アベノミクスのインフレ政策は間違い! デフレが日本を救うは本当か

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「Thinkstock」より

【ビジネスジャーナル初出】(2014年3月)

 安倍晋三政権の経済再生策、いわゆるアベノミクスを支持してきた株式市場が2014年に入り、不安定な動きを見せている。アメリカの景気失速、資源国の経済不安に加え、安倍首相の靖国参拝などで日中関係がさらに悪化したことから、外国人投資家が日本株の売りを加速させているためだ。

 だが、こうした状況になる以前から、アベノミクスに対する懐疑的な声は少しずつ大きくなっていた。

 アベノミクスはインフレ・円安を推奨する政策。インフレが進めば円安になり、輸出も内需も拡大し、企業の利益が伸びて経済成長が実現できる。雇用を拡大し、勤労者の賃金を上昇させ、生活は良くなるはずだった。ところが、現実には円安政策によって、石油や農産物の輸入価格上昇が国内の小売価格にまで波及して、国民の生活が苦しくなる輸入インフレの傾向が強くなっている。加えて、円安にもかかわらず、輸出はそれほど増えていない。なぜなら、輸出増に貢献するはずの直接消費者に売る最終消費財の工場は、すでに低廉な労働力の海外に進出済みであり、現在の輸出製品の大部分は機械装置や部品などの資本財・中間財となっているためだ。これでは、輸出先の景気が回復しない限り、輸出増には結び付かない。

●インフレは富裕層だけが得をする

 そんな中、異色の経済本が出版された。『99%の国民が泣きを見るアベノミクスで貧乏くじを引かないたった一つの方法』(増田悦佐/マガジンハウス)だ。著者の増田悦佐氏は、ニューヨーク州立大学助教授を経て世界的金融グループのHSBC証券など外資系証券会社で勤務した経歴を持ちながら、米国の経済政策を徹底批判してきたエコノミストだ。増田氏は本書の中で、そもそもアベノミクスのインフレ政策に決定的な錯誤があると指摘している。

「(インフレは)借金のし放題というひと握りの恵まれた連中だけがますます儲けて、ふつうの庶民にはちっとも恩恵が及ばない、まさに国民の99%が泣きを見るような経済状態なのだ」(本書より)

「物価の上昇と通貨価値の下落が継続的に続く状態」であるインフレでは、借金をしても実質負担が減る。儲けられるのは、多額の借金があって、その借金の元本の目減り分が非常に大きい人たち、政府や一流企業、金融機関、個人でいえば一部の金持ちに限られるというわけだ。

 それはインフレを目指してきた米国を見ればわかるという。一部の富裕層へ富が集中し、所得上位1%の所有分が2割近くに及ぶ。一方で、飲食業界などの勤労者は低賃金。医療サービスや大学の授業料は値上がりし、貧富の格差を示すジニ係数は日本よりかなり高い。インフレで勤労者の所得が増えるわけではないのだ。

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