政府広報が性犯罪被害女性を「イタイ女子」扱い! 性犯罪防止啓発なのにミソジニー丸出し

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政府広報が性犯罪被害女性を「イタイ女子」と攻撃! 加害男性でなく被害女性の落ち度をあげつらう女性蔑視広告の画像1
政府公報オンラインより

 世間に衝撃を与えた、東京医科大学が女子受験生の一般入試の得点を一律減点して女子合格者数を抑制していた問題。あらためてこの国に女性差別が蔓延っていることを浮き彫りにした格好だが、そんななか、ある広告に批判の声が集まっている。

 なんと、政府広報がSNS犯罪の啓発の一環として、「いくつ当てはまる? SNSで増加中の「イタイ女子」度診断」という動画を公開しているのだ。

 この動画は、政府広報が女性向け動画メディア「C CHANNEL」とタイアップして作成されたもので、政府広報HPで現在公開中。「C CHANNEL」でもこの動画を紹介するかたちで記事がアップされているのだが、その記事はこんな言葉ではじまる。

〈「インスタ映え」「インスタグラマー」そんな言葉が流行る今、言葉にとらわれすぎて周りが見えなくなっていませんか?
気づけば生活の中心はSNSである。なんでもSNSに自分のことを投稿しちゃう。SNSにいいねやコメントがつかないと不安でしょうがない。
そんな方はSNSで急増中のイタイ女子に当てはまっている可能性があるんです!〉

 メディアでは「インスタ女子」批判が盛んだが、そうしたバッシングに政府広報が丸乗りし、SNSトラブル防止の広告として「イタイ女子」というミソジニーを喚起させる表現を用いる──。これだけでアウトな広告だが、さらに悪質なのは、この広告がネット犯罪啓発の一環だということだ。

 現在、政府広報は、若い女性に人気のYouTuberである「ゆうこす」こと菅本裕子を「モテクリエイター」としてモデルに起用し、「気づいて! SNS出会いにひそむワナ」というネット犯罪防止キャンペーンを展開。キャンペーン動画は、ゆうこすが「♯盛れる ♯モテる 自撮りテク」で「カワイイ」写真を「SNSにどんどんアップ」していたら、「よく見せて」「もっとエロいの」「エロいやつだよ」「ばらまいてやる」などとおじさんに要求される、SNS上では「いい人」だと思い実際会ってしまうとコワモテの男性が待っていて「ご飯だけで済むと思ってんの」とすごまれる……といった内容だ。

 そして動画の下には「タイプ別犯罪被害事例」が掲載されており、裸の画像を送信させられるという被害や、SNSで知り合った“いい人”に会ってみたら強引に連れ回された、脅されて〈むりやり体をうばわれた〉などのトラブルが多発していることを紹介。「迷ったら 困ったら すぐ相談!」として相談窓口を案内している。

 政府広報が挙げている事例はすべてSNSを媒介にして起こっているれっきとした性犯罪だ。それを政府は、被害者である女子の無知や落ち度をことさら強調。SNSの性犯罪に巻き込まれる女性は「イタイ女子」だとして、注意喚起と自衛を促しているのである。

 性犯罪・被害に遭った女性が被害者であるにもかかわらず非難される──。これは痴漢やレイプ、セクハラといった性暴力事件でも繰り返されてきた問題で、「そんな格好をしているから狙われるんだ」「安易に車に乗った/部屋に入ったほうが悪い」「ふたりきりで酒を飲んだら同意したも同前」「本当は女も下心があったのではないか」と被害女性が批判に晒されてきた。現に、元TOKIOの山口達也の事件でも被害にあった女子高生を「ハニートラップだ」と貶める声が上がったり、財務省セクハラ問題では麻生太郎財務相が「(女性記者に)はめられたという可能性は否定できない」と暴言を吐いた。

 しかも今回、政府広報は、あきらかに未成年の女子への啓発を目的としたなかで、保護の対象である被害者側を「イタイ女子」などと呼び、スティグマを刻みつけようとしているのだ。

政府がSNSユーザーを「イタイ」とあげつらう愚劣! だったら、和田政宗や西村康稔はどうなんだ!

 だいたい、どうして政府は被害者側の女性の自衛ばかりを啓発するのか。もちろん、被害に遭った際の相談窓口を知らせることには意味はある。だが、それと両輪でおこなうべきは、未成年の女子を狙う加害男性側への「その行為は犯罪だ」という周知徹底だ。

 SNSでの性被害が増加している背景には、「軽い気持ち」で女性に性的画像の強要をおこなうような男性が存在することを意味しているが、この行為は直接対面していなくても強要罪や、場合によっては強制わいせつ罪に問われる犯罪だ。そうした犯罪の意識がもたれていないから事件は増加しているのであって、未成年女子を狙う側こそを「最低男」「犯罪行為」として認知を広げることが重要なはずだ。なのに、そうした啓発はおこなわず、政府は未成年女子に「イタイ女子」などという言葉を用いて自衛しろと迫るのである。倒錯も甚だしいだろう。

 そもそも、だ。政府は「C CHANNEL」とのタイアップ記事で、「イタイ女子」の条件に「イライラするとSNSに悪口を書いてしまう」「リアルタイムでの投稿は当たり前」などと挙げているが、この行為は女子だけの事例などではない。実際、「赤坂自民亭」問題では、豪雨災害の最中に安倍首相の側近である西村康稔・内閣官房副長官が宴会の様子を「リアルタイム投稿」して世間から猛反発を受けたばかりだし、自民党の広報副本部長である和田政宗議員などは森友公文書改ざんを朝日新聞が報じたときは“朝日の誤報”などと悪口どころかデマを喧伝した。政権与党の中年男性こそ「イタイ」SNSユーザーであって、注意するならまずはそっちだろ、という話だ。

 ともかく、政府が女性にばかり非を押し付けるという姿勢だからこそ、この国では性犯罪が矮小化され、挙げ句は公平であるべき受験で女性だというだけで減点されるような前時代的な事件が起こってしまう。このタイアップ広告は、もっと大きな問題になるべきだろう。

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