのが"『アナ雪』の本当のテーマは同性愛"という説だ。

 確かに『アナ雪』には、これまでのディズニー映画とは大きな違いが数多くある。物語は王女・エルサとその妹・アナの姉妹が主人公というディズニー映画初のダブルヒロインだが、エルサは「プリンセス」という役割にもかかわらず、お約束であるはずの"お姫様願望"を持ち合わせていない。

 さらに、触れるものをすべて氷にしてしまう力をもつエルサは、その魔法を隠すために人と接触せず引きこもり状態。これが、同性愛者が抱える葛藤と似ていることから「魔法=同性愛のメタファーでは?」と憶測する意見も。たしかにそう考えると、エルサが劇中に歌う『Let it go』に込められた"ありのままの自分でいい"というメッセージは、カムアウトの歌とも受け取れる。

■米で非難の声!? 『アナ雪』同性愛表現!?

 実際、本国・アメリカでは、こうした見解がニュースメディアでも取り上げられるなどし、"子どもたちを同性愛者にさせようとしている""同性愛が露骨に表現されている"と非難する声も挙がったという。しかし結果は、『アナ雪』はアメリカでアニメーション映画として史上最大のヒット作に。これに対し、一部では同性愛をテーマにしたことこそが、ヒットの要因と見る向きさえあるほどだ。

■6兆円超え!? 巨大な未開拓市場だった、性的マイノリティ

 同性愛をテーマにするとヒットする──。そのつながりにピンとこない人も多いかもしれないが、近年、世界では急速に同性婚認可が進んでおり、アメリカでは異性間にのみ結婚を認める「結婚防衛法」に違憲判決が下され、昨年だけでも南米ウルグアイ、フランス、ニュージーランドなどが、同性婚に関する法案を可決。今年はイギリスでも同性婚法が成立した。さらに、同性愛カップルに異性間による結婚と同様の権利や保障を認めるパートナーシップ法を採用する国も増えている。そうした流れの中で、性的マイノリティと呼ばれるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)は、ビジネスの世界でも"新たなマーケット"となっているのだ。無論、それは日本も例外ではない。

 また、『日本のLGBT』(東洋経済新報社)によれば、日本におけるLGBT市場の経済規模はなんと6兆6000億円。化粧品市場の1兆4219億円、旅行市場の5兆9303円を上回る巨大市場だ。しかし、日本ではこれが"手つかず"状態なのである。

 もちろん、その大きな原因はLGBTに対する法整備の遅れだ。04年に執行された性同一性障害特例法では、戸籍上の性別変更が可能になったが、レズビアンやゲイ、バイセクシュアルについては今もって「法的対応はゼロ」。「性的マイノリティの法的権利が認められていないのは、先進国では日本とロシアだけ」というのが現状だ。

 少子高齢化、そして若者の消費離れ──飽和状態の経済界にあって、LGBT市場は魅力的に見える。だが、本書のインタビューでマツコ・デラックスは、

「今になって、ゲイでも何でも、物を買ってくれればよしとするのは、不景気が続いて、背に腹は代えられなくなったからではないか。そんな商売のやり方をしているから、日本企業は世界で勝てない」

 …と、痛烈にこき下ろしている。

 異性間の愛が自明であるかのように描いてきたディズニー映画のアンチテーゼとして、『アナ雪』はその歴史に大きな風穴を空け、社会現象となったのではないだろうか? LGBTをはじめとする多様な性のあり方、多様な愛のかたちへの理解は世界で広がっている。こうした潮流に日本が乗れない限り、その巨大市場のとびらが開かれることもないのだろう。
(文=編集部)

最終更新:2015.08.17 11:57

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