土人発言擁護の鶴保庸介沖縄担当相に重大「政治とカネ」疑惑が発覚! 国交副大臣時代、補助金の見返りに…

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「参議院議員 鶴保庸介」公式サイトより


 土人発言を「差別と断じることはできない」と述べ、差別思想を公然と露わにした鶴保庸介沖縄担当相。この発言だけでも大臣辞職に値するものだが、ここにきて大きな“政治とカネ”問題が明らかになった。

 昨日20日の毎日新聞のスクープによれば、鶴保氏が副国土交通相に就任して直後の2013年1月に開いた政治資金パーティにおいて、山梨県のNPO法人副代表が200万円のパーティ券を購入。このNPOは同年3月に国交省の所管である観光庁の補助事業に選ばれ、さらには14年2月にも別の補助事業が決定。これらの補助事業決定後も、NPO副代表は100万円(13年10月)、150万円(14年3月)と2度にわたって鶴保氏のパーティ券を購入していたことが発覚したのだ。

 しかも、パーティ券購入をめぐる“やりとり”はかなり悪質だ。まず、このNPO副代表と鶴保氏は約10年前に知り合ったというが、13年1月にはじめてパーティ券を購入した際、NPO副代表の男性が不動産を買収し破産手続き中にあったホテル名義と、知人の公認会計士の名義のふたつに分けた。1回の政治資金パーティではパーティ券の販売上限は150万円であるため、これだけでも政治資金規正法違反となるが、この一件は同法が禁じる名義偽装にもあたる。

 だが、最大の問題は、このNPOを補助事業に選んでいることだ。最初にパーティ券を購入した13年1月の政治資金パーティ開催からわずか5日後に、当時、鶴保氏は国交省の副大臣室でこのNPO代表と面会。そして2月には同NPOが上限1500万円の補助金が出る観光庁の「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」にエントリーし、3月に支援先に選ばれている。さらに翌年2月にも追加して上限700万円の支援が受けられる「観光地ビジネス創出の総合支援」に選ばれている。

 最初のパーティ券購入からこのNPOがトントン拍子で補助金対象に選ばれていることを考えると、鶴保氏が何らかの“口利き”があったと見るのが自然だ。少なくとも鶴保氏は、最初の補助金決定の際は副大臣の座にあり、その職権によって便宜を図っていたとなれば、明らかに収賄にあたるだろう。

 しかも、このNPO副代表は毎日新聞の取材に対し、「鶴保氏の秘書から何度も頼まれ200万円を払うことになった」と答えている。つまり、鶴保氏側が“便宜供与の見返り”を要求していた疑いもあり、悪質極まりない。

 また、同NPOが補助金対象となってからもNPO副代表は13年10月に100万円分、さらには追加の補助が決まった14年2月の翌月にも再び150万円分のパーティ券を購入している事実まで明らかになっている。鶴保氏は当時、すでに副大臣を退任しているが、国交省や観光庁に大きな影響力をもっており、これも。補助金を出すよう古巣の役所に圧力をかけた可能性がある。

 さらに、鶴保大臣には、この問題に関連した疑惑も浮上している。同じく毎日新聞はきょうの朝刊で、13年10月の鶴保氏の政治資金パーティで免税店を経営する会社社長が自社役員の名義で100万円分のパーティ券を購入していたと報道。こちらも名義偽装の可能性があるが、それだけでなく、この会社社長が前年に法人税法違反容疑で逮捕されていたこと、この会社社長は件のNPO副代表からの紹介でパーティ券を購入していたことがわかっている。さらに当時、鶴保氏は〈自民党観光立国調査会の事務局長となり、外国人観光客向けの免税対象品目拡大に取り組んだ〉時期と重なる。ようするに、ここでも鶴保氏は利害関係者からカネを受け取り、その見返りに動いていた可能性もあるのだ。まさに疑惑まみれと言えよう。

 それでなくても、鶴保氏は土人発言容認に限らず“問題の多い大臣”だった。まず、2014年にはキャバクラなどでの支出約26万円を政治活動費として計上していたことが発覚したが、カネにまつわる問題はこれだけではなく、2006年には談合事件によって会長が逮捕された建設会社から約10年間にわたって格安で分譲マンションを借りていたことが発覚。08年には、贈賄容疑で社長が逮捕され、和歌山県の指名停止処分を受けた土木会社より計65万円(処分後は45万円)の献金を受けていたことも問題化している。

 さらに、鶴保氏は今年7月に時速40キロの速度超過で摘発を受けたが、これは2度目で、06年にも制限速度の超過で略式起訴されている。このとき、鶴保氏は自身のHP上で「それにしてもどこからこんな情報が出るんですかね」などと反省が感じられない文章を載せていた。

 また、以前は“永田町のプレイボーイ”と呼ばれた鶴保氏だが、今年の入閣後にはスキャンダルが噴出。野田聖子議員と離婚後、2014年2月に18歳年下の女性と妊娠の発覚から再婚したが、じつは妊娠がわかっても鶴保氏は女性との入籍に応じず、そのため関係者との話し合いがもたれたが、ここで信じがたいことに鶴保氏は「婚姻届を出すなら、離婚届も書いてほしい」と条件を提案。入籍後も鶴保氏はその事実を極秘にしただけでなく、生まれた子どもにも数回しか会うことなく、2カ月後には妻に断りもなく勝手に離婚届を出してしまった。

 この離婚届は不受理となったが、あまりの不誠実な態度に妻も離婚を決意し、結果、14年10月には慰謝料なしで月額8万円の養育費を払うという条件で協議離婚が成立。だが、その養育費も15年秋からは支払われなくなってしまったという。しかも、鶴保氏の地元でありこの前妻が暮らす和歌山では、“前妻は手切れ金で2000万円もらった”“子どもは本当は鶴保氏の子ではない”などという誹謗中傷の噂が流れているというが、これらは鶴保大臣の事務所関係者や後援者が出所だという報道もあったほどだ。

 このように、今回、発覚した政治資金規制法違反ならびに受託収賄罪の疑いだけでなく、土人発言の容認、そして非道な女性スキャンダルと、とてもじゃないが鶴保氏に大臣の資質はないことは明白。とくに今回のカネをめぐる疑惑は、普通ならば検察による起訴も十分に考えられる重大事件だ。

 しかし、「検察が動く可能性は極めて低い」と新聞社政治部記者は語る。

「あれだけ悪質な賄賂事件で、証拠も揃っていた甘利明前経済再生担当相が不起訴となったのは、当時、官邸から指示を受けた法務省の黒川弘務官房長が握り潰したためです。しかも、黒川はその後、事務次官にまで昇格。いまや法務省も検察も官邸の言いなりです。今後、鶴保大臣が刑事告訴されても不起訴は既定路線でしょう」

 しかも、昨日に鶴保大臣の今回の問題を毎日新聞がスクープしたことを受けて、後追いするメディアが出るかと思いきや、大手新聞・テレビ局はダンマリ。きょうになって鶴保大臣が国会で追及を受けたため、取り上げるメディアも出てきたが、現職大臣の一大疑惑だというのに扱いはかなり小さいものだ。

 こんな調子では、政権の不正は糺されることもなく、それがどんな不当な行為だとしても責任や罪が問われることもないだろう。当然な顔をして自分たちの不都合な問題を国民に容認させる──これを独裁政治と呼ばずして、何と呼べばいいのだろうか。
(編集部)

最終更新:2016.11.21 06:04

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