安倍首相「私や妻が関係していたら辞める」発言の裏! 今井首相秘書官らが謝罪を進言するも安倍が拒否

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首相官邸HPより

 一体、「調査結果」とは何だったのか。決裁文書改ざんや交渉記録の破棄にかんする財務省の内部調査結果では、安倍首相の「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」という国会答弁がはじまりだったことをようやく認めたが、公表してすぐさま、財務省からは安倍首相の関与を否定する矛盾だらけの発言が相次いでいる。

 たとえば、最高責任者であるにもかかわらず、「閣僚給与1年分=170万円返納」という、本人にとっては痛くも痒くもないはした金で片を付けた麻生太郎財務相は、昨日の衆院財務金融委員会で、安倍首相の答弁は「(廃棄の)直接の原因ではない」などと答弁。一方、財務省の矢野康治官房長は調査結果公表時の会見で「(官邸への)忖度あるいは忖度に類する事実はなかった」と強調したが、内部調査では忖度があったかどうかの質問さえおこなっていなかったことが判明した。なぜ決裁文書の改ざんや交渉記録の破棄が実行されたのか、その「動機」をまったくあきらかにしようとしないのである。

 だが、安倍首相の答弁がきっかけとなり、それとすり合わせるために決裁文書から昭恵夫人の記載がある箇所や異常な取引を示した文面を削除し、同様に交渉記録を破棄する指示を出していたことは明々白々だ。

 事実、今朝の毎日新聞では、安倍首相の答弁をめぐって、官邸でこんなやりとりがあったことを暴露している。

 安倍首相が「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」と答弁したのは昨年2月17日の衆院予算委員会でのことだが、毎日新聞によれば、この日の同委で民進党の福島伸享議員(当時)が森友問題を取り上げることがわかり、官邸では今井尚哉首相秘書官や杉田和博官房副長官らが安倍首相の国会答弁をどうするか、話し合いをもったという。

〈「首相が『自分も妻も問題には関わっていないが、こんな話になって申し訳ない』と言えば済むのではないでしょうか」。出席者からの提案に異論は出ず、今井氏が首相に伝えることになった。
 ところが、首相は「私も妻もまったく関与していない」と「陳謝案」に耳を貸さなかった〉

今井首相秘書官、杉田官房副長官“進言のいきさつ”が物語るものとは?

 以前から、明確な間違いを指摘されても話をすり替えて絶対に謝罪をしない態度から「『謝ったら死ぬ病』にでもかかっているのか」と指摘されてきた安倍首相だが、このときも今井首相秘書官らの進言に耳も貸さず、陳謝するどころか逆ギレして「総理も国会議員も辞める」と啖呵を切ったのだ。

 だが、ここで重要なのは、官邸が当初から安倍首相の国会答弁を主導し、なかでも今井首相秘書官が調整役を担っていた、という事実だ。問題をいかに収束させるかを念頭に置いていた今井首相秘書官にとっては、安倍首相の「総理も国会議員も辞める」発言によって大きな火種を抱えたことになる。今井首相秘書官をはじめとする官邸側が、昭恵夫人の関与を示す証拠の取り扱いについて神経を尖らせたことは想像に難くない。

 実際、財務省の内部調査結果でも、同月21日におこなわれた野党の国会議員団による小学校建設地の現地視察の段階で、〈あらかじめ本省理財局と近畿財務局との間で相談の上で、当日用の応答要領が作成されて〉いたと認めており、さらには〈政治家関係者からの不当な働きかけはなかったこと等のほか、仮に問われれば、政治家関係者から照会を受けた際の応接録は残されていない旨も回答することとされていた〉とも綴られている。ようするに、昭恵夫人の関与を示す交渉記録を「ない」と言い切ることは、21日以前から決まっていた、ということだ。ちなみに、佐川宣寿・前理財局長が「交渉記録は破棄した」と断言し始めたのは、同月24日のことだ。

 何度も言うが、昭恵夫人がかかわる問題だと官邸も財務省も認識しているなかで、このような「応接録は残っていない」という隠蔽工作を、財務省の一存でおこなうことはあり得ない。少なくとも21日までに、官邸が指示するかたちで昭恵夫人の関与を示す文書や記録を隠蔽する方針が固められていたと見るべきだろう。

 しかも、官邸が文書の改ざんや記録の破棄を主導していたことの証拠は、これだけではない。昨日、共産党が公開した、「航空局長と理財局長との意見交換概要」にも、官邸が財務省に森友対応を指示していた形跡が残されていたからだ。

 この概要は、2017年9月7日に財務省の太田充理財局長と中村稔総務課長、国交省航空局の蛯名邦晴局長と金井昭彦総務課長の4名が会計検査院の検査や国会対応への協力関係を確認し、意見交換をおこなった際の発言録だ。このなかで、太田理財局長は何度も「官邸」という言葉をもち出し、官邸の意向を気に掛けている。

 たとえば、蛯名航空局長が「変な相手に対してリスクを遮断するために「瑕疵担保責任」の考え方で見える範囲で最大限の見積もりをしたと言えるかがポイント」と言うと、太田理財局長はこう答えている。

「籠池夫妻が相当な人たちだとのイメージが進む中で、そのような答弁をすることについて、気持ちは同感だが、今までの答弁との関係で、開き直った答弁だと思われないかなど官邸との関係を含めてメリデメをもうちょっと考えさせてほしい」

官邸と菅官房長官ぐるみで「会計検査院の報告をどうごまかすか」を協議

 国民に対して「真実をあきらかにしよう」という気がまったくない基本姿勢や、籠池夫妻を「変な相手」として扱うことで正当性の根拠にしようとする蛯名局長の提案には呆れるが、ここで太田理財局長は財務省としてではなく、開き直ることが官邸=安倍首相にダメージを与えることにならないかを心配しているのである。

 さらに、太田理財局長は、こうも語っている。

「『捜査中なのでコメントできない』だけではもたないし、マイナスのイメージを拡大させてしまうと思う。佐川局長が価格交渉をしたのかどうかが追求のポイントだが、民進党PTはこれまで通りの対応をするが、国会ではなんらかの答弁が必要なので、官邸との関係は容易ではないと思うが、来週にも調整したいと思っている」

 官邸との関係は容易ではないが調整したい──。つまり、財務省の国会答弁は官邸と緻密に調整した上で作成されていた、というわけだ。「価格交渉をしたのかどうかが追求のポイント」とまで述べているのだから、当然、交渉記録の破棄を官邸が知らなかったなどということは、この口ぶりからはまずもって考えられないだろう。

 そして、極めつきはこの発言だ。

「検査院に対しては官邸だからといって通用しない。説明していくタイミングも考える必要がある。両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて官房長官への対応するのが基本。与党へもいずれは何らかの対応が必要だろう。相手は検査院なのでこのような報告が出てしまうのはしかたがないとの認識を持たせていくことが必要」

「寺岡」というのは寺岡光博・官房長官秘書官のことを指していると思われるが、これは官邸、菅義偉官房長官ぐるみで、会計検査院の報告や国会対応をどうごまかすか、文書隠蔽の相談を図っていたことを裏付ける発言だ。

 そして、とくに注目すべきは、「相手は検査院なのでこのような報告が出てしまうのはしかたがないとの認識を持たせていくことが必要」という言葉だ。これは、裏を返せば、官邸から「会計検査院の報告をどうにかしろ」と迫られていたことを示しているのではないか。

 現に、当時、国交省は会計検査院対策のためのプロジェクトチームまでつくり、会計検査院が検査結果公表前に国交省に提示した報告書原案に対し、ゴミの撤去費の試算を例示することを撤回するよう要請することをまとめたり、この意見交換のなかでも、蛯名航空局長が「総額を報告書から落とす」と言えば、太田理財局長は「「金額」よりも「トン数」のほうがマシ」と応じるなどと検査結果に介入することを協議していた。だが、それでもどうにもできない部分が出てくることが予想されたため、「このような報告が出てしまうのはしかたがないとの認識を(官邸に)持たせていくことが必要」と太田理財局長は述べたと考えられるのだ。

 この意見交換では、太田理財局長は「政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要」などとも述べている。麻生財務相は調査結果公表後の会見で、文書の改ざんや記録の破棄がなぜおこなわれたのかという動機を尋ねられ「それがわかりゃあ苦労せんのですよ」などと言い放ったが、意見交換時の太田理財局長の「官邸との関係」「政権のデメリット」という言葉を見れば、その答えはもう出ている。今後は、安倍首相の代理人として立ち回っていた今井首相秘書官や、菅官房長官と財務省をつないでいた寺岡官房長官秘書官の動きにメスが入るときだ。

最終更新:2018.06.06 10:04

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