NHKが「安倍首相が〜」の冠ニュースを連発! 災害死者数、停電状況、天気予報まで…まるで北朝鮮みたいな異様報道

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大坂なおみニュースも安倍首相”冠”(NHK NES WEBより)

 昨日10日におこなわれた自民党総裁選の所見発表演説会で「安心できる強靱な日本をつくりあげてまいります」と宣言し、防災・減災対策に力を入れていく考えを示した安倍首相。総裁選の選挙運動にうつつを抜かし、西日本豪雨の真っ只中に「赤坂自民亭」で酒盛りに興じていたというのに、今度は災害対応を総裁選に利用しようというのだから、開いた口が塞がらない。

 しかし、そんな安倍首相の思惑と歩調を合わせるかのように、安倍首相の災害対応アピールを積極的にバックアップしているメディアがある。公共放送であるNHKだ。

 たとえば、北海道地震や台風21号の被害や対応策について、NHKは7日(金)と8日(土)にこんな見出しで伝えた。

〈北海道の地震 16人死亡 26人不明 安倍首相〉
〈“関西空港の復旧に全力 無電柱化進める考え”首相〉
〈安倍首相 北海道の停電 8日中にほぼ解消の見込み〉
〈首相 被災自治体からの要請待たず国が水や食糧など支援〉
〈北海道で地震 首相「応急的な住まいの確保早急に」〉
〈近畿地方で停電続く 首相「復旧作業を一層加速」〉

 また、7日には関係閣僚会議で安倍首相が「被災地では本日午後から明朝にかけて雨が降る見込みです」と話す場面を何度も放送し、ネットでは「NHKが安倍首相に天気予報までやらせている」とのツッコミも相次いでいる。

 本サイトでも報じたように、安倍首相が「16人死亡」と発表した数字はその後、あろうことか死者数と心肺停止者を合算していたことが判明し、菅義偉官房長官が訂正・陳謝した。通常、災害の死者数などは警察庁や内閣府防災本部、自治体などの数字を公表するが、時事通信の報道によると、今回は安倍首相が〈政府が警察の情報などを独自集計〉したものを公表しているという。つまり、最新の死者数情報を安倍首相が述べるために、メディアはソースを明示するためにも「安倍首相の発表」と報じざるを得なくなっているわけだ。

 しかし、問題はそのほかのものだ。上記にあげたニュースは、ほとんどが関係閣僚会議で安倍首相が発言した内容がもとになっている。ならば、主語は「政府」や「関係閣僚会議」と表現すればいい。現に、安倍首相がプッシュ型支援と「国として財政支援を講じ、予備費を準備する」と述べた8日午前の関係閣僚会議の内容について報じた日本テレビ『NNNストレイトニュース』は、〈北海道地震・関係閣僚会議 自治体の財政支援として予備費を拠出へ〉という見出しで伝えている。それをNHKは〈首相 被災自治体からの要請待たず国が水や食糧など支援〉とタイトルを立て、午後の関係閣僚会議も〈北海道で地震 首相「応急的な住まいの確保早急に」〉と報道。主語をすべて安倍首相にしてニュースの見出しに立てているのだ。

 だが、もっと露骨だったのは、9日(日)だ。この日の安倍首相にかかわるニュースの見出しは、以下のようなものだった。

〈首相 ツイッターで大坂なおみ選手を祝福〉
〈首相 地震の被害状況を視察 札幌〉
〈首相 土砂崩れ現場視察 北海道 厚真町〉
〈首相「死者42人 被災者支援に5億4000万円」〉

 なんと、大坂なおみ選手のニュースをはじめ、災害関連のニュースの見出しもすべて「首相」からはじまっていたのだ。

 過去のNHKの災害報道を見ても、安倍首相の発言を取り上げるにしても先頭にもってきていたのは「西日本豪雨」「熊本地震」「広島・土砂災害」といった災害名だ。それが今回、すべて見出しのはじまりを「首相」で統一する……。もはや朝鮮中央放送のような異常さではないか。

NHKの異常報道の背景に「災害対策やってるアピール」したい安倍官邸の意向

 そもそも、今回の災害対応では、死者数の独自発表を筆頭に、安倍首相の「スタンドプレー」と呼ぶべき「やってる感」演出があまりにも目に付く。

 事実、7日の関西国際空港の国内線再開についても、関空を運営する関西エアポートが発表すべき内容だったが、先に安倍首相が言明したために〈関空の国内線、7日中に再開 安倍首相が表明〉(日本経済新聞)〈関西空港、国内線は7日再開 安倍首相が見通し〉(朝日新聞デジタル)など、安倍首相の名前がタイトルに躍った。

 つまり、死者数を独自集計しているのと同様に、他の担当大臣や事業者が発表するものを安倍官邸が集約することで、安倍首相のニュースを増やしているのではないか、と見られるのだ。

 こうした手法を安倍官邸がとっているのは、「ザイオンス効果」(単純接触効果)を狙ってのことだろう。これは、繰り返し同じ人やモノとの接触機会が増えることで好印象を抱く作用が生まれるといい、マーケティングで用いられているもの。そして、この効果を利用したのが、トランプ大統領だ。たとえば、脳科学者の茂木健一郎氏は、泡沫候補だったトランプ氏が過激な発言をSNSやメディアで連発したことは、知名度が上がっただけではなく、このザイオンス効果を通して好感度が上がったと分析している(「プレジデント」2016年12月19日号/プレジデント社)。

 災害対応の「やってる感」を醸成するために、安倍首相の発言・発表機会を増やす安倍官邸と、それにまんまと乗っかり、対応の中身を検討・精査することもなく、安倍首相を冠にしてニュースを垂れ流すNHK──。この状況は、安倍首相の独裁化がどんどんと進行していることを象徴するものだろう。

最終更新:2018.09.11 12:29

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