アベノミクスで日本企業の内部留保がさらに肥大、“タックスヘイブン”ケイマン諸島への投資額激増も判明!

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自由民主党HPより


 財務省が今月1日に発表した1~3月期の法人企業統計(金融・保険業を除く)によると、「利益剰余金」は3月末時点で前年同期比6%増の366兆6860億円。昨年12月末時点の355兆7652億円を上回り、2四半期連続で最高を更新した。

 この「利益剰余金」というのは、企業が内部に溜め込んでいる利益、内部留保のこと。このぶんは、企業が金持ちになるだけで、市場にはまったくお金が回らない。

 内部留保は安倍晋三政権の発足後、急増しており、2012年12月に比べると、34%増えている。日銀による大規模な金融緩和で円安が進み、企業が海外で稼いだ売上高や利益が円換算で大幅に増加。企業はその増加分を海外の株式(投資有価証券)投資などで運用しているのだ。

 たとえば、財務省が5月24日発表した15年末時点の海外への直接投資の残高(平成27年末現在本邦対外資産負債残高)は151兆6150億円で、前年比6.8%増。前年を上回るのは5年連続だ。

 なかでも、急増しているのが、世界有数のタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領ケイマン諸島だ。日本銀行が5月24日公表した国際収支統計によると、15年末時点の残高は前年比約2割増の74兆4000億円で、05年末時点から10年間で2倍超になった。米国債を中心とした米国への投資(165兆円)に次いで2番目に大きく、フランスや英国を上回る規模。タックスヘイブンに企業の利益が消えていく格好だ。年明けからは急激な円高で企業は景気の先行きを不安視しており、この動きが加速しそうだ。

 一方で、従業員の給与は横ばいだ。法人企業統計では、今年1~3月期に企業が従業員に支払った給与は28兆円と、前年同月比でほぼ横ばい(前年同月比2.2%増)。政権発足時の12年10~12月期と比べると3%減少している。企業の儲けを従業員の賃金の増加と個人消費の増加につなげようとした政府のシナリオは実現していない。

 ただし、富裕層への分配は進む。法人企業統計によれば、役員給与は3兆5731億円と前年同月比で2.9%増。役員賞与は1433億円と前年同月比で22.3%増だ。ますます格差が広がるばかりなのだ。

 安倍政権は消費増税の延期を決断したが、決断すべきは内部留保課税など、法人税への課税強化であることは間違いないだろう。
(小石川シンイチ)

最終更新:2018.10.18 01:41

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