横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」25

「米国の北朝鮮攻撃にNOと言えるか」“身内”山本一太の質問に安倍首相が答えず…米朝戦争で日本国民100万人が犠牲に

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首相官邸HPより


 日本が米国本土防衛の“盾”(焦土)になる悪夢の近未来図(死者100万人規模の被害)が現実味を帯びてくる質疑応答が11月29日の参院予算委員会で交わされた。自民党の山本一太参院議員の質問で、日本国民の生命は二の次、対米従属(米国第一追認)を優先する安倍首相の姿勢が浮き彫りになったのだ。

 質問自体は本質を突くものだった。マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官がNHKの取材に対して「軍事行動を起こすときには日本に連絡をする」という主旨の発言をしたのを受けて、山本氏は「日本国民を守るために必要だと感じたときにトランプ大統領に『いまは攻撃を思いとどまってくれ』と助言することもありうる覚悟が総理にあるのかを聞きたい」と迫ったが、安倍首相はその覚悟には一切触れず、曖昧な答弁をだらだらと続けた。

「トランプ大統領とは何度も首脳会談を行いました。その際、北朝鮮情勢について相当突っ込んだやりとりをしているわけです。そのなかで、様々な選択肢を立てた際のそれぞれの国々に対する影響等についても当然、これは話をするわけです」
「トランプ大統領とはさまざまな外交政策を進めていく上においては、安全保障上はさまざまな可能性について当然、率直な話をしていかなければなりません」

 無回答に等しい答弁に対して山本氏は「もう一度だけ、総理、お聞きしたい。言い方を変えますが、『日本の国益のためにアメリカの判断を、例えば、少し変えてくれ』と促すケースはありうるということでよろしいでしょうか」と再質問をしたが、それでも安倍首相は再び曖昧な答弁を繰り返した。

「いまはまさに『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の方針を私は一貫して支持をしています。そのなかにおける、あらゆる手段における最大限の圧力を我々はかけていかなければならないと考えているところでございます」

 トランプ大統領の軍事行動に異議申し立てをするのか否かを2度も安倍首相は問われたのに“無回答答弁”を繰り返したのだ。「日本の国益など二の次にして米国第一のトランプ大統領に尽くします」と“属国宣言”に等しいと私は唖然としたが、山本氏の受け止めは違った。

「ありがとうございます。ギリギリのところまで総理にご答弁をいただいたと思います」

東京都民の死者は100万人! 米国の北朝鮮分析サイトで驚愕の結果が

 米国にNOと言えない“腰抜け首相”に感謝する山本氏の反応は私には理解不能だが、両者の質疑応答を詳しく紹介したのは他でもない。米国のジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は10月、朝鮮有事の人的被害想定を発表。米国の軍事オプションに対して北朝鮮が核ミサイルで報復した場合、東京都民の死者は100万人規模(水爆なら200万人規模)という被害推定を出していたからだ。

“ニューヨークやワシントンなど米国本土を北朝鮮の核ミサイルの脅威から守るためにトランプ大統領が軍事行動を決断、NOと言えない安倍首相が追認した結果、100万人規模の死者が出る”という近未来図が現実味を帯びてきた。70年前の戦争では日本本土防衛の“盾(捨て石)”に沖縄がなったが、迫りくる北朝鮮有事では米国本土を守るために日本が焦土となるリスクを背負わされるのだ。

 日本国民が100万人規模で犠牲になりかねない「米国の軍事オプション」に対して、山本氏が言うような攻撃先送りや政策変更をトランプ大統領に求めるべきなのに、安倍首相は明言を避け続けたのだ。

 そのため山本氏は「日本の国益は二の次で米国第一なのか」と安倍首相を問い質し続けるに違いないと予測したのだが違った。実際に飛び出したのは「晋三・ドナルド関係」と名づけて称賛するコバンザメのような質問だった。

「総理は各国首脳と比較してもトランプ大統領と突出した別格の関係を築いていると思います。首脳会談5回、電話会談17回、ゴルフも2回。『誰がトランプのゴルフパートナーか』を調べているアメリカのサイトを見ると、外国首脳の名前は見当たりません。総理は唯一(トランプ大統領とゴルフをする外国首脳)。それだけ親密なのです。総理から見てトランプ大統領はどんな性格の人物なのか。ある有識者が『総理は猛獣使いだ』と語る記事もありました」(山本氏)

 これに対して安倍首相は、トランプ大統領を「気さくな方でストレートな物言いをする方」「人の話をよく聞いていただけると思っています」などと絶賛、これを受けて山本氏は、安倍首相をもち上げるように日米首脳の関係をこうまとめた。

「今回の日米首脳会談は私は成功だったと思っていますし、日米の絆が磐石で、北朝鮮政策についても総理が完全にトランプ大統領と一致していることを示しました」

トランプに隷属する安倍首相は「傲慢な親に反論しない忠実な子供」

 しかし海外メディアの見方は、日本国内の“大本営発表”とはまったく違う。自民党や官邸や“御用メディア”(NHKや読売や産経など)が垂れ流す「良好で対等な晋三・ドナルド関係」の虚構ぶりを実感するには、実際の日米首脳共同会見の映像(動画)を見るのが一番だ。何とトランプ大統領は途中で用意された原稿を読むのを止め、アドリブで「米国経済が一番で日本は二番。それでいいか」という失礼なジョークを口にしたのに、安倍首相は、ただ微笑んでいただけだったのだ。

『乱流のホワイトハウス トランプvs.オバマ』の著者で朝日新聞オピニオン編集部次長兼機動特派員の尾形聡彦氏は11月17日、ネットTV「デモクラシータイムス」に出演して、この会見動画を再生。この場面についてワシントンポストが「安倍首相はトランプの忠実な従属的助手の役割を演じている(Japanese leader Shinzo Abe plays the role of Trump’s loyal sidekick)」「親が子どもを諭すようだった」と指摘していたことも紹介した。

 この動画(ネット上で視聴可能)は、「晋三・ドナルド関係」が対等で良好という“大本営発表”を鵜呑みにしている日本国民にとって必見だ。日米首脳の関係が「傲慢な親に反論しない忠実な子ども」のような属国的従属関係にあることを物語っているからだ。つまり、予算委員会で山本氏の質問に答えなかった安倍首相は、米国の北朝鮮攻撃についてNOと言わない対応をする可能性は極めて高いのだ。

 NOと言えない安倍首相の屈辱的対応を海外メディアが日米関係を象徴する場面として紹介する一方、日本の政治家やほとんどの国内メディアは日米首脳会談称賛を繰り返した。その結果、「トランプ大統領の北朝鮮攻撃の決断と安倍首相の追認で100万人規模の日本国民の死者が出る」という悪夢の近未来図がすぐ目の前にまで迫っているのに、大半の日本国民は気がつかないままなのだ。

小池都知事の“お友だち”軍事アドバイザーも“北朝鮮先制攻撃”を後押し!

 さらに防衛関係者の間にも、北朝鮮攻撃容認論が広がりつつある。徳地秀士・元防衛審議官は、「北朝鮮の核脅威の解決と北東アジアの平和をどう実現するのか」(10月30日)のシンポでこんな発言をした。

「『我々はアメリカの軍事行動を回避することを考えないといけない』ということがそもそも良くないのだろうなと思う。別に私は『軍事行動がいい』と言っているわけではないが、『軍事行動を覚悟しているのだ』ということをアメリカだけではなくて、アメリカの同盟国もしっかりと北朝鮮にそういう姿勢を見せるということが大事で、そのために具体的なプランニングもするべきだと思います」「アメリカが軍事行動をしたときに韓国も日本もそれをサポートする。そして本当に日本も韓国も国際社会も全体が覚悟をしているのだという強い姿勢を見せることが大事だと思います」

“北朝鮮攻撃誘導論者”と呼びたくなる軍事アドバイザーも活動を活発化させている。日本政府の依頼で日本の官僚に戦略論を講義するために来日したエドワード・ルトワック氏(米戦略国際問題研究所上級顧問)のことだ。

 小池百合子・前希望の党代表(都知事)の「旧知の友人」(2016年11月18日の小池氏のツイッタ―)で「情勢分析の凄さにいつも唸ります」(同)と絶賛したルトワック氏は、著書『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)の5章「平和が戦争につながる──北朝鮮論」では次のような持論を展開していた。

1)まず北朝鮮を特異で危険な存在と指摘した上で、
2)「北朝鮮への降伏(宥和)」か、核ミサイル完成前に核施設を破壊する「先制攻撃」かという究極の選択を日本に迫り、
3)先制攻撃をするしかないという結論に誘導するものだ。

 そして「日本政府は自ら動くべし――『降伏』と『先制攻撃』」という小見出しの部分(5章)では、先制攻撃についてこう説明していた。

「別の選択肢としては『先制攻撃』がある。日本の自衛隊の特殊部隊に攻撃を命じて、パラシュートやグライダーで降下させ、北朝鮮の核施設の上に到着させ、携帯型のホローチャージ弾などでそれらをすべて破壊するのだ。もちろん、特殊部隊の九〇人が犠牲になるかもしれない。ただしそれは、背後にいる一億二〇〇〇万人の日本国民を守るためだ」

自衛隊を特攻に? 日本は米国本土を守るための“捨て石”となる!

 驚くべき提案ではないか。ニューヨークやワシントンなどの米国本土を北朝鮮の核ミサイルの脅威から守るために、自衛隊員に特攻隊のような役割を担わせ、東京やソウルで100万人規模の犠牲者が出るリスクに目をつぶる究極の対米従属政策といえる。私の目には、日本国民の生命と安全を脅かす“戦争仕掛け人”にしか見えないルトワック氏は安倍首相とも面会、「(安倍首相は)稀に見る戦略家だと思います」(「文藝春秋」12月号・池上氏との対談での発言)と絶賛。「北朝鮮先制攻撃容認」でルトワック氏と安倍首相は一致しているように見える。

これに対し尾形氏は前述の「デモクラシータイムス」で、こう首を傾げていた。

「『核を持った北朝鮮にアメリカが脅されるようなことは困るから、それを挫くためには軍事オプションしかない』というのは、アメリカのなかでの議論なのです。私がいま非常に奇異に感じたのですが、ルトワック氏は『アメリカ』という主語を『日本と韓国』に言い換えて正当化しているだけに聞こえる」
「(北朝鮮に)圧力をかけ続けていったらどんどん戦争に近づくわけですよね。そのときに(日本)政府の中枢の方は『覚悟』という言い方をしますが、本当に受け入れられるのか。(略)太平洋戦争を4年間やって日本人で亡くなった方は300万人くらいと言われているが、わずか数日でそういったことが起こりかねる数字を出した上で、それを踏まえた上で議論をするのならいいと思うのですが、中身を言わずに軍事的オプションしかないというのは、やや現実感を欠くし、無責任かなと思います」

 トランプ大統領に子ども扱いをされる「忠実な従属的助手」(ワシントンポスト)のような安倍首相こそ、日本国民の生命と安全を危うくする国内最大の“脅威”ではないのか。このままでは、東京が焼け野原になり、100万人規模の死者が出るという最悪の事態になりかねないのだ。

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