不倫なのに"純愛報道" 中山美穂を矢口真里に置き換えてみたら

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『美ST 2014年07月号』光文社/『矢口真里写真集 ヤグチ』ワニブックス


【messy初出】(2014年6月)

 夫・辻仁成との離婚協議中の中山美穂が、音楽家・渋谷慶一郎との不倫を「女性セブン」(6月5日号/小学館)にスクープされた。中山が離婚を決意した理由は、辻の"見た目の激変"によるものとされてきたが、これでは中山にも非があったと見られてもおかしくはない、形勢逆転ともいえるスキャンダルである。

 ……のはずなのだが、いくつかの週刊誌が後追いをするくらいで、なぜか日刊ゲンダイを除くスポーツ紙やワイドショーはダンマリ。そもそも肝心の「女性セブン」でさえ、見出しは『中山美穂に新恋人!「もう迷わない、私の人生」』と、まるで離婚が成立した後のような扱いなのだ。

 しかも、驚かされるのはその本文である。冒頭から「とにかく、恋のときめきがなかったら、ただ生きている昆虫と変わらないわ」などと、ジャンル・モローやココ・シャネル、ブリジット・バルドーの"アムール(愛)に生きた女たち"の名言を引用。「彼女たちはいつまでも女を捨てることなく、母でも、妻でもなく、永遠に女として生きている」と、まるで化粧品のコピーのような言葉が並び、一体何の記事なのか訳がわからない状態に。

 さらに、いざ話題が中山と渋谷の密会に移ってもそのトーンは変わらず、「男性はそっと手を伸ばして中山の手首あたりをつかんだ。少し驚いた様子で中山が男性を見上げると、男性は少し照れくさそうに笑った」と、歯の浮くような描写が全開。コンビニで買い求めたアイスを食べ歩きする様子などを微笑ましくレポートするのだ。

 かと思えば、妻を亡くした渋谷の苦悩をとうとうと綴り、一方で中山はフランスでの夫婦生活を原因に"何年も前から離婚を考えていた"と強調するなど、あたかも恋に落ちるのが必然だったかのような純愛小説の基本パターンを忠実になぞっていく。そして最後には、「女を捨てることなく、迷いなき愛に生きる彼女の生き方は、アラフォーといわず、全世代の女性の胸を高鳴らせることだろう」と唐突に宣言して終了……。

 まあ、なんてステキな恋愛なんだろう! と感心した人は、ちょっと待ってほしい。同じく「女性セブン」が広末涼子と佐藤健の不倫をスクープしたときは"許されざる恋"と断罪し、見出しでは『12cmピンヒール網タイツで佐藤健訪ねた「不倫」の夜』と、ご丁寧にビッチ感を煽っていたではないか。

 中山の場合は離婚協議中とはいえ、女性週刊誌は「不倫」「浮気」がもっぱらの大好物。通常運行ならば『別居中の不貞!中山美穂アイス買い食い密会』くらいの見出しになっているはずだ。なのに、今回の記事中に「不倫」「浮気」という言葉は一切見当たらない。

 もちろん、この理不尽な"扱いの違い"には理由がある。中山といえば、"芸能界のドン"から寵愛を受けてきた女優のひとり。所属事務所も、有力芸能事務所・バーニングプロダクションの直系であることは古くから知られている通りである。すなわち"事務所の力"の差によって、不貞も"純愛"となり、美談に書き換えられるというわけだ。

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