クドカン大河の主演は嵐メンバーのリレー方式か? 能年玲奈か? 嵐なら大河はナチス「民族の祭典」になる

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上・のんオフィシャルブログより


 多方面で話題になっている宮藤官九郎のオリンピック大河ドラマ。さっそく、丸川珠代五輪担当相が「東京五輪に向け機運の醸成に大変プラスになるので大変歓迎したい」などと言いだした。クドカンもとうとう丸川のような政治家にまで歓迎されるようになってしまったのか……。

 しかし、先日、本サイトでは、クドカンの大河がこのように国威発揚路線に利用されてしまう危惧を表明しつつも、最近、「戦争の怖さを子供達に知らせたい」と発言していた稀代の脚本家が得意の小ネタで、ナショナリズムとは逆ベクトルの五輪ドラマをつくってくれるかもしれない、と期待をよせる記事を配信した。

 クドカン大河は、ナチスドイツの五輪映画『民族の祭典』になるのか、それとも五輪ナショナリズムを解体するのか、と。

 しかし、2019年に放映されるこの大河ドラマにはもうひとつ問われていることがある。それは主演が誰になるのか、という問題だ。

 まず、いの一番に流れたのが、嵐の名前だ。今回の大河が1912年から64年という52年間を描く群像劇になると発表されたことから「群像劇なら5人全員の出演もありでは?」「時代パートごとに主役をリレーするのかも」という声も出ている。 

 また、芸能関係者の間では「オリンピック大河というのが、そもそも嵐ありきの企画ではないか」という推測も広がっている。

 たしかに、NHKは東京五輪に向けて嵐を猛烈にプッシュしている。今年10月の同局の五輪特番では嵐がMCをつとめたし、相葉雅紀のスポーツ番組も4月から始まった。また、相葉は今年の紅白の司会に選ばれたが、2020年五輪の年まで、嵐メンバーが順番に司会をつとめ、オリンピックを盛り上げるという計画があるとの説も流れている。

 一方、クドカンもTOKIOの長瀬智也主演ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)の脚本でブレイク以降、ジャニーズ事務所・ジュリー派とは関係が深い。嵐メンバーも、櫻井翔が『木更津キャッツアイ』(同)に、二宮和也が『流星の絆』(同)に出演するなど、縁がある。

 考えてみれば、大河の放映される2019年は嵐結成20周年でもある。NHKとジャニーズが組んで大河に嵐メンバー全員を出演させ、五輪を盛り上げつつ嵐のメモリアルにしようとしている可能性はかなり高いのではないだろうか。

 しかし、一方で忘れてはいけないのは、能年玲奈(のん)の存在だ。能年といえば、いまもクドカン脚本の『あまちゃん』(NHK)とは切り離すことができないが、朝ドラの成功から大河主演へというパターンは、宮崎あおい、井上真央、鈴木亮平と最近多いパターンではある。

 事実、『あまちゃん』終了直後も、次は、クドカン脚本・能年主演の大河ドラマを!という声もあったし、能年自身も「宮藤さん脚本の大河初のコメディに使っていただくのが夢です」と話していた。

 コメディ大河というのはさすがにないだろうが、ここ数年、大河の主演は男性と女性が交互に演じている。「主人公が無名」「スイーツ大河」「歴史に無理矢理女を絡ませるな」などと批判されがちではあるが、男目線で語られてきた歴史をあえて1年おきには女性目線で描くことにこだわるのはひとつの見識ではあるだろう。仮に2019年もこのローテーションが踏襲されるなら、クドカン大河の年は女性主人公の番だ。

 もしクドカンが前述のように五輪ナショナリズムを解体しようとしているなら、帝国主義の時代のオリンピックを、当時まだ参政権もなかった女性を主人公に、能年で描くという可能性はあるかもしれない。

 ただ、ネックとなるのが、事務所独立による“干され問題”だ。クドカンは「週刊文春」(文藝春秋)の連載で能年の再出発にエールを送っていたが、舞台やミニシアター系映画などならともかく、NHKは民放に負けず劣らずバーニングの影響力が大きい。しかも影響の及ばない報道やマイナー番組ならともかく、大河は看板番組だ。

 放送される3年後に能年を取り巻く環境がどこまで改善されているかは不明だが、主要なキャスティングは来年夏ごろまでには決定、今の時点ですでにある程度検討されているはず。クドカンは能年に「のんさんの代表作が早く生まれるといいなと思います」(「文春」の連載より)と語っていたとはいえ、ジャニーズとの関係を見てもわかるように、大手芸能プロともうまく付き合ってきたタイプだ。芸能界の論理を超えて、能年を主役にキャスティングできるだろうか。所属事務所とたった一人で闘っている能年をずっと応援してきた本サイトとしては、ぜひ能年を主演に選んでほしいところだ。

 しかも、主演が嵐か能年か、というのは前述したひとつめの課題ともつながってくる。たとえば、主演が嵐メンバーのリレー形式になるなら、国威発揚ドラマになるのは避けられないだろうし、能年主演なら、帝国主義の時代のオリンピックを相対化する存在になる可能性が高まるからだ。

 嵐主演でナチスの『民族の祭典』をやるのか、能年主演で五輪ナショナリズムを乗り越えるのか。クドカンにはぜひ後者にチャレンジしてほしい。
(酒井まど)

最終更新:2017.11.12 02:06

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