JASRACが坂本龍一を騙して映画館からの徴収PRにコメント悪用! もはやJASRACはアーティストの敵だ

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一般社団法人日本音楽著作権協会 JASRACホームページより


 日本音楽著作権協会(JASRAC)をめぐり、またもや騒動が勃発した。

 JASRACといえばつい先日、現在1本18万円の定額となっている外国映画の上映権使用料を今後は興行収入の1%〜2%に変え、現在は配給会社や製作者が支払っている上映権使用料を今後は上映の主体者である映画館が支払うよう要求したことが物議をかもしたばかりだ。

 TOHOシネマズなどの大手シネコンはともかく、ギリギリの経営状態で運営しているミニシアターや地方の小さい映画館にとっては、閉館を余儀なくされかねない重大な問題であり、JASRACがこの方針を発表するやいなや大炎上した。この問題については、本サイトでも記事を配信している。【http://lite-ra.com/2017/11/post-3575.html】

 この件に関してのJASRAC側の会見では、『ラストエンペラー』『レヴェナント:蘇えりし者』など海外製作の映画の音楽も多く手がける坂本龍一氏のコメントを発表していたのだが、なんと、このコメントが会見の詳しい内容を知らせずにだまし討ちのような格好でとられたものだというのだ。

 まず、坂本氏はJASRACの会見にあたり、このようなコメントを寄せていた。

〈音楽業界全体の売上げ縮小が続く中、音楽家は音楽を作るだけでは生活することが難しくなっています。インターネットを介した音楽の頒布はすばらしいことですが、音楽自体の値段が限りなくゼロに近づいているのは残念な事実です。
 しかし、映像と一体となる音楽のアウトレットは、形を変えながらますます需要が増しています。そんな時、新作・既存に関わらず、使用される音楽とその著作者に対しての正当な対価が支払われることが重要なのは言うまでもありません。
 映画興行収入において世界の高位である日本が、先進国ならびにアジアの中でリーダーシップを発揮し、クリエイターの経済的基盤を守るために尽くしてくださることを願って止みません〉(ウェブサイト「BuzzFeed Japan News」より)

 映画業界の実情をいっさい鑑みることなく、とにかく徴収対象を拡げていく銭ゲバ体質なJASRACのやり方には多くの映画関係者から非難の声があがった。そのなかにあって、先にあげた坂本氏のコメントはいささか浮いており、これまでの彼の発言から見ても違和感を感じざるを得ない発言だった。

 それもそのはず。坂本氏は会見の肝心の部分を隠された状態でコメントをしているからだ。坂本氏はウェブサイト「BuzzFeed Japan News」のインタビューに応じているのだが、このコメントが出された経緯についてこのように答えている。

〈JASRACからは「映画業界へ向けてメッセージを出してほしい」ということで依頼書が送られてきました。
 世界的に見ても、映画のなかでの音楽の地位は低い。日ごろからその点を問題だと思っていましたし、機会をみて発言してきました。
(中略)
 ただ、送られてきた資料には、海外並みのパーセンテージにするとか、劇場から徴収するといったことまでは書かれていませんでした〉

坂本龍一は「襟を正して、透明性を高めていってほしい」と苦言

 JASRACがだまし討ちのようなやり方で坂本氏の名前を利用したことに各所から驚きの声が漏れた。たとえば、映画評論家の小野寺系氏はこのようにツイートしている。

〈記事を読むと、坂本龍一氏が先日JASRAC側に有利な発言をした経緯は、JASRACが氏に、「劇場から徴収する」など〈事実を隠したまま〉、コメントをして欲しいという依頼をしたという流れだということで、氏の評判すら一緒に下げかねない悪質な行為だと思う〉

 まさしくその通りで、今回のJASRACのやり口は詐欺と言っても言い過ぎではない。

 前述「BuzzFeed Japan News」のインタビューのなかで坂本氏は、JASRACが世間からの信用を失いつつある現状は適切な著作権管理業務を行ううえでの障壁となり得る旨を指摘し、「なぜJASRACの主張は批判を浴びるのか。世間のイメージも含めて、自分自身を問い直す必要があるのではないでしょうか」と発言。そして、そのうえでJASRACの組織としてのあり方に対し、「襟を正して、透明性を高めていってほしいですね」と、苦言を呈している。

 ここ数年JASRACをめぐる騒動は後を絶たない。放送局からの著作権使用料徴収方式が独占禁止法違反となった問題、音楽教室からも著作権料を徴収するとして裁判になっている問題、京都大学の入学式の式辞に対して楽曲使用料が生じる指摘をしていた問題など、次から次へ炎上を起こしている。

 前述の坂本氏の指摘の背景にはもちろんそういった騒動の数々があるわけだが、つい先日にはJASRACにとって最も重要であるはずの著作権者への分配の「透明性」について問題が指摘された。

 8月18日、爆風スランプのドラマーであるファンキー末吉氏が、著作権料の作曲者らへの分配を適正になされていないとして、調査と業務改善命令を出すよう求める上申書を文化庁に提出。都内で会見を開いたのだ。この会見でファンキー末吉氏は、2000年からの10年間に全国のライブハウスで200回以上ライブを開き自分が著作権者となっている楽曲を演奏したが、それに対する分配が1円も入っていなかったと主張している。

 本当にそうならこれはひどい。JASRACは金だけむしり取ってなんの仕事もしていないことになる。

 しかし、なぜこのようなことが起こるのか? それは、JASRACがとっている「包括契約」という方式にある。

散々ライブハウスで歌われたはずの「初恋サイダー」作曲者に1円も支払われていなかった

 この方式では、ライブハウス側は使用された楽曲を一曲一曲報告して個別にJASRACに払うのではなく、決まった額を包括使用料として支払うことでJASRAC管理楽曲を自由に使う許諾を得ることになる。また、JASRAC側も、すべてのお店に人員を配置して何の曲が歌われたか調べるといったことはせず、一部のモニター店での演奏実績を基準としたサンプリング調査で徴収した著作権料の分配を決める。だから、そのサンプリング調査の網の目から漏れた場合、ファンキー末吉氏のようなケースが起こるのだ。

 朝日新聞の取材に対し、JASRAC広報部は「統計学に基づいた一定の正確さはある。不透明という批判は当たらない」と回答しているが、現実に演奏されている曲に対して支払いがなされていない以上、JASRACの言う「正確さ」には疑問が残る。ちなみに、ファンキー末吉氏はサンプリング店の公開を求めたが、それについて応じてくれることはなかったという。これでは「不透明」との批判を受けてもいたしかたないだろう。

 ちなみに、このような主張をしているのはファンキー末吉氏だけではない。作曲家のしほり氏も同様の不満を漏らしたことがある。

 2012年にしほり氏がBuono!(元℃-uteの鈴木愛理と元Berryz工房の嗣永桃子・夏焼雅による3人ユニット)に提供した楽曲「初恋サイダー」は、リリースされた後、吉田凜音をはじめ多数の地下アイドルがカバーする地下アイドルのアンセムとなり、「Buono!初恋サイダー歌われすぎ問題」というネット記事まで書かれるほどになったのだが、その一方、著作権者であるしほり氏のもとにライブハウス使用料は1円も払われていなかったという。

 毎晩のようにライブハウスの舞台上で多数の地下アイドルによってカバーされていたのに、ライブハウス使用料が0円はありえない。そのことに疑問を抱いた彼女はJASRACに問い合わせたようなのだが、そこで返ってきた、もはや呆れるほかない回答をこのようにツイートしている。

〈私が自分で、いつどこで誰がカバーしたかをしらべて提出すれば、計上されていなかったぶんはお支払いできる、とのことでした。
 個人じゃ把握できないデータを調べるのがJASRACさんのお仕事なのでは?
 という質問には、無言で、ただ、調べていただければお支払いします、の一点張りでした〉

 これがまかり通るのであれば、JASRACの存在意義そのものに疑問符を叩き付けられても仕方がないだろう。

RHYMESTERのMummy-DもJASRACの姿勢に疑問を投げかける

 JASRACの音楽文化への向き合い方について疑問の声をあげるミュージシャンは少なくない。たとえば、9月6日放送『バラいろダンディ』(TOKYO MX)では、RHYMESTERのMummy-Dが、そもそもJASRACの法人としての姿勢自体に文化振興に対する真摯な思いが感じられないと語っている。

「JASRACっていうのは、たいていアーティスト全然好きじゃなくて。アーティストのことを考えてくれてるというよりは、なんか、自分たちのためとかなんじゃないの? 音楽を盛り上げていくことを考えてやってくれてるの? どうなの?って感じがすごくする」

 上映権使用料のパーセンテージに関する情報や、支払い者を映画館に変えるといった重要な部分を知らせないまま坂本氏のコメントを取り、それを組織のために利用した、もはや詐欺といってもいいJASRACのやり口を見ていると、「アーティストのことを考えてくれてるというよりは、なんか、自分たちのためとかなんじゃないの?」という言葉が重く響く。

 今回の坂本氏に関する一件は、JASRACがアーティストの権利を単なる徴収の口実にしているだけで真剣に考えていないことを改めて再認識させた。この調子ではJASRACはこれから先も批判を浴び続けるだろう。

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