死去したペギー葉山が遺した安倍政権批判の言葉!「いまの政権には戦争体験がない。戦争は絶対にだめ」

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ペギー葉山オフィシャルサイトより


安倍政権が進める改憲の道に対し、ペギー葉山は反対の声をあげていた

「ドレミの歌」、「南国土佐を後にして」、「学生時代」といった楽曲で知られ、また、『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)内のしつけのおばさんや、『ウルトラマンタロウ』(TBS)のウルトラの母(緑のおばさん)役としても人気を博したペギー葉山が、今月12日肺炎のため死去した。83歳だった。

 戦後すぐの日本の歌謡界を支え、特に〈ドはドーナツのド レはレモンのレ〉の訳詞を自ら手がけた「ドレミの歌」は音楽の教科書にも掲載されているほどだが(元はミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』のなかの楽曲。ニューヨークでこの舞台を見て感動した葉山はいち早くこの訳詞をつけ日本に紹介した)、そんな葉山が活動していくなかで大切にしていたのは、自身の戦争体験を伝えることと、平和の尊さを訴えることだった。

 2015年に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日)でも、福島に学童疎開し食料難からとびひにかかってしまったり、飼っていたウサギを殺して食べなければならなかったといったつらい思い出を話し、黒柳徹子とともに「歴史はちゃんとね、伝えていかないといけないのよね。私たち長生きして伝えていかなければダメなのよ。語り部よ」と語り合っていたのは記憶に新しい。

 そんな葉山は、13年8月29日付しんぶん赤旗のインタビューでこんなことを語っている。

「歌手生活が60年を超え、もうすぐ傘寿になります。芸能界でも戦争を体験した人は少なくなりました。首相の安倍さんが憲法のことをいろいろ言ってらっしゃるけれど、いま政治をハンドル(かじ取り)している方々は戦争体験がないでしょ。それが私は心配ですね。戦争は絶対にだめ、ずっと放棄したい。育っていく子どもたちに二度と経験させてほしくないです」

 戦争を通じて体験したつらい思い出は『徹子の部屋』で話していたような疎開中の出来事だけではない。葉山は広島の原爆投下で祖父を亡くしているのだが、09年8月6日のブログではその当時のことを振り返り、このような文章が綴られていた。

〈広島に特殊爆弾が落とされて沢山の人が亡くなり、祖父をはじめとして親戚が焼け出されたというニュースを新聞で知ったのでした。それと同時に祖父があの8時15分、家の仏壇に手を合わせたままで遺体で発見されたという悲しい知らせを受けたのでした。オジイチャマに可愛がってもらっていた私は夢中で飛び出しました。は滞在していた旅館の『仙庄館』のすぐ前の坂を駆け上って、空に向って「オジイチャーーン」と泣きながら叫んだ悲しい思い出があったのです。たった一発の恐ろしい「ピカドン」で30万人以上の罪のない市民が、地獄絵図の中に亡くなったあの恐ろしい日〉(原文ママ)

ペギー葉山が「ドはドーナツのド」と訳詞をつけた理由は戦争の記憶にあった

 葉山が福島に学童疎開していたことは先に書いた通りだが、実は最初は福島ではなく、父親の故郷である広島に疎開することに決まりかけていたという。しかし、軍港である呉があることから敵の標的になることを父が心配し、土壇場で疎開先が福島に変更になる。もしもこのとき父の勘が働かなかったら葉山は原爆により命を落としていた可能性もあったのだ。

 そんな縁もあり、葉山は原爆によりもたらされた悲劇を、歌や言葉を通して伝えることに尽力する。白血病により7歳で亡くなった実在の原爆二世の少年をテーマにした歌「ぼく生きたかった」を歌ったりもしているのだが、そのことについて、しんぶん赤旗2009年12月27日・2010年1月3日合併号ではこのように語っている。

「私はもう、ひどいことだと。原爆投下は人間のやることじゃない。詩曲の「ぼく生きたかった」を歌ったのは、ちょうど息子が生まれたころだったんですね。ですから、子どものためにも、こんなことはないようにしてほしいという気持ちがありました」

 彼女の残した仕事のなかで最もメジャーなものは前述した「ドレミのうた」の訳詞だと思われるが、実はこの歌にも戦争の記憶と影響が色濃く反映されているという。「中央公論」(中央公論新社)14年9月号に掲載された塩澤実信との対談で葉山は制作の裏話をこのように語っていた。

「「ドはドーナツのド」。戦争中に食べたかったドーナツをアメリカの兵隊さんからもらったとき、「わー、ドーナツだ」って言って母と二人で神棚にあげてからいただいた思い出が元になっています」

「ドはドーナツのド」の原詞は〈Doe, a deer, a female deer(ドは鹿、メスの鹿)〉だが、意訳が必須のこの部分を訳す際に「ドーナツ」が選ばれたのには、こんな理由があったのだ。

ペギー葉山がブログで訴え続けていた核兵器廃絶への思い

 前述した09年8月6日のブログ、つまり、バラク・オバマがアメリカ大統領に就任し、核廃絶を訴えてノーベル平和賞を受賞するきっかけともなった「プラハ演説」が行われた後に訪れた最初の広島原爆投下の日、葉山はこのような文章を綴っていた。

〈核兵器は絶対許せないものです。このおぞましい兵器を現在保有している国が存在していることすら、許せないことです。アメリカのオバマ大統領は戦後64年目にして漸く『核兵器廃絶』を訴えてくれました。遅すぎると思うけど、彼の発言をこの地球全人類は拍手を持って迎えるべきです。日本の政治家さんもオバマさんの発言に後押しされたのでしょうか、原爆症原告全員救済、官房長官謝罪。あれから一体、何年月日が流れているのですか!!64年ですよ!!・・・日本のYES, We CAN!は遅すぎると思いません?〉

 あれから時が経ち、現在、核廃絶の流れは消え去り、それどころか先日、安倍政権は国連で行われた核兵器禁止条約の交渉会議に関し、「禁止条約がつくられたとしても、北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決に結びつくとは思えない」などとのたまって条約の交渉にすら不参加を表明した。この国は唯一の被爆国であるのにも関わらず、である。

 そんな状況にあるからこそ、ペギー葉山が残した戦争体験、そして、「戦争は絶対にだめ、ずっと放棄したい。育っていく子どもたちに二度と経験させてほしくないです」というメッセージを、われわれは改めて噛み締めなければならない。

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