人気キャリア、ケータイクーポンの罠! カモにならない経済学思考

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
「Thinkstock」より

【ビジネスジャーナル初出】(2014年3月)

 かつて、割安でお得だった「お徳用サイズ」は、今や必ずしもお得ではなくなっているらしい。

 ケチャップマヨネーズなどで、いくつかのサイズが販売されている場合、大きなサイズは「お徳用サイズ」と呼ばれ、100グラム当たりの単価で見ると割安だった。

 これは、1個当たりの生産にかかる平均コストは生産規模(量)が大きくなるほど安くなるという性質(「規模の生産性」)があるためだ。つまり、同じものを大量につくるほど平均コストと価格は押し下げられ、お徳用サイズは割安な状態を維持できるという仕組みだ。

 ところが近年、昔と比べて世帯当たりの平均人数が減り、外食回数が増え、調味料が多様化するなどして、ケチャップやマヨネーズは大きなサイズが売れなくなった。このため、生産量が減少して平均コストが上がり「お徳用サイズ」の価格は相対的に割高になった。これまでの常識にとらわれていると、割安な商品を買っているつもりでも、時代の変化などによって割高な買い物をしているかもしれない。

■売る側の本音は経済学思考で見抜ける

 実は、商店、企業といった売る側のほとんどは、こうした本音を隠しているが、『スマホは人気で買うな! 経済学思考トレーニング』(吉本佳生/日経プレミアシリーズ)は、その本音は経済学思考で知ることができるという。本書の著者である吉本氏は、ベストセラー『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社)を執筆した銀行出身の人気エコノミストだ。

「おカネで示される表面的な価格だけでなく、買い物にかかるいろいろな手間や心理面なども考えに入れた、もっと広い意味での価格を見てこそ、裏側の本音や仕組みがわかる」のだと本書は言う。

 例えば、最近流行している携帯電話向けクーポン(ケータイクーポン)は、登録した客の携帯電話に電子クーポンを送り、購入へと誘導する仕組みだが、これは価格差別を狙ったものだ。価格差別とは、モノやサービスを売る側が「高くても買う客には高く売り、安くないと買わない客には安く売り、より多くの利益を得ようと狙うこと」。客側は高い商品は買わないように思えるが、価格変化に敏感かどうかは、それぞれの客によって異なる。

「○月○日までに、このクーポンを提示いただいた場合、100円値引きします」などと書かれた有効期限付きのクーポンを受け取った場合、安くないと買わないタイプの人は実際に有効期限までにこのクーポンを使う。すると、価格変化に敏感な客だということが売る側に伝わり、今後は比較的安い価格を提示するようになる。

 一方で、この有効期限内に使用しなかった客は価格変化に対し鈍感であり、今後は比較的高い価格を提示するようになるのだ。

 それぞれの客にバラバラの価格を提示できるケータイクーポンは「完全な価格差別」を狙うことができ、「ケータイクーポンを充実させている企業の中には、完全な価格差別に近いやり方を本気で狙っているところがある」という。

■携帯電話は人気のないキャリアを選べ

 また、価格ではなく人の心理を巧みに利用しているのが、携帯電話会社(キャリア)だ。

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社という寡占市場のため、価格競争はなかなか起きず、アップルのiPhoneを3社とも採用したために、ほぼ横並びの状態。通信品質、つまりつながりやすさの優劣を競っているのが現状だ。

 しかし、どのキャリアを選ぶべきかを経済学思考からいえば、通信品質ではなく、「人気上昇中の携帯電話会社での契約を避けるほうがいい」となる。

 なぜならば、人気が急激に高まると、混雑によって通信品質の低下が起きるのだ。

「20年ほど前に世界でインターネットが普及し始めてから、混雑はずっと問題でした。技術的に通信速度が上がると、それを前提にして通信量が多いサービスが利用されますから、今後も混雑による通信品質の不安定さは解消されないでしょう」

「急に契約者が増えれば、通信品質は低下しやすく、より不安定になります。(略)スマホを快適に使いたい人は、人気が急に高まっているキャリアを避けることが合理的でしょう」

 つまりキャリアが通信品質の優劣を競っても、人気が1社に集中することで、通信品質が低下しかねない。

 経済学思考を使って、売る側の思惑を見抜きたいものだ。
(文=編集部)

最終更新:2014.06.30 01:04

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

スマホは人気で買うな! (日経プレミアシリーズ)

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

人気キャリア、ケータイクーポンの罠! カモにならない経済学思考のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。スマホ携帯の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 つるの剛士が「桜を見る会」問題で台風被災者をダシに安倍政権擁護
2 安倍首相の総理在任最長でNHKが岩田明子解説でヨイショ特集
3 「桜を見る会」参院選に招待枠、選挙利用の証拠が次々と
4 安倍首相の強気の裏にニューオータニ幹部との関係
5 沢尻エリカMDMA逮捕を警視庁がTBS、文春に事前リーク!
6 韓国ベストセラー『反日種族主義』は日本のネトウヨ本そっくり
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
9 「桜を見る会」招待の基準は安倍応援団とワイドショー!
10 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
11 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
12 「桜を見る会」ケータリングは安倍首相、昭恵夫人のお友達の会社
13 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
14 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
15 「桜を見る会」で田崎史郎と産経が失笑のスリカエ詐術で安倍擁護
16 即位礼に天皇の「安倍首相への抵抗」を示す招待客が
17 安倍の成蹊時代の恩師が涙ながらに批判
18 維新応援団・野村弁護士が懲戒、橋下徹にも請求が
19 報ステ後藤謙次の安倍批判がキレキレ!
20 即位祭典“エンドレス万歳”に「怖い」の声!「天皇陛下万歳」の戦前回帰
1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4 明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5 『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6 『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7 『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8 文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9 埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10 安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11 菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13 安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16 『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20 『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄