東日本大震災から8年、安倍政権の被災者切り捨て、棄民政策の実態 「復興五輪」と銘打ちながら復興を妨害

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復興をアピールする安倍政権だが…(首相官邸HPより)


 本日、東日本大震災から8年を迎える。犠牲者数は「震災関連死」を含めて2万2100人を超え、いまなお避難生活を余儀なくされている人は約5万1778人、福島第一原発事故が発生した福島県では約3万2600人が避難生活を強いられている。

 だが、政府は現実とは裏腹に「復興」をアピール。その象徴が、来年開催される東京五輪だ。

 たとえば今月、聖火リレーの出発地を、福島第一原発から約20キロの場所に位置する、原発事故の対応拠点だった「Jヴィレッジ」にする方向で大会組織委員会が最終調整に入っていると報道されたが、これは五輪招致演説で「アンダーコントロール」などと大嘘をついた安倍首相の発言を正当化するための政治的な判断でしかない。

 現に、安倍首相は、震災発生翌年の2012年からおこなわれてきた3月11日の会見を「一定の節目を越えた」などという理由で2017年に打ち切り。さらに、安倍政権は避難指示を解除する“帰還政策”を進めてきたが、たとえば避難指示解除から約2年が経った飯舘村に戻った村民は1割余り。同じく富岡町も1割に満たない状態だ。

 しかも、2017年3月末には自主避難者への住宅無償提供が打ち切られたが、今年3月末には家賃補助も打ち切られる。8日の参院予算委員会では、福島県出身の共産党・岩渕友議員が「国家公務員宿舎への入居は3月末で打ち切られる。約半数は住まいが決まっていないのに、退去しない場合は2倍の家賃を請求される。追い出し以外の何物でもない」と指摘したが、渡辺博道復興相は「福島県が主体」などと責任逃れの答弁に終始した。

「復興五輪」を掲げることであたかも「復興」が進んでいるかのように印象付ける一方、「復興」が果たされていない現実を無視し、被災者支援を一方的に打ち切っていく──。これでは五輪を大義名分にした棄民政策ではないか。

 実際、被災3県に暮らす人びとの東京五輪に対する視線は厳しい。

 たとえば、朝日新聞が被災3県の住民にアンケートを実施し、「東京五輪・パラリンピックが復興に好影響を与えると思うかどうか」を質問したところ、「思わない」と答えた人が68%にもおよび、「思う」と答えた人はわずか27%だった(朝日新聞3月9日付)。

 こうした思いを抱いているのは、被災者だけではない。宮城県気仙沼市でK-portという名前のカフェを開くなど被災地復興活動に力を入れている俳優の渡辺謙は、2月11日付朝日新聞DIGITALのインタビューでこのように語っている。

「2020年の東京五輪だって、復興五輪のはずなのに経済五輪になっているところが気になります。日本が復興していく姿を世界に見せていくんだというところに端を発しているはずなのに、経済効果だけを考えるオリンピックになっている気がします。東京だけ盛り上がって、東北が全然そっちのけっていうかね。遠い国の話みたいな感じなんじゃないかなあ」

 また、先月2月24日に亡くなった日本文学研究者で、東日本大震災後に日本国籍を取得し、日本に永住すると表明したドナルド・キーン氏も、「復興五輪」の欺瞞をこのように喝破していた。

「私は、もともと東京五輪には反対だ。まだ、その時期ではない。「復興五輪」と銘打ちながら、東日本大震災や原発事故の被災地の復興とは無関係だ。むしろ、五輪関連の公共事業によって職人が不足し、復興の遅れや費用の高騰を招いていると聞く。原発事故の後始末もこれからだ。
 被災地にもスポーツ観戦が好きで、東京五輪を楽しみにしている人もいるだろうが、大震災から六年たっても、それどころではない被災者は少なくない」(東京新聞2017年6月11日付)

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