もんじゅ廃炉は目くらまし、安倍政権が新たな高速増殖炉計画! 背後に櫻井よしこら右派の核武装圧力が

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日本原子力研究開発機構「もんじゅ関連情報ページ」より


 もんじゅ解体はやはり、目くらましにすぎなかったらしい。安倍政権が福井県の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉と並行して、高速増殖炉に関する技術研究を今後10年間は継続する方針を固めたことを昨日、“政権の機関紙”読売新聞が報じた。世耕弘成経産相が議長を務める政府の「高速炉開発会議」で、近くこの指針が示されるという。

 核燃料サイクル構想のもと、“夢の原子炉”として約20年前に試験運転を開始した高速増殖炉もんじゅだが、そもそも、高速増殖炉は通常の軽水炉よりも核分裂を制御することが難しく、原発容認派の専門家の間でさえ、「核暴走や爆発の危険性が高く、開発を見送るべきだ」との慎重論が強いものだ。一歩間違えれば、北半球が壊滅状態になるとの指摘もある。

 しかも、もんじゅは1兆円以上の国費を費やし、年間約200億円の維持費を垂れ流したあげく、その大爆発を誘発する可能性のあるナトリウム漏れや燃料棒を原子炉内に落下させるといった重大事故を起こしてきた。

 それでも政府はその危険性をなかなか認めようとしなかったが、福島第一原発事故の発生を受けて、2013年に原子力規制委員会が事実上の運転禁止を命令。政府もようやくもんじゅの廃炉方針を固めたと伝えられていた。

 ところが、安倍政権はその一方で、この危険な高速炉開発に新たに着手するというのだ。正気の沙汰とは思えないが、どうやら、安倍政権には核燃料サイクル構想をどうしても中止できない理由がある。そういうことらしい。

 その一つに“原子力ムラ”の利権構造があることは言をまたない。周知のとおり、目下、安倍政権と経産相は原発の再稼働と海外輸出にやっきとなっている。が、この核燃料サイクル構想については、もうひとつ、安倍首相をはじめとした右派の“悲願”ともいえる野望が内に秘められている。

 実際、今月の17日から19日にかけて、その“右派の野望”があらわとなった意見広告が、読売、朝日、日経、産経の全国4紙に掲載された。広告では、“右派の女神”こと櫻井よしこが微笑みながらこう主張している。

〈「もんじゅ」の活用こそ日本の道です〉
〈もんじゅ廃炉ではなく、日本独自の技術で打ち立てた高速増殖炉完成を目指すべきです〉
〈高速増殖炉を巡る日本国内の議論は、誤った方向に行こうとしているのではないでしょうか。私たちは「もんじゅ」の開発継続を求めます〉

 この“もんじゅ礼賛”の意見広告を出稿したのは、櫻井が理事長を務める「国家基本問題研究所」(国基研)なる社団法人だ。国基研は、櫻井を代表として2007年に設立された民間シンクタンクで、役員には、日本会議会長の田久保忠衛(副理事長)や、「新しい歴史教科書をつくる会」会長の高池勝彦(同)、政治評論家の屋山太郎(理事)など、産経の「正論」に登場する保守系言論人がズラリと並ぶ。また、大原康男、百地章、西修、高橋史朗など日本会議系の“安倍政権御用学者”が顔を揃えているのも特徴だ。

 この顔ぶれからも想像できるように、その活動や主張は極右そのもの。「国防軍」創設を謳う憲法改正や、慰安婦や南京事件否定などの歴史修正、そしてなにより見逃せないのが、日本の核武装論だ。

 07年、櫻井は「週刊新潮」(新潮社)の連載コラムで国基研設立の趣旨を語るとともに、北朝鮮の核問題に触れ「核を保有した北朝鮮の脅威から日本を守るためには、同等の力を持つべきだとの議論も当然出てくるだろう」と述べている。事実、国基研のHPに掲載されている「今週の直言」のタイトルにも、こんな言葉が勇ましく踊る。

〈北朝鮮の核に対し自前の抑止力を検討せよ〉
〈核のオプションは放棄できない〉
〈「日本にも核オプションあり」と言ったらよい〉

 もはや、言うまでもないだろう。この極右シンクタンクが全国4紙に“もんじゅ存置”を求める広告を出した目的が、日本の核武装と地続きであることは自明だ。

 そもそも、歴代自民党政権が、原発と高速増殖炉及び再処理施設にこだわってきた理由のひとつは、潜在的な核開発能力を保持しておくために他ならない。

 核燃料サイクルは原発から出る使用済みウラン燃料を再処理し、もう一度原子力発電の燃料として使うという構想だが、原子炉内でウランに中性子を当てることでプルトニウムが生成される。そして、もんじゅの炉心では、プルトニウムの核分裂で「高速」の中性子が飛びし、さらなる核分裂とともにウランのプルトニウム変換が行われ、新たなプルトニウムが「増殖」されるという仕組みになっている。これが高速増殖炉という名の由来だ。

 周知のとおり、プルトニウムは原子爆弾の材料であるが、一般的な原子炉(軽水炉)でつくられるプルトニウムは純度が約60%と低く、核兵器の製造に適さない。一方のもんじゅは、こうした低純度のプルトニウムを燃料として高純度のプルトニウムを増産する。その純度は実に90%以上で、核兵器転用には十分すぎる数字だ。ようするに、もんじゅは、原発用プルトニウムを核兵器用に変換・増殖させる“フィルタリング装置”なのだ。

 このように、日本の原発と核燃料サイクル計画は、核兵器の製造能力と密接に結びついている。「飽くまでも核保有の選択肢をカードとして持つべきである」(「諸君!」03年8月号/文藝春秋)とする櫻井率いる国基研にとって、原爆の材料を生み出してくれる(と信じて疑わない)もんじゅは、まさに“夢の原子炉”というわけだ。

 そして、この極右シンクタンクによる「日本を核保有国にしたい」という野望は、繰り返すが、戦後自民党政権の政策とぴたりと一致している。たとえば1969年には、外務省内で「当面核保有はしないが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(潜在能力)は常に保持する」との方針が打ち出されている(太田昌克『日本はなぜ核を手放せないのか』岩波書店)。この方針は、現在の自民党にも受け継がれており、事実、東日本大震災での未曾有の原発事故直後の2011年ですら、当時自民党政調会長だった石破茂が『報道ステーション』(テレビ朝日)でこのように述べている。

「日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですよね。ですけども、日本は核を持つべきだとは私はおもっておりません。しかし同時に、日本は(核兵器を)つくろうと思えばいつでもつくれる。1年以内につくれると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですか、ということはもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない」

 なにより安倍晋三自身、潜在的な核製造能力どころか、核武装に前のめりだ。安倍は官房副長官時代の2002年、早稲田大学で開かれた田原総一朗との学生向けシンポジウムで、「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」と発言。06年にも「核兵器であっても、自衛のための必要最小限度にとどまれば、保有は必ずしも憲法の禁止するところではない」と答弁書に記している。また今年8月15日、安倍首相がハリス米太平洋軍司令官に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」と伝え、オバマの核軍縮政策に反対していた事実を米ワシントン・ポストが報じたのは記憶に新しい。

 今月21日早朝に福島県沖で発生したマグニチュード7.4の地震で、福島第2原発電3号機の使用済み核燃料プールの冷却装置が停止したとの一報が入ったときには、誰もがあの3.11原発事故を想起しただろう。

 極右シンクタンクが叫びたてるもんじゅの存置、そして安倍政権の原発再稼働政策と核燃料サイクル推進。「核の平和利用」というのがいかに幻想にすぎないか、わたしたちは被曝国で生活する者としてしかと自覚するべきだ。
(伊勢崎馨)

最終更新:2016.11.30 03:29

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