水道橋博士も指摘! 『ニュース女子』問題は『そこまで言って委員会』もつくる制作会社「ボーイズ」が黒幕だ

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『ニュース女子」問題の黒幕「ボーイズ」(公式HP)


 沖縄基地反対運動を攻撃する報道で、〈重大な放送倫理違反があった〉という放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会による結論が公表された『ニュース女子』(TOKYO MX)問題。同委員会が決定に際して「重大」という表現を用いることは稀であり、いかに歪められた放送内容であったかが「放送の裁判所」とも呼ばれる第三者委員会によって認められたかたちだ。

 しかし、この決定に対し、番組を企画制作しTOKYO MX に持ち込んでいるDHCテレビジョンは、朝日新聞の取材に「1月に出した見解と相違ございません」と回答。その1月の見解では、「基地反対派の取材をしないのは不公平」という声や、「のりこえねっと」共同代表・辛淑玉氏に対するヘイトデマをおこなったことへの批判に対し、こう反論していた。

〈基地反対派の言い分を聞く必要はないと考えます〉
〈言論活動を言論の場ではなく一方的に「デマ」「ヘイト」と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧であると考えます〉
〈今後もこうした誹謗中傷に屈すること無く、日本の自由な言論空間を守るため、良質な番組を製作して参ります〉

 自分たちが無根拠な〈誹謗中傷〉を散々垂れ流しておきながら、いったいどの口で「誹謗中傷に屈すること無く」などと言っているのか、ただただ呆れるばかりだが、この問題ではTOKYO MX 、DHCテレビジョン以外にもうひとつ追及しなければならない相手がいる。それは、同番組をつくっている制作会社だ。

『ニュース女子』はDHCテレビジョンと「ボーイズ」という制作会社が制作している。そして、この「ボーイズ」は『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ/以下、委員会)の制作会社も手がけているのだ。

『委員会』といえば、安倍首相が何度も出演していることでも知られる露骨な“安倍政権応援番組”であり、同時に嫌韓反中本さながらの内容を平気で垂れ流しつづけている“ネトウヨ製造番組”。最近も、同番組のなかで、『ニュース女子』でも辛淑玉氏に対する悪質なイメージ操作をする発言をした須田慎一郎氏が前川喜平・前文科事務次官の「出会い系バー」通い報道について「取材した」「裏取りした」と言い張り、あたかも前川氏が女性をホテルに連れ込んだかのような発言をおこなうなど、『ニュース女子』とまったく同じ下劣さで、安倍擁護のためのデマを拡散した。

 また、出演者も、須田氏をはじめ長谷川幸洋氏や井上和彦氏など、『ニュース女子』の出演者とかなりかぶっている。

 しかし、それも当然で、両番組は制作会社が同じ、スタッフもかなりかぶっているのである。ボーイズの社長は相原康司なる人物だが、この相原氏は『委員会』と『ニュース女子』両方の番組にプロデューサーとして名前を連ねている。また、ボーイズに所属する複数のディレクターやプロデューサーが両方の「極右番組」を兼任している。

『ニュース女子』をつくったのは『殉愛』騒動で批判を受けたあの会社

 しかも、このボーイズ、たんに番組を下請けしているだけの存在ではない。そのことを如実に物語ったのが例の『殉愛』騒動だった。

 百田尚樹がやしきたかじんと妻・さくら夫人の夫婦愛を描いた『殉愛』(幻冬者)の出版をきっかけに、さくら夫人の嘘や遺産をめぐる不可解な動きが次々発覚したこの騒動だが、ボーイズはその渦中、なんともきな臭い役割を演じていた。

 ボーイズの相原社長は「たかじんの一番の子分」として『殉愛』にも頻繁に登場しているように、たかじんの側近中の側近だった人物。そして、同社はたかじんの生前から『委員会』はもちろん、『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)や『ムハハnoたかじん』(関西テレビ)、『たかじんTV非常事態宣言』(読売テレビ)など、数多くのたかじんブランドの番組を手がけていた。

 だが、そのボーイズと相原社長はたかじんが病に倒れると、たかじんと入籍したさくら夫人に急接近。たかじんの死後は、さくら夫人の代理人のような役目を演じ、さくら夫人をボーイズの取締役に就任させたのである。また、それと前後するかたちでボーイズの子会社「TVTVTV」が設立した営利サイトを「やしきたかじんメモリアル」と改称し、たかじんの追悼ビジネスも手がけ始める。

『殉愛』の嘘を検証した『百田尚樹『殉愛』の真実』(宝島社)には、「さくら夫人と相原氏は、“たかじんマネー”でつながった利益共同体のようなもの」という大阪のテレビ局関係者の証言が掲載されていたが、ボーイズと相原社長はまさにたかじんの死後も、その利権のおこぼれにあずかろうとしていたのだ。

 ところが、『殉愛』騒動でこうした実態が明るみに出てくると、ネットやたかじんの古い知人などから厳しい批判の声が上がり、読売テレビなどたかじんの冠番組を抱えていた在阪テレビ局は軒並み、番組からたかじんの冠を外し、さくら夫人と距離を取る方向で動き始める。そして、さくら夫人と一体化していた相原社長やボーイズも番組制作から外されるのではないかという見方が有力視されていた。

 しかし、こと『委員会』を放送している読売テレビにかぎっては、ボーイズはまったく外されることなく、いまも『委員会』を牛耳りつづけている。

「ボーイズはたかじんの威光をカサに、読売テレビとズブズブの関係を築いている。番組方針もほとんどボーイズが決めており、局側はほぼ言いなりですからね。『殉愛』騒動のときも、一時は局内で、けじめのためにボーイズを外そうという動きがあったのですが、当時の山西俊之制作局長らボーイズと癒着している幹部が猛反対。取締役からさくら夫人を外すことを条件に、ボーイズに制作をつづけさせることで話がついたと聞いています」(在阪テレビ局関係者)

 ようするに、ボーイズは読売テレビにとって、いち制作会社とは思えないような影響力と発言力をもっている存在らしいのだ。

『委員会』を牛耳る制作会社「ボーイズ」がDHCと『ニュース女子』を

 また、この『殉愛』騒動はボーイズの極右ビジネスをさらに拡大させることになった。同社への批判が最高潮に高まり、ちょうどさくら夫人を取締役から外した頃、ボーイズは東京・虎ノ門に支社をかまえたのだ。

 虎ノ門というのは、周知のように、『ニュース女子』を企画制作しているDHCテレビジョンのスタジオと事務所がある場所。すでにこの時点から、DHCをスポンサーに極右番組をつくるというプロジェクトがもちあがっていたようだ。

「当時、相原社長は『殉愛』騒動やたかじんの死で、関西での番組制作が難しくなる可能性を考えて、新しいビジネス、スポンサーを探していた。そんなところに、DHCと出会って、いっしょに新しい番組をやろうということになったようです」(ボーイズ関係者)

 DHCの吉田嘉明会長は公式ホームページでヘイトスピーチを載せてしまうような極右思想の持ち主。ようするに、吉田会長の思想を体現するような番組づくりのパートナーとして名乗りをあげたということらしい。

 そして、その先兵役となったのが今年10月にDHCテレビジョンの代表取締役社長に就任した山田晃氏だった。じつはこの山田氏、前述したボーイズの子会社「TVTVTV」の元社員。しかも、たかじんの死後、「TVTVTV」が立ち上げた「やしきたかじんメモリアル」の当初の責任者で、さくら夫人ともしばしば会食し、その様子がFacebookにアップされていた人物だ。

 ところが、その山田氏が『殉愛』騒動渦中に「TVTVTV」を退社。いつのまにか、DHCテレビに入り、同社の看板ネトウヨ番組『虎ノ門ニュース 8時入り!』(現・『真相深入り!虎ノ門ニュース』)のプロデューサーに就任していたのだ。

 当初は、『殉愛』騒動で山田氏も大炎上したため、ボーイズから逃げ出したのではないかという見方も流れたが、実際は、山田氏とボーイズとは切れておらず、むしろDHC入りはボーイズが送り込んだのではないかともいわれている。

 いずれにしても、この山田氏とボーイズが連携して、DHCに食い込み、つくり出した番組が『ニュース女子』だったのである。

 しかも、DHCテレビジョンにおける山田氏、ボーイズの影響力は、いまやかなり巨大なものになっている。

 じつはDHCテレビジョンは、CS放送チャンネル事業者だったDHCシアターと呼ばれていた時代から、DHC吉田会長と知己のエッセイスト・浜田麻記子氏が社長をつとめていた。

 ところが、この10月、浜田氏はDHCテレビジョンに無断で別会社を作り、YouTubeに配信していたとして社長を解任され、山田氏が代わって社長に就任したのである。

 しかし、当の浜田氏はこの解任理由を事実とは違うと否定しており、一部では、山田氏が吉田会長に進言して浜田氏の追い落としをはかったのではないかともいわれている。いずれにしても、浜田氏の解任で、DHCテレビジョンは山田氏、そしてそのバックにいると思われる相原社長らボーイズ人脈が完全に牛耳るかたちになっていた。

水道橋博士が『ニュース女子』の責任も“黒幕A氏にあり”と批判

 そういう意味では、今回の『ニュース女子』沖縄基地反対派へのデマについても、TOKYO MXやDHCテレビジョン同様、ボーイズの責任が厳しく問われるべきだろう。

 だが、BPOの検証委員会は放送局や放送界全体に対して意見するだけだし、マスコミの批判もせいぜいDHCテレビジョンまで。実働部隊の責任を問う声はほとんど出てこない。

 しかし、そんななか、あの水道橋博士が、『ニュース女子』問題におけるボーイズ・相原社長の責任を追及している。

 先日発売した著書『藝人春秋2下 死ぬのは奴らだ』(文藝春秋)で、博士はまず、ボーイズが制作していた『たかじんNOマネー』を自ら降板した騒動を取り上げ、〈(降板を決めた)最も大きな動機は、“黒幕A氏”への不信なのだ〉と書く。

“黒幕A氏”というのはもちろん相原社長のことだ。そして、博士は、橋下徹が大阪市長時代、同番組のプロデューサーであるA氏が「そんなもん! 橋下支持に決まっとりますわ!」と言い放ったエピソードなど、相原社長が軽薄な政治意図丸出しの番組づくりに邁進していく姿を描いたうえで、DHCテレビジョンの『ニュース女子』も相原社長率いるボーイズの制作であることを指摘し、その姿勢に疑問を呈する。

〈やしきたかじんを錦の御旗とした、政治思想的に偏ったA氏の番組作りは、大阪では視聴率的には支持されてきたのは事実であり、テレビマンとしてはある種のパイオニアであったことは認める。
 しかし、フェイクニュースやヘイトスピーチが社会問題化している今日、その傾向を煽るようなスタイルはもう時代にそぐわないのかもしれない。
 ましてや、たかじんという異能の才能によるフォローもオブラートもないままに、その劣化コピーのような尖ってばかりの番組を、生前たかじんが対抗意識を燃やし続けた「東京」でも始めるというのは、故人の遺志を考えてみても道理が通らないことだと、ボクには思えてならない〉

 そして、『ニュース女子』がBPOで審議されるなど、批判が巻き起こったことについて、

〈制作会社「ボーイズ」のA氏は、一連の問題が表面化しても一向に表に現れることなく、この件について一度も会見すら行っていない。かの殉愛裁判においても、名指しで問題視されているにもかかわらず、だんまりを決め込み、ついぞ表に出てくることはなかった。
 部下や関係者が死屍累々の現場で、今なお、平気の平左のままなのだ〉

 と厳しく批判したうえ、相原社長にこう呼びかけるのだ。

〈まずはこの文章を受け、表舞台に立ち、一連の問題に責任者としての説明と反論をされることを期待したい〉

BPO〈重大な放送倫理違反〉でも番組は存続、「ボーイズ」も安泰

 まさに正論というしかない水道橋博士の檄文だが、しかし、残念ながらこの言葉は相原社長にもDHCテレビジョンの山田社長にも届かないだろう。

 博士も指摘しているように、もともと彼らは確固とした政治信条があって、こうした極右番組をつくっているわけではない。それこそ、自分たちがコバンザメのようにくっついていたたかじんの右傾化にのっかって、「視聴者を煽る極右番組づくりのノウハウ」を手に入れ、それを武器にDHCに接近。吉田会長に気に入られるようさらに論調をエスカレートさせ『ニュース女子』をつくった。それだけのことなのである。

 しかも、番組は、自分たちのバックであるDHCの100%子会社であるDHCテレビジョンの持ち込みであり、TOKYO MXにとってもDHCは最大の大口スポンサーだ(2015年有価証券報告書による)。おそらく彼らは何をやっても許される、BPOから意見されたところで痛くも痒くもないという気になっているのではないだろうか。

 いや、これは『ニュース女子』だけではない。れっきとした関西キー局が放送している『そこまで言って委員会NP』も同様だ。『殉愛』騒動であれだけ暗躍が明らかになっても、ボーイズは読売テレビから切られることはなかった。また、他局とはいえ、今回、ボーイズが制作している番組がBPOから「重大な放送倫理違反」と指摘される事態が起きたわけだから、普通なら、ボーイズを使うことを敬遠する動きが出てきそうなものだが、読売テレビにその気配はまったくない。

 おそらくこの背景には、読売テレビ上層部とボーイズの関係、さらには、安倍首相がわざわざ来阪して出演するほど贔屓にされているという特権意識があるはずだ。

 プロパガンダを平気で流し、差別をも商売にしてしまうことの罪の深さにも気付かない彼らに、自浄作用は望むべくもない。これだけ強いかたちでBPOから取材の杜撰さが指摘されても、無節操な番組制作会社と右翼人脈が合体したこのグロテスクな『委員会』型番組はなくなるどころか、どんどん増殖をつづけていくだろう。まさに世も末である。

最終更新:2017.12.17 08:27

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