森友・籠池理事長の豹変の裏に官邸からの圧力? 会見では“稲田防衛相夫の入れ知恵か”の質問に狼狽も

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瑞穂の國記念小學院HPより


 これは何かあったな……。昨日10日に行われた学校法人森友学園の籠池泰典理事長による緊急記者会見を見て、ほとんどの報道関係者はそんな感想をもったに違いない。

 何しろ、つい前日までは、疑惑だらけの小学校を開校させる気満々だったのに、いきなり認可申請を取り下げ、理事長退任を発表したのだ。その豹変ぶりには前日、現地調査をした大阪府の私学監も「昨日まで、取り下げの気配は全く感じなかった」と驚きを隠さなかった。10日昼前に森友側から面会の申し入れがあったが、前日確認できなかった経緯を説明に来るのかと思っていたら、申請の取り下げだったという。

 籠池理事長は、方向転換の理由について、現地調査で大阪府の担当者が建物のなかを見なかったことなどをあげ、10日の午前中に開かれたPTA実行委員会で保護者と対面して「将来ある子どもさんや保護者の方に重大な影響を及ぼすことになる」と決断したと説明していたが、これまでの態度を見ていると、そんな話を信じられるはずもない。

 さらに不可解だったのは、政治家への言及だ。会見前日の9日に公開したYouTube動画では政治家たちに対して意味深に「尻尾切りしないでほしい」と言っていたのに、10日の緊急記者会見では「国会の方から何も口利きしていただいておりません。安倍首相、昭恵夫人から何かしていただいたことはありません」と“口利き”を完全に否定したのだ。

 とくに、豹変したのは稲田朋美防衛相へ姿勢だ。籠池理事長は9日のYouTube動画のなかで、「ここ10年お会いしておりません」と国会で答弁した稲田防衛相に対して、「10年前にしか会ってませんとおっしゃったけど、そんなことないですよねぇ。2年前ほどにお会いしたことが僕、あるんじゃないかなあ思います。ある特定の会合のなかで。でも、それ、そういうことも(国会で)言わないというのはおかしいんじゃないかと思いますね」と噛みついていた。

 しかし、昨日の会見では一転、記者から「動画で話していた人物は稲田防衛相のことか?」と訊かれると「いろいろね、会合とかでお会いする方もいらっしゃいますから、それはもう想像にお任せします」「(会合で)お会いする機会は、以前はたくさんありましたから。まあ、国会議員になられてからはそんなにないですよね」と、一気にトーンダウンさせてしまったのだ。

 永田町ではこうした籠池理事長の態度豹変に早速、「官邸と裏取引したか、もしくは圧力がかかったのではないか」という見方が流れている。森友問題を取材している全国紙の社会部記者がこう語る。

「官邸サイドが籠池理事長に、第三者を介してこれ以上余計なことをしゃべるな、と圧力をかけたという情報は流れていますね。2〜3日前より新聞やテレビ報道の流れが安倍首相ら政界との関係を追及する方向から、3種類の工事契約費問題に移り、籠池理事長の刑事責任問題が言及され始めましたが、これは官邸や大阪府の松井一郎知事がリードしたものです。つまり、刑事責任追及の空気をマスコミを使ってつくり出し、裏で『これ以上、余計なことをしゃべったら、逮捕されるぞ』というようなメッセージを直接、送ったんでしょう」

 実際、昨日の会見では、これを示唆するようなシーンがあった。一気呵成に言い分をまくしたてていた籠池理事長が、「ある質問」に対して、ものの見事に狼狽したのだ。それは、『日本会議の研究』(扶桑社)の著者であり、今回の森友学園問題の追及を引っ張ってきた著述家・菅野完氏による、こんな質問だ。

「今回の認可、自分からの取り下げって知恵つけたのは、稲田さんの旦那さんの稲田龍示さんですか? 誰ですか?」

 すると、籠池理事長は一瞬フリーズし、さらにはそれまでの勢いとは打って変わって「ちょっと待って」と言い、湯飲みの茶を口に含んだ。そして、菅野氏からの質問には一切答えず、9日の大阪府による実地検査を批判しはじめたのだった。

 その後も菅野氏は引き下がらず、「これを取り下げる知恵を理事長に授けたのは稲田大臣の旦那である稲田龍示さんですか?」と再度質問すると、籠池理事長はようやく「違います」と否定したが、会見に同席していた理事長の長男・佳茂氏が「どこの方ですか?」と口を挟み、菅野氏が自身の名を告げると、籠池理事長は「菅野? あ、菅野さんかー。あなたが菅野さんかー」と言い、立ち上がって「あなたちょっと悪いんじゃないの〜、ホントに!」と怒りを見せて、それ以上、この話題に答えようとしなかった。

 ご存じの通り、稲田朋美防衛相には、自身も顧問を務める「保守の会」会長である松山昭彦氏が2年前に〈国会議員になる前の稲田朋美先生は塚本幼稚園の顧問弁護士だったそうです〉と自身のFacebookに書き込んでいたことが発覚。稲田防衛相は国会で否定したが、その後、松山氏は〈顧問弁護士だったのは稲田先生の旦那さんの方でした。この場を借りて訂正いたします〉と投稿。また籠池氏の長男・佳茂氏も「週刊文春」(文藝春秋)3月16日号で同様の証言をしている。龍示氏自身も日刊ゲンダイや文春の取材に「僕も弁護士として守秘義務があって、どういう仕事をしているのかは相手方もあるので、勘弁してください」と否定しなかった。

 菅野氏が質問した根拠は定かではないが、たしかに、稲田防衛相の夫が森友学園の顧問弁護士であるとしたら、官邸からの指示の媒介役として格好の存在ではある。また、稲田氏の夫は無関係だったとしても、官邸が動いていた可能性はかなり高く、来週発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)3月24日号も同様の「官邸による裏からの圧力」情報を指摘しているという。

 しかし、籠池理事長が逮捕逃れのために官邸の言うことを聞いて沈黙しても、程なく裏切られることになるのではないか、というのがもっぱらの見方だ。検察の動きに詳しい関係者がこう語る。

「籠池氏には『黙ったら、刑事責任は問わない』くらいのことをもち掛けているかもしれないが、これは黙らせるためのその場しのぎの嘘。逮捕か在宅起訴かはわからないが、官邸と検察は完全に籠池理事長を刑事事件で摘発する方向で動いている。刑事事件にしてしまえば、国会招致もやりにくくなる。そうやって、籠池氏一人の問題にして、幕引きをはかろうということだね」

 籠池理事長は10日の会見で、自分を「2.26事件の将校」になぞらえて、「国家のために殉ずる気持ちでがんばってきた人たちがあのように国家の指導部に抹殺されていった」と語っていた。

 詐欺的な土地取引や認可申請をやっていただけの人物が「2.26」気取りとは笑わせるが、そこまで言うなら、籠池理事長は、抹殺されることを覚悟で安倍首相をはじめとする政治家との関係を洗いざらい語るべきではないか。それこそが「国士」というものだろう。
(編集部)

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