指原莉乃がセクハラ問題で「ハニートラップの可能性」発言! 男の論理を内面化する指原に聞かせたい、はあちゅうの言葉

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『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)

 はあちゅうこと伊藤春香氏が、ネットメディア「BuzzFeed Japan」で電通在籍時の先輩クリエイター・岸勇希氏によるセクハラ被害を告白し大きな話題となっている。ハリウッドの大物プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラ被害の告発をきっかけに、SNS上で「わたしも」という意味のハッシュタグ「#MeToo」でセクハラを告発するムーヴメントが起きているが、はあちゅうも「#MeToo」に背中を押されて告白を決意したのだという。

 そんななか松本人志、東野幸治、指原莉乃、古市憲寿と出演者がそろって安倍首相と焼き肉会食をしていたことが発覚したばかりの『ワイドナショー』(フジテレビ)も17日、このセクハラ事件の話題を取り上げた。

 紹介されたのは、すでに多くのニュース番組やワイドショーでも報じられている、福井県あわら市の橋本達也市長と岩手県岩泉町の伊達勝身町長(今月8日に辞職)という、地方自治体の首長2人によるセクハラだった。

 醜悪極まりない言い訳や開き直りをするところも含めて典型的な日本のオヤジのセクハラ事案だが、2人とも地方自治体の首長という大きな権力をもつ立場にある人間ということを考えればさらに悪質極まりないと言える。当然ながら批判が殺到し、伊達・岩泉町長は辞職に追い込まれ、橋本・あわら市長にも市議会が辞職勧告を決議する方向だという。

 ところが『ワイドナショー』ではこの2つのセクハラ事件の感想を求められた指原莉乃がこんなことを言い出したのだ。

「もちろん女性が被害に遭うことに違いないし、絶対あってはいけないことだと思うんですけど。でも立て続けにこうなると、市長さんとか町長さんだと、よく思っていない人も多いじゃないですか。だからハニートラップの可能性も今後増えてくるかもしれないじゃないですか」

 セクハラでハニートラップ? ハニートラップや美人局というのは一般的に、性的関係をネタに機密情報や金銭を脅し取るというもので、セクハラ被害でハニートラップというのは成り立たないと思うが……。

「セクハラなんて自分にもまわりにもない」と言いきった指原莉乃

 さらに指原は、自身がセクハラやパワハラの被害にあったことはないかと問われ、当然のようにこう答えたのだ。

「本当にないです。言われたことないですし、まわりもたぶんない」

 自分がセクハラ被害に遭うなどあり得ない。指原の言葉は、まるで被害に遭ったなどというのは“恥”とでも言わんばかりの勢いだった。さらに、橋本市長のセクハラが女性が運転する車の中で起こったことに触れ、「ドライブに行ってるわけじゃないですか」と、女性の落ち度をあげつらうようなコメントまでしたのだ。

 それにしても、セクハラが自分にもまわりにも一切ないって……。これまでにも指原の周辺では元AKB役員がメンバーの着替えやシャワーを盗撮した画像や映像が大量に存在することが発覚した事件が報じられ、その大量画像のなかには、運営幹部や電通社員の接待をさせられている画像も見つかっている。その際、当時20歳の高橋みなみがひげ面の男性に抱きつきその勢いからかパンティがちょい見えしているものや、当時18歳で未成年だった峯岸みなみが飲酒して幼稚園児のコスプレで男性の膝に座っている姿まであった。ああいうのは一般的に言えばセクハラそのものではないのか。
 
 だいたい本サイトでくり返し指摘しているように、秋元康がAKBグループに提供している歌詞には女性蔑視やセクハラ的な内容が多く見られるし、指原自身もまた、メディア上で公然とブスいじりなどセクハラまがいの発言を繰り返し非難を浴びているが、今回の指原の発言もまた、セクハラ被害に対し勇気をもって告発した女性を貶めるもので、セカンドレイプとも言える悪質なものだ。さらに被害者に対する中傷だけにとどまらず、今後セクハラ被害に悩みこれからセクハラ被害を訴えようとする女性に対して抑圧効果すらある。

 指原も同じ女性なのになぜ?と思う読者もいるかもしれないが、空気を読むことに長けた指原は、松本人志が代表する『ワイドナショー』の言いたいこと、オヤジ社会が言ってほしいことを察知し代弁したのだろう。というのも、指原は、“大人のエライ男性たちの意見を疑問視せずに内面化する”ということが“処世術”だと信じているような面があるからだ。

安倍首相には「子供を産めるだけ産みますよ。国に貢献したい」

 実際、指原がオヤジ側の立場に立ち女性を非難するような発言をするのは、今回が初めてのことではない。

 たとえば、HISによる「東大美女図鑑の学生たちが 、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれる!」というキャンペーンがセクハラだと批判を受け、企画が中止された一件を『ワイドナショー』が取り上げた際も、そうだった。

 HISの企画は女子大生を接待要員として扱っておりセクハラとの批判は当然のものだったが、このときも指原は、

「それよりも、それに乗っかった一般の学生さんが気持ち悪いなって」
「私はセクハラとは思わないし、女性差別? なんて言うんだろう、そういうのは思わないんですけど、ただただチヤホヤされたいんじゃないのかなと思って、その女子大生が気持ち悪いって思っただけです」

 などと、企画そのものよりも、企画に参加しようとした女子大生のほうを非難した。

 また、指原がアンチファンからネット上で“ゲロブス”と呼ばれていることを知ったプロデューサーの秋元康が、驚くことにこのあまりに酷い蔑称を大いに気に入り、「ゲロブスいいよ」「ゲロブスっていえば指原、っていうのを定着させたい」と言い出したことがある。しかし当の指原は、怒るどころか、著書『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)のなかで、秋元氏に同調するかのような文章を綴っている。

〈おとなしい美人には意味がないって言いましたけど、親しみやすさのないブスって最悪だと思う〉
〈私の周りのみんなに「ブスって言わないでください!」と言ったとしたら、「ううん。別にいいけど、他に言うことないよ」と腫れ物扱いされかねないじゃないですか。でも「ブスでOKです!」と言っておけば、イジッてもらえるかもしれない。(中略)そうやって世の中に出てきたのが、指原という女です〉

 先日、松本らとともに会食した安倍首相に対しても、そうだった。安倍首相が出演した『ワイドナショー』で松本から「子ども何人くらいつくろうとしてるの?」と問われた指原は、「産めれば産めるほど産みますよ。国に貢献したい」「身体の限界が来るまで産みます」「安倍さんの話を聞いて、私もちゃんと子どもを産んで、しっかりお母さんにならなきゃって思いました」と前のめりになって発言している。

 その上、この指原の言葉に大満足な表情を浮かべていた安倍首相は、「かつ仕事もね」と念押し。女にあれこれ押し付ける前に産みやすくて働きやすい社会を先につくってよ!と多くの女性はツッコんだことだろうと思うが、指原は「はい、しっかり仕事もします」と即答した。

 エラい男性には一切文句は言わず、ものわかりのいい女性としてふるまう。これが、オヤジ社会のなかで指原が身につけた処世術なのだろう。

 だからセクハラに対しても、「わたしはイヤだと思ったことがない」「セクハラなんてない」と男性を擁護し、「そんなことで文句を言うほうがおかしい」と女性を糾弾する。

はあちゅうは「立ち向かう相手は加害者とその先にある社会」と 

 もっとも、こうした処世術は、指原が男性優位社会のなかで身につけざるを得なかったという側面はあるだろう。

 さらに言えば、『ワイドナショー』では、指原と同じく空気読みの達人・こじるりこと小島瑠璃子もまた、不祥事議員を擁護してみせたり、他メディアでくり返し安保法制に反対と発言していたはずの蛭子能収が「松本さん、賛成って言ったのはビクッとした、勇気ある発言だなって」「俺はわかんないんですよね、はっきり言って」と態度を濁したこともあった。後に蛭子は「週刊金曜日」で日本の笑いをつまらなくしているのは、「笑いの王様である松本人志さんを『忖度』するような周囲の反応」と松本を取り巻く空気を再度批判しているが、そういうことを考えれば、松本が支配する『ワイドナショー』の同調圧力は相当強いのだろう。その意味では指原も「被害者」のひとりともいえる。
 
 しかし、指原自身が自覚的にせよ無自覚にせよ自分が男性目線を容認しているからといって、それに異論をとなえる女性に対して「ハニートラップの可能性がある」などとメディアで発言することは、抑圧以外の何ものでもない。しかも指原のような女性がこのような発言をすることは、男性にしてみれば、「女性もセクハラじゃないと言っている」という言い訳に利用できて好都合だ。

 現に、安倍官邸御用記者・山口敬之氏による性被害を告発した伊藤詩織さんに対する誹謗中傷が巻き起こったことが記憶に新しいように、性被害を訴えた女性が「ハニートラップ」だ「美人局」だとバッシングされるのは恒例となってしまっている。残念ながら、セクハラ男性を擁護し告発した女性を非難する指原のような意見が、現在の日本ではまだまだ根強い。

 アメリカでは「TIME」誌の“今年の人”に「沈黙を破った人」としてセクハラ告発者らが選ばれたり、女優たちがセクハラや男女不平等に抗議を込めて黒いドレスでアカデミー賞の授賞式に出席しようという動きが広まったり、社会全体でセクハラ告発を後押ししようという空気が広がっているのとは大違いである。

 はあちゅうは前述のBuzzFeed Japanの記事のなかで、以下のように語っている。

「私の場合、自分が受けていた被害を我慢し、1人で克服しようとすることで、セクハラやパワハラ被害のニュースを見ても『あれくらいで告発していいんだ…私はもっと我慢したのに…私のほうがひどいことをされていたのに…』と、本来手をとってそういうものに立ち向かっていかなければならない被害者仲間を疎ましく思ってしまうほどに心が歪んでしまっていました」
「けれど、立ち向かわなければいけない先は、加害者であり、また、その先にあるそういうものを許容している社会です。私は自分の経験を話すことで、他の人の被害を受け入れ、みんなで、こういった理不尽と戦いたいと思っています」

 指原は“オヤジの論理”を許容し内面化することで現在のポジションを築いたと自負しているのかもしれないが、自分の処世のために女性を非難する発言が、いかに女性を抑圧するものか、よくよく考えてほしい。

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