早野龍五・被曝論文の重大誤りに糸井重里は? 福島原発後に“放射能汚染たいしたことない”論を振りまいた責任

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ベストセラーとなった糸井・早野共著『知ろうとすること。』(新潮文庫)


 福島第一原発事故について「安全」神話を振りまいてきた東大名誉教授の論文に、とんでもない問題が発覚した。早野龍五・東京大学名誉教授らが、原発事故後の福島県伊達市の住民の被曝線量を分析した論文について、市民の被曝線量を3分の1に少なく見積もっていたことを本人が認め、この論文が掲載されたイギリスの放射線防護専門誌「Journal of Radiological Protection」に修正を求めたというのだ。

 この早野氏らの論文をめぐっては、以前から高エネルギー加速器研究機構(KEK)の黒川真一名誉教授が論文データに矛盾があると指摘しており、論文掲載誌に問題を指摘するレターを投稿。早野氏は昨年12月28日付けの毎日新聞の取材に対し、「計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していた」と答えていた。また、伊達市が住民に線量計を配って測定した被ばく線量のデータについて本人の同意を得ていないものが含まれていることが発覚しており、住民は東大に研究倫理違反の申し立てをおこなっている。

 同意が得られていないデータが使用されている時点で論文としては大問題であり、なによりも衝撃的なのは個人の被曝線量が3分の1に過少評価されていたことだ。だが、早野氏は「重大な誤りだが、計算プログラムの書き間違えによるもので、意図的ではない。被ばく量が3倍になっても1年の平均では1ミリシーベルトを超えないレベルに収まると考えている」などと回答。データの同意問題についても「住民の同意を得ていないデータが含まれていることは知らなかったが、データを使ったことは事実で申し訳なく思う」(NHKニュース8日付)と答えている。

 無論、これは「意図的ではない」「論文は修正する」で済まされるような問題ではない。実際にこの論文は、昨年の放射線審議会の会合において、放射線基準を検証する資料として使用されるなど、国の政策に影響を与えているからだ。しかも、早野氏が8日に示した見解に対しては、すでに複数の科学者らから“ほんとうに計算ミスなのか”などという矛盾や疑問点も寄せられている。

 そもそも早野氏は、原子力の専門家でも放射線医学の専門家でもない。だが、原発事故後から積極的にTwitter上で発信をおこない、たとえば2011年3月11日にメルトダウンに言及した吉岡斉・九州大学大学院教授に対し、水野義之・京都女子大学教授が〈理解できないなぁ〉と投稿した際、〈全くです〉と同意。現実にはこのツイートが投稿されたときにはメルトダウンは起きていた
わけだが、さらに関東地方で雨による放射性物質の降下が心配されていた同年3月21日、早野氏は〈首都圏でも雨の日には外出するなという意見もあるそうですが、私は以下のソースから推測して、普段どおり外出します〉と投稿し、翌日にはこんなツイートをしていた。

〈(Metroおりて地上に出たら広尾は雨.「春雨じゃ、濡れてまいろう」と洒落てみたいが,そもそも傘持ってないし,隣に雛菊もいない.でも,気分だけは半平太.ゆるゆると濡れて帰ろう.たまには体動かさないとね.)〉

 実際には21〜22日に放射性プルーム(放射性雲)が関東地方を流れ、雨によって汚染が広がった。〈特に21日朝は茨城県南部や千葉県北東部で放射性セシウム濃度が急上昇。その後、東京湾北東沿岸部へと南西に移動した。その間、雨で沈着し、各地で「ホットスポット」と呼ばれる局地的に線量の高い場所を作った〉と考えられている(毎日新聞2014年9月5日付)。そんな最中に〈「春雨じゃ、濡れてまいろう」と洒落てみたい〉と、あえて“雨に濡れても大丈夫”とアピールするとは、「プルトニウムは飲んでも平気」などと安全神話を喧伝するのに躍起になっていた原子力ムラの御用学者たちと何ら変わりはない。

 果たして、被曝線量を3分の1に過少評価していたのは、たんなる「計算ミス」なのか、それとも「意図的」な捏造なのか──。今後、第三者の専門家による徹底した検証が求められるが、本サイトが注目したいのは、早野氏を“信頼できる学者”としてスターダムに押し上げた、あの人物について。そう、糸井重里氏である。

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