都議選報道でテレビ朝日が「自民と都民ファは同等に、他は半分で」とメール通達! 背後に安倍政権への忖度

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首相官邸HPより


 7月2日に投開票を迎える東京都議会選挙だが、その選挙報道を巡って、テレビ局できな臭い動きが出ている。上層部から現場に直接、まるで「自民党と都民ファーストの会の候補者だけを取り上げろ」と言わんばかりの“お達し”が下されているというのだ。たとえばテレビ朝日では数日前、こんな内容の社内メールが上層部から報道関係者に一斉送信されたという。

〈自民と都民ファは同等程度。その他の党は、若干少なくてもいいが、7党については、差は少なくとも2:1以内にする〉

 ようするに、安倍首相率いる自民候補と小池百合子都知事率いる都民ファースト候補の直接対決をクローズアップする一方、共産や民進などの候補はその半分の扱いにしてもいいというのである。24~25日のマスコミ各社による世論調査では、約6割が投票先をまだ決めていないとしているのに、テレビ局の上層部があらかじめ特定の政党に報道時間を割くことを認める指示を出すというのは、明らかに報道の公正に反する行為だろう。

 しかも、この通達にはもうひとつ裏がある。一見、自民と都民ファ2党を他政党より偏重することを認めるかたちにしているが、実際は、自民党をきちんと扱えと現場に圧力をかける意図があったと言われているのだ。

「今回の都議選報道は、橋下徹大阪府知事が当選した後の大阪と同じで、小池都知事の一挙手一投足を追いかけ、むしろ都民ファ一色になるムードでした。これは他局もそうだと思いますが、視聴率狙いのワイドショーなんかはどうしてもそうならざるをえない。そこに、“自民と都民ファは同等程度”という通達があったため、現場では、自民党がうるさいからたっぷり報じなければならない、という空気になったんです。おそらく上層部もそういう意図でメールを送ったんだと思いますよ。メールを送ってきた人間を考えたら、明らかに政権への忖度でしょう」(テレビ朝日情報番組関係者)

「自民と都民ファ同等」通達の背後に安倍首相と篠塚報道局長の会食?

 今回のメールを送信したのは、同局で報道番組・情報番組を統括する宮川晶報道局次長兼報道センター長だったというが、この宮川氏は篠塚浩取締役報道局長の腹心として知られている人物だ。そして、篠塚報道局長といえば、本サイトでも昨日お伝えしたように、先月24日、共謀罪が衆院本会議で強行採決された翌日に早河洋会長とともに、安倍首相と仲良く会食をしていたテレ朝幹部。典型的な政権忖度体質の人物で、共謀罪報道の際にも現場に「政府の言い分も報道しろ」と圧力をかけまくっていたと言われる。

 そのラインから伝令が出たとなれば、たしかに政権による圧力、忖度の臭いがプンプンしてくる。

「安倍首相と局幹部の会食では、加計学園問題や共謀罪をめぐる報道へのけん制があったと言われていますが、都議選についても圧力がかかっていた可能性があります。安倍首相から『都議選は公平にお願いしますよ』と言われ、篠塚報道局長が震え上がり、報道センター長に命じてメールをさせた、おそらくそんなところじゃないでしょうか」(テレビ朝日報道番組関係者)

 テレビ朝日では、『報道ステーション』や『羽鳥慎一モーニングショー』など、現場はきちんと政権批判をやろうという姿勢がある一方で、局の上層部や政治部があいかわらず安倍政権のほうばかりを向いた動きをしていることは、先日の記事でも指摘したが、その上層部の権力癒着体質、忖度体質がモロに出たということだろう。

 だが、こうした都議選報道の“配分”をめぐるテレビ局の動向は、何もテレ朝だけではないらしい。別の在京キー局ニュース番組関係者は「うちでも自民、都民ファ、その他全部で2:2:1ぐらいの比率になっていますね」と打ち明けるし、実際にテレビをつければどの局でも“自民vs都民ファの全面対決”の報道一色。完全に、自民党と都民ファ偏重報道を展開しているのだ。

 もちろん、公正な報道とは、時間配分をすべての政党で公平にしなければならないということではない。たとえば、昨年の都知事選での報道が不公平すぎるという告発を受けて、BPOは今年2月、「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」という委員会決定を出したが、そこでは、放送法の定める政治的公平性はあくまで「倫理規範」だと確認したうえで、報道と編集の自由と国民の知る権利の観点から「量的公平性」を否定している。

BPOの「量的公平性」否定見解を逆手にとり政権に配慮するテレビ局

〈選挙に関する報道と評論をする番組に求められるのは、出演者数や顔ぶれ、発言回数や露出時間の機械的・形式的な平等ではなく、さらに有権者に与える候補者の印象の良し悪しの均等でもない。〉
〈選挙に関する報道と評論に「量的公平性(形式的公平性)」が求められれば、放送局にこれを編集する自由はなくなる。したがって、選挙に関する報道と評論に編集の自由が保障されている以上は、求められる「公平性」は「量的公平性(形式的公平性)」ではありえず、必然的に「質的公平性(実質的公平性)」となる。〉

 もっとも、ここでBPOが指針を示した「質的公平性」は、〈国民の判断材料となる重要な事実を知りながら、ある候補者や政党に関しては不利になりそうな事実を報道しない、或いは、政治上の問題点に触れない、逆に、ある候補者や政党に関してのみ過剰に伝えるなどと言う姿勢は、公平であるとは言い難い〉というように、政治権力からの圧力や報道の萎縮に対抗する手段として示したものだ。

 しかし、各テレビ局はこの“「量的公平性」が最重要ではない”という部分を逆手にとり、都民ファーストと自民だけを重点的に扱い、他政党を切り捨てる方向に動いたのだ。しかも、「自民と都民ファの公平な扱い」だけは守った状態で、である。

 つまり、BPOがテレビ報道を守ろうとしているにもかかわらず、局側は相変わらず政権の圧力に屈して、安倍首相の顔色を伺う“忖度報道”を展開しているのだ。

 安倍首相や菅義偉官房長官をはじめ政権中枢が次々とボロを出している加計学園問題では、さすがのテレビ局も批判する姿勢を見せているが、選挙となればやはり話は別、ということなのだろうか。いずれにせよ、安倍政権の不正を正すためには、官邸とズブズブの関係にあるマスコミ幹部たちを徹底追及し、国民の声でメディアを正常化していく必要がある。

最終更新:2017.12.05 01:52

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