ルフィ、リヴァイ…最も経営者にふさわしいマンガキャラは誰か?

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リーダーは誰だ?』(あさ出版/長尾一洋) 合弁失敗、開発遅延、部下の反乱、セクハラ騒動……リアルなビジネス小説として描かれる、社内トラブルを通して、リーダーの条件を学ぶことができる話題作

【ビジネスジャーナル初出】(2013年9月)

 最近、ちょっと変わったビジネス書が注目を集めている。タイトルは『リーダーは誰だ?』(あさ出版/ 長尾一洋)。文字通り、リーダーの資質を説いている本なのだが、他のビジネス書と違うのは、ストーリー仕立てになっている点だ。

 社員100名を抱えるIT企業、システムアシスト社長・吉沢拓真は、まったくタイプの違う8人の候補者の中から次期社長を選ぶことを決意する。新製品キャンペーン、不祥事、トラブル、海外企業との合弁、セクハラ……候補者たちには次々と課題が襲いかかり、吉沢は経営コンサルタント・安藤純一のアドバイスを受けながら、彼らの能力を見極めていく。

 いったい誰が社長になるのか? まるで推理小説のようにハラハラしながら読み進めるうちに、自然とリーダーに必要な条件がわかっていく仕掛けになっているのだ。

 詳しいストーリーや結末は実際に読んでいただくとして、本書によれば、リーダーに必要な条件は以下の10項目だという。

・人を巻き込み、同志とできるか?「エンロール力」
・率先して範を示せるか?「率先垂範力」
・細部を蔑ろにしていないか?「細心配慮力」
・非情になれるか?「非情合理力」
・部下愛をもって育てられるか?「部下愛育力」
・前向きさ、明るさを持っているか?「明朗快闊力」
・すべてを背負う覚悟はあるか?「リスクテイク力」
・人間を理解しているか?「人間理解力」
・ビジョンを作り、示せるか?「ビジョン構築力」
・使命感はあるか?「使命挺身力」  

 うん、ならば自分にいくつ当てはまるかチェックしてみよう……とやってみたら、ひ、ひとつも該当する項目がない! 日がな一日、自分の部屋でマンガを読んで、アニメを観て、ゲームをやっているだけなので、リーダーの資質なんてあるわけもないんだが、この結果は悲しすぎる。「ここはもう、得意の必殺技・現実逃避だ」というわけで、そのマンガやアニメに登場するキャラクターたちで、リーダーテストをやってみることにした。二次元の中でリーダー然としてふるまう彼らにその資質があるのか、そして誰が最も社長にふさわしいのか。本の主人公・吉沢社長になった気分で選んでみようじゃないか。

 まず、候補者だが、まずは累計発行部数3億部に届こうとしている少年マンガ『ONE PIECE』 (集英社/尾田栄一郎)の主人公ルフィ。「麦わらの一味」の船長としての、彼のリーダー力はどんなものだろうか。

■『ONE PIECE』ルフィに「非情合理力」はある?

 最初は「エンロール力」。これはいわずもがな、海賊狩りだったゾロをはじめ、アクの強いメンバーを仲間に引き入れるその力は明らかに○だ。「率先垂範力」も、いつも率先して敵をぶちのめしに行くから○。だが、「細心配慮力」は最低の×だろう。そんなものルフィにあったら、ウソップやナミは苦労しないだろうし、そもそも『ONE PIECE』自体のおもしろさが半減してしまう。「非情合理力」も同じく×。仲間を大切に思うあまり「エニエス・ロビー編」では、CP9を通じて海軍にケンカを売ることを迷いなく行っているルフィに合理性があるとは思えない。「部下愛育力」も「麦わらの一味」の面々は勝手に育っている感じなので×。

 一方 、「明朗快闊力」は抜群の○だ。だいたい前向きでなきゃ「海賊王になる」なんて野望を持ち続けられるわけがない。「リスクテイク力」も冒険ばかりやっているんだから○。「人間理解力」はニセ「麦わらの一味」の偽者サンジ&ゾロを本物と信じるなど「?」なところもあるが、ガイコツのブルックに「おれの仲間になれ」と言っちゃったり、相手を見た目だけで判断しない姿勢があるので○。あとは「ビジョン構築力」と「使命挺身力」だが、グランドライン制覇という目的を常に仲間に示し、そのために自身のすべてを投げ出す覚悟もあるから、両方○。

 ということで、ルフィは10項目中7項目が○だった。なかなかの結果だと思うのだが、『リーダーは誰だ?』によると、「せめて8個は○がないとだめ」らしいので、ルフィはリーダーとしては今一歩らしい。ルフィーをテーマにしたビジネス本が数多く出版され、そのリーダー力は経済界でも評価を受けているというのに、この結果は興味深い。

■『進撃の巨人』リヴァイに「細心配慮力」はある?

 次は、今最も旬なマンガ『進撃の巨人』 (講談社/諫山創)から、腐女子の人気が抜群に高いリヴァイ兵士長。まずは「エンロール力」だが、リヴァイは、我が道をただひたすらに突き進むタイプなので当然×。対して、「率先垂範力」は自ら次々と巨人を討伐しているから○。「非情合理力」も多くの仲間を失いながら、巨人の討伐を優先させているので○だろう。さらに意外と○なのが、「細心配慮力」。古塔の大掃除でのエレンへのチェックなんて、オマエは嫁いびりの姑か! とツッコミを入れてしまったほどだ。

 一方、 断然×なのが「明朗快闊力」。というか、明るいリヴァイ兵士長なんて、ギャグとしか思えない……。「部下愛育力」も部下を育てている感じがまったくしないので、×。「人間理解力」も巨人の構造などの理解力はあるだろうが、人間に対しては×。「使命挺身力」や「リスクテイク力」は、エレン裁判の際に、もしエレンが巨人化・暴走したときは自分が殺す的な発言をしているので○だが、「ビジョン構築力」は調査兵団の団長であるエルヴィンの描くビジョンに向けて行動しているだけなので×。

 集計してみると、リヴァイ兵士長は10項目中5項目しか○がなかった。どうやらリーダーにふさわしい人物じゃなさそうだが、これ以上いうと、腐女子の怒りを買いそうなので、次の作品を見てみよう。

■キャプテンハーロックは自分勝手なので、リーダー向きじゃない

 映画が注目を集めている『宇宙海賊キャプテンハーロック』 (秋田書店/松本零士)だ。

 ハーロックは「エンロール力」「率先垂範力」も○だし、「細心配慮力」もクルーの趣味まで細かく把握しているっぽいので○。しかし、罠が待ち構えていても仲間を助けにいくので「非情合理力」は×。「部下愛育力」も、部下が戦闘中に酒を飲んだりしているので×。「明朗快闊力」も×。「リスクテイク力」はさすがの○、「人間理解力」「使命挺身力」も○。でも、「ビジョン構築力」は「俺は俺の胸の中にあるもののためにだけ戦う」とか言っている時点で×。というわけで、ハーロックはキャプテンなのに、○は6個。

■『ガッチャマン』酷評は、リーダーに問題あり!?

 では、映画が酷評されている『科学忍者隊ガッチャマン』 (タツノコプロ/吉田竜夫原作)のリーダー・鷲尾健はどうだろう。退屈な映画を見つつチェックしてみたところ、「エンロール力」「率先垂範力」は○で、「細心配慮力」「非情合理力」は×。「部下愛育力」も、そもそも部下といえるような存在がいないので×。「明朗快闊力」「リスクテイク力」「使命挺身力」は○をあげてもいいが、「人間理解力」「ビジョン構築力」はその若さもあって厳しいだろうから×。と、10項目中5個。

 こうしてみると、リーダーにふさわしいキャラクターが全然いないではないか。このままでは、二次元作品を嫌悪するお偉方に「ふん、真のリーダーがいない二次元の作品なんて有害にきまってる」なんて言われてしまう可能性がなきにしもあらずだ。何かほかに、リーダーの素質があるキャラクターはいないか……。そうだ、あのお方がいるではないか。

■『ジョジョ』DIOは意外にも……  

 と、いうわけで、『ジョジョの奇妙な冒険』 (集英社/荒木飛呂彦)より、圧倒的なカリスマ性と人気を持つDIOにご登場願おう。彼は、どれだけ「リーダーの条件」が当てはまるのだろうか。

 まず、「エンロール力」は抜群の○だろう。その圧倒的なカリスマ性で、現実世界でも多くの人を魅了しているし、数々の人間を吸血鬼やゾンビに仕立て、第6部では、敬虔な神父だったプッチまで引き込んだ。対して、「率先垂範力」は部下のほうに率先して物事に当たらせている感じなので×。一方、「細心配慮力」はあのパラノイアックな細かさだから、◎をあげたいくらいにありありだ。「非情合理力」はいわずもがなで○。というか、もう非情さを取ったらDIOとはいえない。

 次は 「部下愛育力」だが、第3部でとくにメリットがなさそうなヌケサクのことを仲間にするなど、意外にある気がする。「明朗快闊力」も大学時代、演技とはいえ明るい好青年をやっていたわけだし、ギリギリ○をあげておこう。「リスクテイク力」は、性格的にあの手この手を使ってリスクを人に押しつけそうなので×。「人間理解力」はその生い立ちから、人間の汚い部分も見極めているので○。第6部で「天国へ行く方法」をプッチに示したことから「ビジョン構築力」にも○をあげたい。「使命挺身力」もこの世の覇者になるという使命感に燃え、そのために敵に立ち向かっているから○。

 さて、DIOに当てはまる「リーダーの条件」は10項目中8個だった。ということは、社長はDIO様に決定!

 でも、彼を社長にすると、ミスをした場合に、ちょっとした暴力どころか、殺される可能性だってあるから、超絶ブラックな会社になること間違いない。
(文=オンダヒロ)

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