米朝首脳会談前日にフジ『プライムニュース』と反町キャスターが「開催中止」を示唆する勇み足

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フジテレビHPより

 本日の日本時間10時から、トランプ大統領と金正恩委員長による米朝首脳会談がシンガポールで行われる。日本のマスコミも現地入りして、両国首脳の一挙手一投足を報じているが、そんなか、勇み足を見せたのが、昨日放送の『プライムニュース イブニング』(フジテレビ)だ。

『プライムニュース イブニング』と言えば、今年4月から放送を開始した夕方帯のニュース番組。周知の通り、安倍政権に露骨に好意的な姿勢をみせてきた反町理・フジテレビ報道局解説委員をメインキャスターに据え、開始早々に反町氏のパワハラが週刊誌沙汰になるも、先月も安倍首相の単独生放送を実現させている“御用番組”である。

 その『プライムニュース イブニング』が昨日11日放送で、なんと、キー局の夕方ニュース番組のなかで唯一、“明日の米朝会談が中止になる可能性が出てきた”なる大外しの報道をしてしまったのだ

 そもそも、放送開始直後から番組には変なムードが漂っていた。番組はトップニュースで米朝会談を扱い、反町氏を中心に、ワシントン支局の藤田水美記者、ソウル支局の渡辺康弘記者がシンガポール現地から報じるという態勢。この日行われていた米朝の実務者協議について解説するのだが、藤田記者が「完全な非核化で詰めきれていないようだ。依然として大きな隔たりがある」と言うと、渡辺記者が「朝鮮中央テレビは今朝から金委員長のシンガポール入りを写真入りで伝えたが、午後3時にはその写真を使わなかった。一度使った写真を使わなくなるのは極めて異例の事態」として「実務者会談で北朝鮮側が思うような結論がえられず、そういうことがあって写真を取り消した可能性がある」と述べる。すると、二名の記者の話を聞いた反町氏がこう不穏なことを言い出すのである。

「もしかしたら、どっかで事故ってる可能性がある」

 ようするに、この土壇場にきて米朝会談が中止になるかもしれないと示唆し始めたのだ。まさに視聴者にとっては「エーッ!?」という展開だ。

反町キャスターは「開催に暗雲」「打ち切り発表か」といっていたのに実際は…

 さらに、番組では17時すぎ、またもや現地から反町氏が「新たな情報」として、「日本時間6時に米朝実務者協議の結果を受けたホワイトハウスのブリーフィングが行われる予定だったが、それが急遽ポンペオ国務長官による会見に変わりました」と速報。そして、こんなふうに続けたのである。

「これをどのように受け止めるのか。大きな進展があったので記者会見というかたちで発表するという見方もありますし、ある意味うまくいっていないなかで、さらに交渉を促進する、ないしは、最悪の場合はここで打ち切るという発表があるのかどうか。これは僕にもなんともわかりません」

 この反町氏によるコメントを受け、東京のスタジオでも、鴨下ひろみ解説委員が「いまの段階で予断は許さないんですけど、なんらかの進展があったのか、もしくは逆の意味での重大な発表があるのか、非常に注目されるところ」と同調した。

 さらに17時50分ごろには、番組は「日米首脳が電話会談」と速報を打ち、再びシンガポールの反町氏へ。反町氏はポンペオ国務長官の会見の時間が30分遅くなっていると伝えたうえで、今度はこんな話を披露し始めたのである。

「その背景について憶測が飛んでいるんですけど、日本の外交関係者に言わせると、『よほど良いか、よほど悪いか、どちらかの結果が出たに違いない』という見方。別の外交関係者は、『トランプ大統領の性格からいって、良い話だったら自分で言うだろう、それをポンペオ国務長官に言わせるということは、良い話ではないのではないか』という見方も。日朝外交関係筋からは、『かつてトランプは予備交渉の段階で一回キャンセルしてきたではないか、その意味ではギリギリ瀬戸際におけるトランプ流の交渉術かもしれない』。情報が錯綜しています」

 いや、「情報が錯綜」と言ってはいるが、反町氏が紹介した「関係者の話」はもっぱら「中止」を匂わせるものばかりではないか。しかも、続けて反町氏は「開催に暗雲がただよい始めている今日のシンガポール」とダメ押しまでした。すると、その後の番組テロップでは「急展開?反町生報告」「米国務長官が会見へ」「速報 間もなく安倍首相が会見へ」と煽りを連発。反町氏から水を向けられた藤田記者も「おそらく大きな発表が何かしらあるということだと思う」と発言するなど、もはや“中止発表秒読み”という雰囲気になっていった。

 ところが、だ。周知の通り、蓋を開ければ、ポンペオ国務長官の会見も、安倍首相の会見も「米朝会談は中止」とかでは全然なかった。というか逆で、トランプ大統領の「しっかりと二人で話をしたい」という言葉を公表するなど、会談への意気込みを感じさせるものだったのである。

安倍官邸と応援団の「米朝会談が中止になってほしい」願望が憑依か

 この結果に、さっきまで「中止か?」と煽ってきた番組は当然、バツの悪いムードに。安倍首相のぶら下がり会見映像明けのスタジオでは、MCの島田彩夏アナウンサーが「反町さんも『(シンガポールは)今日のドタバタ』と言っていましたが、こういうこと(ブリーフィングや会見の予定変更)する必要があるのかないのか。何か変化が起きたのではないかと思うのが普通」と、米朝に恨み節を語る始末だった。

 しかし、本サイトが確認した限り、同時間帯の他局のニュース番組では、ポンペオ国務長官や安倍首相の会見前に「会談中止」を匂わせるような報道はみられなかった。ようするに「ドタバタ」していたのは、米朝ではなく、『プライムニュースイブニング』だけだったのである。

 もちろん、状況にネガティブな要素があれば、それをきちんと伝えることも報道機関として当然の責務だ。

 だが、昨日の『プライムニュース イブニング』についていえば、あまりに恣意的だった。北朝鮮メディアが金正恩の写真を1回しか使わなかったことや、ポンペオ国務長官の会見が開かれる予定になったこと、そしてそれが30分遅れたというだけで、反町キャスターが「暗雲がただよい始めている」などと言い出し、「中止」を煽るあやしげな観測情報ばかりをどんどんのっけていったのだから。

 その無理やりな様子を見ていると、同番組の反町キャスターや記者、コメンテーターには「米朝会談が中止になってほしい」という願望でもあるんじゃないかと勘繰りたくなるほどだった。

 いや、深層心理には中止願望はあったのかもしれない。そもそも、北朝鮮の脅威をタテに改憲を狙う安倍応援団はこの間、米朝会談や朝鮮半島の非核化の動きを全く歓迎しておらず、安倍首相と口をそろえて「対話のための対話では意味がない」「圧力の継続が必要」と叫んできた。

 南北会談、米朝会談の実現が確実になってからも、安倍首相が蚊帳の外におかれていることに苛立ち、戦後補償をするな、拉致問題を解決するまで経済制裁を続けろ、と、平和的解決をつぶすような主張を繰り返してきた。

 表向きはトランプ大統領に同調している安倍首相や官邸も本音は同様だ。米朝合意になれば、日本は隅に追いやられるばかりか、日本に経済援助を求める米国とそれを拒否しろと主張する国内の右派勢力の間で安倍政権は難しい舵取りを迫られることになる。「日本が置いてきぼりになった米朝会談や朝鮮半島の非核化なんてつぶれてしまったほうがいい」といったセリフを口にする官邸関係者もいたという。

 最近、とみに安倍政権御用メディア化を強めている『プライムニュース イブニング』や反町氏は、安倍応援団や官邸関係者とべったり取材をしているうちに、彼らの中止願望が憑依してしまったのではないか。その結果、あらゆる事象を中止のシグナルと捉え、中止を示唆するヨタ証言を信じ込んでしまったのだろう。

 もっともこうした米朝会談に対するネガティブ報道は『プライムニュース イブニング』でなく、多くのメディアに共通するものだ。首脳会談がかなり具体的で踏み込んだものになると報じ始めたのは、会談前日、昨日の夜からで、それまではやはり、日本の官邸情報に引っ張られて、「交渉は難航する」という情報を打ち続けていた。

 しかし、『プライムニュース イブニング』の場合はその会談前日の昨日の段階で中止を示唆してしまったのだから、あまりにも情報能力がなさすぎだろう。スタジオでは上から目線のもっともらしい講釈をたれている反町キャスターだが、その実態は妄想ネトウヨと大差ないのかもしれない。

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