横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」28

二階自民幹事長に直撃! 名護市長選で安倍自民が卑劣な分断工作、菅と二階が訪沖して土建札束攻撃

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沖縄入りした二階俊博幹事長(撮影・横田一)

 辺野古新基地建設(普天間基地移設)が最大の争点の「名護市長選(2月4日投開票)」が近づく中、安倍自民党が札びらで頬を叩くような手法で基地反対の民意を抑え込もうとしている。年末年始に菅義偉官房長官と二階俊博幹事長が相次いで沖縄入りして自公推薦候補の渡具知武豊・元市議や支援者らと面談、公共事業推進(予算増加)の“アメ”をちらつかせつつ基地受け入れを迫る“ムチ”を振るう手法を繰り返し始めたのだ。

 県民無視とはこのことだ。4年前の名護市長選と沖縄県知事選で新基地反対を掲げた稲嶺進市長と翁長雄志知事がダブル当選したのに、安倍政権は移設工事をゴリ押しする一方、沖縄関係予算を大幅削減する“沖縄イジメ”で異論封殺を画策。この姿勢は今回の両重鎮の来沖でも不変で、その象徴が直接交付金だ。地元民意を代表する沖縄県や名護市を通さずに、新基地受入表明の周辺住民(名護市の三集落)に直に国の補助金を交付するというもので、12月29日に現地入りした菅官房長官は名護市内のホテルで三集落代表(久志区長・辺野古区長・豊原区長)に対して2018年度予算で直接交付金が確保されたことを伝え、次のように説明もしたのだ。

「政府としては最高裁の判例に従って工事を進めている。皆さんの生活環境の保全や地域の振興に関し、政府としてはできる限りの配慮を行ってきた」

 新基地反対の沖縄県や名護市は相手にしないが、基地受け入れの周辺住民には税金投入をするという卑劣な分断工作だが、公共事業でも同じ手法を駆使。市内で工事中の「名護東道路」(8.4キロ。総事業費962億円)を視察し、未完成区間(2.6キロ)の1年半の完成前倒しと延伸調査を関係省庁に指示したことを明らかにしたのだ。

名護市長選で公共事業推進と投票依頼のギブ・アンド・テイクの“土建政治”が!

 しかし地元記者は「露骨で卑劣な市長選対策」と首を傾げていた。

「車社会の沖縄は名護市も含めて慢性的な渋滞に悩まされており、名護東道路も渋滞緩和効果が期待されている路線です。そんな生活道路を安倍政権は“人質”に取って、『名護東道路の完成前倒しをして欲しければ、自公推薦候補に投票をして新基地反対の市長を交代させろ!』と脅しをかけているようなものです。必要な道路であれば、名護市長選と絡めずに淡々と整備をして当然です」

 公共事業推進と自民党系候補への投票依頼がギブ・アンド・テイクの関係の「土建選挙(利益誘導選挙)」は、田中角栄元首相以来の自民党の得意技だが、そんな古き土建政治手法を名護市長選でも駆使しているといえるのだ。

「寝業師」「大物族議員」などの異名を持つ二階俊博幹事長も、公共事業予算を選挙対策(集票増)に結びつけるのに熱心だ。その豪腕ぶりが可視化されたのは土地改良事業(規模拡大や灌漑整備などをする農業土木事業)予算の“完全復活”。民主党政権時代に半分以下に大幅削減された予算額を、「全国土地改良事業団体連合会」の会長として二階氏は第二次安倍政権誕生以降、増額を働きかけて以前の水準にまで戻すのに成功、選挙対策に活用しているのだ。

「後継者不足に悩む農家の多くは、土地改良事業の減額分が原資の『戸別所得補償制度(直接支払い)制度)』を評価・存続を望んでいたのですが、二階氏は『ハードからソフトへ』の流れを逆戻りさせ、予算増に汗をかく自民党への投票を呼びかけたのです。たとえば、一昨年秋の新潟県知事選でも二階氏は、土地改良事業関係者に予算増の実績を訴えながら自公推薦候補への投票を呼びかけました」(永田町ウォッチャー)。

 国民の税金を土地改良事業を介して選挙対策に流用しているようにしか見えないが、この“二階流方式”は新潟だけでなく、名護市長選でも提案されたのだ。

二階幹事長が土地改良事業を盾に投票を呼びかけ! 露骨な利益誘導選挙発言を直撃すると…

 1月4日昼前に沖縄入りした二階氏は、まず那覇市内のホテルで自民党沖縄県連の関係者らと選対会議と地元経済人と懇談をした後、4年前の自主投票から推薦に転じた公明党県本部に挨拶。続いて午後から名護市内のホテルで、渡具知候補や選対幹部の末松文信県議(前回の市長選候補)らとの意見交換会に臨んで頑張ろう三唱をした後、百戦錬磨の二階氏からこんな助言が飛び出したのだ。

「私は土地改良事業連合会に行って来ますから、土地改良の方に声をかけて下さい。選挙で仲間が沢山いれば、何倍も力が出てきますから皆さん、よろしく」

 すると、意見交換会の参加者は「はい。頑張りましょう」と即答、お開きとなった。第二次安倍政権時代の予算増額を背景にした「土地改良事業関係者への投票依頼提案」が異議なく了承された瞬間だった。報道関係者の目の前で、「旧態依然とした得意技を名護市長選でも使う」と堂々と宣言したともいえる。新潟県知事選と同様、黙っているわけにはいかないと思い、囲み取材なしで立ち去ろうとする二階氏を直撃をした。

――二階先生、土地改良費は選挙対策費ですか。土地改良事業と選挙がバーターじゃないですか。利益誘導選挙ではないですか。
二階氏 そんなことはない。

――—露骨じゃないですか。
二階氏 そういうことはありません。私はいろいろな仕事をずっと説明してきましたから。

選対幹部県議に直撃するも「あなたの耳は変だね」

「バラマキではないのですか。露骨な選挙対策ではないですか」とも声をかけたが、二階氏は立ち止まることなく、スタッフとエレベーターに乗り込んでしまった。二階氏からは詳しい説明が訊けなかったので、意見交換会の司会役を務めた選対幹部の末松県議にもぶら下がり取材で訊いてみた。

――土地改良区のことを二階幹事長は言っていましたが、選挙対策のように聞こえたのですが。
末松氏 そんな話は聞いてない。

――(土地改良区関係者に)選挙で声をかけようと言っていましたが。予算増加の見返りとして投票して下さいと聞こえたのですが。
末松氏 あなたの耳は変だね。

――新潟県知事選でも同じことをやっていますよ。予算増と選挙対策がバーターじゃないですか。二階さんは土地改良のところを回ろうとはっきり言いましたよ。
末松氏 聞いていないね。

――(二階幹事長が会合で)さっき言ったじゃないですか。
末松氏 聞いていないね。

 こう言って車に乗り込んだ末松氏だが、この時のぶら下がり取材には地元の報道関係者が数名はいた。複数の記者の前で末松氏は堂々と嘘をついたといえるのだ。なお二階氏は意見交換会の冒頭、自公推薦候補の渡具知氏と支持者らにこんな挨拶をしていた。

「我々自民党としても是非とも皆様方にお目にかかって、これからの(名護市長選)勝利に向けて、いろいろな秘策などもあろうかと思いますが、皆様のご意見を伺った上で一緒になって最後まで戦い抜く。勝利というのは、私も長い間選挙をやっておりますが、最後まで頑張ったものが勝つ。どこの選挙でもそうです。理屈がどうのこうのとか背が高い低いとか、そんなことをいくら言っても何の役に立たない。やっぱりみんなで団結して、最後まで勝ち抜くまで頑張った人が勝利するわけですから、皆様方の一層の奮起を心からお願いして、ご挨拶とします」

菅官房長官の「名護東道路完成前倒し」表明も、選挙対策の一環!?

 名護市内にある土地改良事業の事務所に「予算増の恩恵を受ける市内の関係者数」を聞くと、「約1200人」という答えが返ってきた。名護市で約2500票とされる公明党の基礎票の約半分。4年前の投票総数が3万5733人(有権者数は4万5千人)で1万8千票程度が当選ラインの市長選では、無視できない人数といえる。「各地に一定程度の割合で存在する土地改良事業関係者から大量集票を狙う」という秘策は、二階氏が長年の利益誘導型選挙から産み出したものに違いないのだ。

 また菅官房長官が表明した「名護東道路」の完成前倒しも、土地改良事業予算増と同様、投票を促す効果が期待できる。市内大手の建設会社「東開発」や「屋部土建」がすでに名護東道路の工事を受注、前倒しや延伸となれば、受注増が確実に見込めるからだ。

 この道路推進でも、官邸と自民党本部の足並みはそろっていた。二階幹事長や塩谷立選対委員長や萩生田光一幹事長代行らとの選対会議を終えた照屋守之・自民党沖縄県連会長は、囲み取材で「名護東道路の前倒しの方針は政府も自民党本部も同じ。党本部も挙げて沖縄のことは一生懸命やっていこうという姿勢の表れ」と答えたのだ。そこで「名護市長選とバーターという見方もあるが」と訊いたが、照屋氏も二階氏と同じように「それはない」と否定した。

 告示後は人気抜群の小泉進次郎筆頭副幹事長を投入して票の上乗せを狙う安倍自民党だが、基地受入を札びらでゴリ押しする利益誘導の実態をどこまで覆い隠せるのかは未知数だ。全国注目の名護市長選は、国民の税金を選挙対策に流用するに等しい“アベ土建政治”の化けの皮が剥がれるのか否かの天下分け目の決戦でもあるのだ。

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