安倍応援団が「森友文書の『本件の特殊性』とは同和のこと」なる悪質差別デマを拡散中! 発信源は今井尚哉首相秘書官か

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「週刊文春」(3月22日号)も怪情報の発信源と指摘

 森友文書改ざん問題を受けて安倍政権が窮地に立っているなか、いま、ネット右翼たちが口々に言っているデマがある。それは「森友文書に出てくる『本件の特殊性』は同和絡みの土地という意味」なるシロモノだ。

 もちろん、この「特殊性」前後の文脈から考えても、「安倍昭恵夫人の関与」のことであって、「同和絡み」という意味なんていうのはありえない。

 しかし、Yahoo!JAPANの「リアルタイム検索」機能で調べてみたところ、Twitterでは財務省が改ざん事実を認める方針が伝えられた3月10日から11日にかけ、「本件の特殊性」の文言について〈元々同和地区で在日や山口組系の産廃業者の利権が絡むいわくつきのやばい土地〉というようなツイートが増え始め、文書が公開された12日から13日にはさらに急増。以下のようなツイートも大量に拡散されたのだ。

〈本件の特殊性を鑑みて… 野党が意気揚々と『特殊性』って何だ!総理の関与だろ!って、突っ込んでるけど、あれは解ってやってる。印象操作。同和産廃不法投棄、空路の騒音係争等々の曰く付き物件。これが本件の特殊性〉

いや、ネトウヨだけでない。安倍応援団の右派評論家たちも、このタイミングで一斉に「『特殊性』とは同和のこと」というデマを振りまき始めている。

 たとえば評論家の池田信夫氏は、12日、自民党の和田政宗参院議員が〈財務省の報告書を読むと、何でこんなことをする必要があったのかと唖然〉などとツイートしたことに同調して、〈これが(私を含めて)本件を理解できない原因。改竄する合理的な理由がない。昭恵さんの名前は籠池が出しただけだし、「特殊性」もゴミにからむ同和の問題だろう〉と投稿している。

 また、日本文化チャンネル桜の水島総社長と、「朝日のスクープはフェイク」などと主張していた経済学者の高橋洋一氏も、15日に公開された番組『Front Japan 桜』で、こんな会話を展開していた。

高橋「財務局が“特殊性”って書きますね、“特殊”って。その“特殊”ってのは野党から見ると忖度の特殊って思うんですけど、私が読む“特殊”ってのは、まあ普通に考えると貸付契約みたくしてるから“特殊”ですね。あとねえ、もうちょっとねえ、土地が“特殊”だっていう意味(笑)。(後略)」
水島「はい。あのー、これはまあ、あの、高橋さん言いにくいかもわかんないからあれだけど、まあそういうね、隣の土地とかあれ見ると、あのー、同和系のね、あのー、まあ、業者とかね、いろいろ入ってるのを見れば、どういうことかってのも想像つくと思いますけどね」
高橋「つきますね」
水島「非常にまずいんです、だから」
高橋「特殊性っていうのをね……でも、それね、この話ってね、実はね、地上波ではね、NGなんですよ」

池田信夫や高橋洋一も口にした「本件の特殊性=同和」説は明らかなデマ

 ネトウヨの水島社長はともかく、元財務官僚であるはずの高橋洋一氏までが、明らかに「『本件の特殊性』とは、同和問題に関わる『土地の特殊性』だ」と示唆していたのだ。いったいどういう神経をしているのか。

「特殊性とは同和のこと」などという短絡的な決めつけが許しがたい部落差別であることはもちろんだが、さらに問題なのは、あの土地を「同和の土地」「同和の産廃利権絡み」とする情報じたいがなんの根拠もないということだ。

 事実、地元の事情に詳しい人や部落解放同盟関係者など、複数の情報源にあの土地が同和地区かどうかを確認してみたが、いずれからも「ありえない」「そんな話は聞いたことがない」という答えが返ってきた(本来は、特定の地域が同和地区かどうかを問題にすること自体、差別に加担する行為で抵抗があるのだが、どの部分でデマが生じたかを検証するためにあえて取材した)。

 また、経済事件や暴力団関連の取材を続けている関西在住のジャーナリストに問い合わせたところ、苦笑まじりのこんなコメントが返ってきた。

「実は、森友のあの土地を『同和』に結びつける話は、昨年2月の問題発覚の少し後に流れてたんよ。それで、一応、確認のために取材してみたけど、まったく根拠がなかった。産廃業者の利権絡みとかいう話も同じ。だいたいあの土地は、1974年に伊丹空港周辺に係る騒音対策区域に指定され、大阪航空局所有の行政財産となった国有地やからね。そんな古い話、誰も知らないし、いまも利権が生きているなんてありえない。我々もちょっと取材しただけですぐにガセネタだってことがわかったので、まったく記事にしてないし、噂もいつの間にか立ち消えてしまった」

 そもそも、この土地が「買い手がつかない土地だった」という話も、疑惑発覚から少し後に、真っ赤な嘘であることがわかっている。森友学園が申し出る前に大阪音楽大学が7億円での購入を希望し、国側から“安すぎる”と拒否されていたことが発覚しているのだ。こうした点から考えても、「本件の特殊性というのは同和のこと」というのは、完全なフェイクであることは明らかだ。

 もし、それでもこの情報が真実だというのならば、池田信夫センセイや高橋洋一センセイはぜひ、この土地が「同和絡みのため買い手がつかなかった」ことの具体的証拠を出して証明していただきたい。

 おそらくそんなことはできないだろう。ようするに、連中は、安倍政権の疑惑に蓋をするために、「同和タブーだ」とちらつかせれば、話をそらせると考えて、このデマに飛びついただけなのだ。

「週刊文春」が「怪情報」の発信源を今井尚哉首相秘書官と名指し

 権力の不正を隠蔽するために、差別デマを垂れ流すというのは二重の意味で卑劣な行為であり、まったく反吐が出るが、しかし、解せないのは、いったん沈静化していた「同和絡みの土地」というデマがここにきて、なぜ再び語られ始めたのか、だ。それも、ネトウヨだけでなく、れっきとした評論家やジャーナリストまでが、あたかも事実のようにそのことを語り始めているのだ。

 実は、15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)3月22日号の森友特集記事のなかに、その要因を示唆する記述があった。

「週刊文春」によると、“影の総理”との異名をもつ今井尚哉首相秘書官が文書改ざん問題に対する緊急対応を取り仕切り、さまざまな情報を流しているというのだ。たとえば、自殺を遂げた近畿財務局職員についても、今井秘書官の周辺から「地検の聴取を受けた後、自殺した。地検の聴取が酷かったらしい」なる怪情報が流されていたというが、これもガセであることがわかった。そして注目すべきは、この後に続く官邸担当記者のコメントだ。

「今井氏らは夜回り取材などにも饒舌になって、Aさん(引用者注:自殺した近畿財務局職員)の自殺を書き換え問題と関連付けないように記者を誘導していました。他にも『〈特殊性〉は人権問題に配慮してそう書いた』との情報を流布させ、事態の矮小化を図っていました。ですが、言うまでもなく、本件の“特殊性”とは、首相夫人が関与し、異例の取引が行われたことに尽きます」

 この「森友文書の『特殊性』は人権問題に配慮して書いた」という発言は、どう考えても「特殊性は同和のこと」と言っているに等しい。「週刊文春」の記事が事実とすれば、「特殊性は同和のこと」情報は今井秘書官周辺から新聞・テレビの政治部記者に流れ、さらに安倍応援団の評論家やジャーナリストに伝わったと考えられる。

 実は、今井秘書官についてはここにきて、森友問題の異常な土地取引や改ざんに直接関与しているのではないかとの憶測も広がっている。自分にかかる疑惑をごまかすために、こうした怪情報をふりまいているかもしれない。

 しかし、何度でも繰り返すが、今回の“同和絡みの土地だから特殊な取引になった”なるデマは、差別を助長するものであるうえ、その差別性を自らの疑惑に蓋をするために利用するという二重の意味で悪質なものだ。そんなデマを政権中枢が口にするなんていうことが許されるのか。

 だが、残念なことに、これこそが安倍政権の常套手段でもある。安倍政権はこれまでも、こうした差別的デマを使って自分たちの疑惑や不正を隠蔽し、批判者を攻撃してきた。そして、その手法は応援団メディアや支持者のネトウヨに広がり、いまやこうした謀略的なデマ攻撃はこの国の言論を覆い尽くそうとしている。このグロテスクな言論状況を食い止めるためにも、元凶である安倍政権を絶対に倒す必要があるだろう。

最終更新:2018.03.21 03:50

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