贅沢三昧ぶりに庶民騒然!"新富裕層"から税金をしぼり取れ!

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●納税を逃れるために、富裕層の海外流出が止まらない

 こうした現状に対し、日本でも"新富裕層"の不満も出ている。例えば「知り合いのゲーム会社のオーナーは、会社を売る前にシンガポールに移住した。そういう人たちがたくさん出てきているし、さらに出てくるだろう。それでいいのか」という声だ。これは、エイベックス・グループ・ホールディングス社長の松浦勝人氏が自身のフェイスブックで「富裕層は日本にいなくなっても仕方ない」などと投稿したものだ(8月2日)。

 松浦氏は「地方税とあわせれば55%という税金が所得にかけられる」税制に対し「僕としては、税金は個人の所得報酬に対して/50%という国との折半が我慢の限界だった/所得税が20%代の国はたくさんある。相続税のない国もある/こんなことをしていたら/富裕層はどんどん日本から離れていくだろう/僕の場合は会社もあり会社を辞めることは/不可能だから日本に居つづけなければならい」(原文ママ)と、富裕層への増税(所得税の累進課税の強化)への不満を表明している。

 これは、"新富裕層"によくある「成功した自分の『努力』だけが特別なもの」と考える思考パターンだ。その種の才能がある人間がレバレッジの高いビジネス分野にいれば、莫大なリターンが得られる。その"運"によって生まれる、行き過ぎた不均衡を調整するのが、所得が高くなればなるほど税率が高くなる所得税の累進課税。国が税金として徴収し、教育、福祉に資金を投入することで格差を調整するという所得再分配は、経済学(とくに財政学)では一般的な考え方だ。

 また、税率が低い国は、富裕層の流入をもくろむ小国か(スイス、シンガポールなど)、ロシア、東欧諸国などの新興国ばかりだ。

 さらに、租税回避行為に関しては、日米は厳しい姿勢をとるようになった。『タックス・ヘイブン』(志賀櫻著/岩波新書/13年)によれば、米国IRS(内国歳入庁)は08年、スイス銀行の1つUBSに対し、米国人富裕層の隠し口座をすべて明らかにするように求め、連邦地裁に提訴。UBS側が敗北。スイスの悪名高い銀行秘密保護法は実効性を失った。また、13年施行されたFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)は「米国人の口座を有する外国金融機関は、IRSにその内容を報告しなければならない」というもので、米国人の財産はIRSに管理されることになった。

 日本でも、13年末から国外財産調書制度が始まる。これは海外保有資産が5000万円を超える場合、税務当局に報告する制度だ(違反した場合には、罰則あり)。NHKスペシャルでは、このあたりの動きの解説が足りなかった。

 シンガポールの日本人"新富裕層"も、日本でのビジネスや日本に住所がある場合などには、国税庁によって厳しく管理されるようになるわけだ。シンガポールのバブルの宴も、そろそろハジけ時かもしれない。

 また、米国人は国籍ベースで所得課税がなされ、海外移住の際にも出国税が課税される。それと比べれば、日本の国税庁の動きは、まだまだぬるいのが実情だ。
(文=和田 実)

最終更新:2018.10.18 01:46

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