宇野常寛が『スッキリ!!』クビ切り降板の真相を激白! 右翼の街宣抗議で日テレが「右翼批判するな」と言論封殺

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宇野常寛責任編集『PLANETS』公式サイトより


 8月31日夜、評論家の宇野常寛氏が自身のネット番組『木曜解放区』で、2015年4月から木曜コメンテーターを務めていた『スッキリ!!』(日本テレビ)を9月いっぱいで降板することになったと報告し、話題を呼んでいる。というのも、降板の背景に、右翼からの抗議があったと明かしたからだ。

「具体的な発端は、ぼくのアパホテル批判です。アパホテルの南京大虐殺否定論を歴史修正主義としてぼくが批判した1月19日の放送がきっかけです。その結果、日本テレビに2回ほど右翼団体の街宣車が来て、大問題になりました。その結果、日本テレビの小林景一プロデューサーは、ぼくに対して『右翼批判はおこなわないように』という要求をおこないました」

 今年1月、ホテルチェーンのアパホテルが、元谷芙美子社長の夫・元谷外志雄氏が書いた南京事件を否定する本を客室に設置していることが中国ほか海外で批判の声があがり、国際問題に発展したことは記憶に新しい。そして、この問題を『スッキリ!!』で取り上げた際、コメントを求められた宇野氏は、「この人の歴史観ってのは、もう話になんないと思いますよ」と切り出し、こう述べた。

「歴史修正主義だし、陰謀史観だし。何やってんだともう呆れるしかないと」
「たとえば中韓の、ある種の反日ナショナリズムみたいなものは現実に存在すると。ああいったものに対してどうしたもんかなと思っている日本人がとるべきは、こういった歴史修正主義で対抗するんではなくて、こういったトンデモ歴史観を、妄想を垂れ流して対抗するんではなくて。やはり地道な外交努力だったりとか文化交流だったりとか、そういったことによって信頼関係を築き上げていくことだけが唯一の解決法なんで」

「南京事件がなかった」というのは保守系の学者でさえ「ありえない」とするトンデモ論であり、宇野氏の「歴史修正主義であり陰謀史観だ」という指摘は極めて真っ当なものだ。しかし問題は、右翼からの抗議に対して『スッキリ!!』の小林プロデューサーが取った行動は、とんでもないことに宇野氏に「右翼批判するな」と黙らせようとしたこと。歴史修正主義への批判を「右翼批判」と受け取る考え方もどうかしているが、無論、宇野氏は「拒否」したという。

「テレビ局が街宣車にビビってコメンテーターの発言を規制するなんてことは、絶対に報道機関としてあってはならない。ぼくはそう考えて拒否しました」(『木曜解放区』での宇野氏の発言)

 だが、小林プロデューサーは宇野氏の拒否に「激怒」。宇野氏によれば、なんと「最終的には本番中にぼくのことを怒鳴りつけると。カメラは回っていませんでしたけど、そういう事態にまで発展しました」という。この際、宇野氏は謝罪と発言の規制をしないという2つの要求をおこない、それが守られなければ番組を降板すると通告。当初、小林プロデューサーは「自分は悪くない、宇野が悪い」という姿勢だったというが、その後は一転して宇野氏に謝罪したらしい。

 なぜ、小林プロデューサーは態度を一転させたのか。宇野氏の「推理」はこうだ。

舛添バッシング、ASKA再逮捕報道…メディア批判

「ここでぼくを強引に降板させると、露骨に右翼団体の抗議をきっかけに日本テレビがコメンテーターをクビにしたということが明確なかたちになって表れてしまうので、まあぶっちゃけ、ぼくがどこで何を言うかわからないので、インターバルを置こうという、そういった動きがあったのかもしれません」

 番組側は宇野氏を切る理由を「リニューアルのため」と説明しているというが、こうした経緯があり、いまごろになってクビを宣告したのではないかというのだ。

 たしかに、宇野氏の同番組における発言は、この歴史修正主義批判のみならず、たびたび炎上してきた。だが、それらのコメントは、ときに極めて重要な指摘を含んできた。

 たとえば宇野氏は、東京都知事だった舛添要一氏の政治資金私的流用問題をワイドショーがよってたかって取り上げていたとき、「マスコミのイジメエンターテインメント」と批判。スタジオが凍りつくなか、「この程度のことで大騒ぎしてみんなで楽しむみたいな文化をどうにかしない限り、絶対にこの国よくならないですよ」と畳みかけた。

 また、ASKAが覚醒剤で逮捕された際には、テレビがタクシーのドライブレコーダーの映像まで流したことを俎上に載せ、「あれを流したタクシーの運転手もとんでもないし、あれを視聴率目的で流すテレビもクソですよ、はっきり言って。大事なのは更生プログラムと、やっぱりクスリの害をちゃんと訴えること。(中略)『人気歌手がヤクに手を染めました。ちょっと面白いでしょ、変な妄想してるし』というスタンスで(報道を)やるのは、僕は反対ですね」とテレビ批判を展開した。

 ワイドショーのコメンテーターながら、当のテレビの問題点を直截的に指摘する。──番組スタッフの意図を汲み取った当たり障りのない感想ばかり発するコメンテーター、あるいは炎上を恐れて保守的な発言を繰り返すコメンテーターが多いなか、宇野氏は空気を読むことなく持論を述べてきた。しかし、そんな宇野氏を起用した番組制作サイドが、よりによって右翼の抗議という言論弾圧に与し、自由な発言を封じようとしたのだから、呆れるほかない。宇野氏の怒りはもっともだ。

「(番組制作側である)彼らのロジックはこうです。『ぼくの主張は、宇野の言い方は、一生懸命番組をつくっているスタッフに失礼だ』。論点おかしくないですか? 一生懸命つくっていれば、歴史修正主義も許されるんでしょうか。一生懸命つくっていれば、いじめエンターテイメントが許されるんでしょうか。しかも、それを疑問視する声を封殺していいんでしょうか。ぼくは、彼らに、軽蔑しか感じません」
「別にね、彼ら個人は右翼でもなんでもないと思うんだよ。ただ面倒を起こしてほしくないからこいつを黙らせよう、なんだよ。で、その結果、俺を本番中に怒鳴ってるんだよ。怒鳴り返す相手ちょっと間違えてない? お前、街宣車に怒鳴れよ、って感じなんだよね」

真っ当な歴史修正主義批判をした宇野がクビ降板の一方、ナチス礼賛の高須がレギュラーゲット

 じつは、宇野氏は「右翼批判をするな」と言われた際に番組を降板しようと考えていた、と言う。だが、思いとどまった。〈僕が居なくなると誰もテレビの中からワイドショーの集団リンチ文化や、歴史修正主義を批判しなくなる〉(宇野氏のツイートより)と思ったからだ。しかし結果は、リニューアルを名目にした事実上のクビを言い渡されてしまった。宇野氏いわく「いまこいつは石投げてOK、叩いてOK、悪目立ちした人間、空気読まない人間にみんなで石を投げてスッキリしようという、あの醜悪な、最悪なテレビ文化。視聴率のためだったら歴史修正主義にすらおもねる、あの醜悪なテレビ文化」を内部から変えようとする姿勢は、番組制作側にとっては目障りでしかなかったのだ。

 さらに、宇野氏は『スッキリ!!』MCの加藤浩次氏について言及するなかで、こんなことも語った。

「加藤さんってやっぱテレビ信じてるんだよね。テレビが積み上げてきたものをバカにしちゃいけないとかね。なんか芸能人のゴシップとかさ、市議に対するいじめ的な報道をね、それを望む人たちがいるんだから仕方ないじゃないかって彼は言うんだけど、ぼくはその『仕方ないんじゃないか』と、『鈍感なフリをすることが大人になることだ』っていうそのテレビ的な価値観、イデオロギー自体が、いまの世の中をつまらなくしていると思うわけね」
「これをやってね、みんなぬるくなっていっちゃったんだよ。わかる? そこで鈍感なフリをすること、清濁併せ呑むことが大人になることだと思った瞬間に『いやー大変ですねー、由々しき問題ですねー』『ちょっとあらためてほしいですねー』以上のこと言えなくなるの。まじで。みんなそう。中身のあること一個も言えなくなるの」

 政権の顔色を伺って批判的な報道は抑え、右翼の抗議に加担して歴史修正主義批判という正当な言論を封じる一方で、事務所の力が弱い芸能人や政権に影響しない政治家などは「望んでいる人がいるから」という理由をつけて徹底的に叩く。こうした歪さに目を向けずに報道機関だ、情報番組だと名乗る。それがいまのワイドショーであり、その有り様は「腐っている」としか言えないだろう。

 しかも、日本テレビ系列の読売テレビが制作・放送している『そこまで言って委員会NP』では、この9月から高須クリニックの高須克弥院長がレギュラー出演するのだという。高須院長といえば、〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などという歴史修正ツイートに批判が集まり、ユダヤ人人権団体であるサイモン・ヴィーゼンタール・センターも抗議をおこなっている。

 歴史修正主義を批判する宇野氏は番組から降板させ、他方で国際的にも非難を浴びている歴史修正主義者をレギュラーとして出演させる。──日本テレビと読売テレビは、歴史の捏造の片棒を担ぎ、広めようとしているようなものだ。

 今後、歴史修正を批判する者はどんどんとテレビから消され、偽りの歴史と「日本すごい」を連呼する者が重宝されていくのか。今回の宇野氏の“告発”は、テレビの反知性を浮き彫りにしたと言えるだろう。

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