“派手な服の女性はレイプされて当然”を叫ぶ安倍親衛隊の極右女子団体が国連に! 外務省とタッグ組みスピーチ

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自由民主党HPより


 安倍政権がまたしても国際社会で恥をさらした。2月16日にスイス・ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会の本会議で、外務省の杉山晋輔・外務審議官が“従軍慰安婦の強制連行は吉田清治氏による捏造”“強制連行はなかった”と断言したのだ。

 説明するまでもないが、慰安婦の強制連行説はなにも吉田証言のみに立脚しているものではない。日本政府および歴史修正主義者たちは「日本軍が直接、女性を銃剣で脅して連行した」と狭義の設定をして「証拠はない」と強弁するが、軍が斡旋業者を使って騙して女性を連れ出した証拠や、現地の支配者や村長に命じて、女性を差し出させた記録などはいくらでもある。

 しかも、杉山氏は、慰安婦問題について“捏造された吉田証言を朝日新聞が報じたことが国際社会に影響を与えてしまった”“朝日新聞が女子挺身隊と慰安婦を「混同した」結果、「慰安婦20万人」という数字になった”と、すべて朝日新聞の責任に転嫁したのである。

 国連という場ですべてを朝日新聞のせいにする……まるで“朝日憎し”の安倍首相が乗り移ったかのような発言だが、この日本政府の見解もウソばかりだ。安倍政権が「捏造だ」と批判の矛先にする1991年の朝日新聞・植村隆記者による元慰安婦証言のスクープ記事にしても、同じ女性の証言として産経新聞は「日本軍によって強制連行された」と確認できただけで最低2回、はっきりと書いている一方、植村記者のほうはこのとき一度も「強制連行」とは書いていない。さらに、本サイトでは以前から述べているように、当時、女子挺身隊と慰安婦を「混同した」のは朝日だけではない。

 だいたい、こうした一方的な歴史の否定は、昨年末の日韓合意に反するものではないのか。菅義偉官房長官は「事実関係を示したものであるだけで、韓国政府を非難したり、批判したものではない」「国連側の質問に対して回答しただけで、日韓間の合意に違反していない」と開き直っているが、これで日韓合意が安倍首相お得意の二枚舌に過ぎないことがはっきりとした。

 一国の歴史問題をいちメディアの捏造だと言い切り、強制性否定の根拠にしてしまう日本政府の“バカのひとつ覚え”には呆れてしまうが、当然、こんな話が国際社会で通用するはずがない。事実、杉山氏の答弁の最中、委員会の席上では委員のあいだから失笑さえ漏れていたというのだ。

 しかも、この杉山氏の答弁時に委員会に流れたお寒いムードを証言しているのは、ほかでもない、「戦時中、日本軍が慰安婦を強制連行・性奴隷にしたというのは事実無根だ!」と訴えている幸福実現党党首・釈量子氏なのだ。

 釈氏は、杉山氏が出席した女子差別撤廃委員会の前日に行われたセッション前ワーキングミーティングに、日本のこころを大切にする党の杉田水脈・前衆院議員、「なでしこアクション」代表の山本優美子氏という“極右女子3人組”で参加し、「慰安婦の「強制連行」、また、「セックススレイブ(性奴隷)」。この二つの言葉、これが完全なる間違いだ」と主張。つまり、国連に「慰安婦問題は歪められている!」と訴えに出向いた人物である。

 だが、そんな歴史修正丸出しの主張が国連で聞き入れられるわけがなく、当の釈氏は杉山氏の答弁時の委員会の様子を、こう振り返っている。

〈女子差別撤廃委員会の委員の方が「納得がいかない」と激しく抗議をしていました。 杉山審議官が話せば話すほど、委員同士が顔を見合わせて、失笑する、というような場面も見受けられました。
 これまで二十数年、「河野談話」を政府の公式見解としてきましたし、人権派弁護士といわれる戸塚弁護士が「性奴隷」という言葉を流行らせたりしてきました。それがいきなり、杉山審議官が「朝日新聞は捏造だった」「吉田氏の著作が原因だった」と言っても、なかなか受け入れられません。それどころか、「歴史の否定だ」という言葉が委員から出ていました〉(「なでしこアクション」HPの報告より)

 なるほど、日本政府の見解がまったく国連では相手にされていないことがよくわかる話だ。しかし、釈氏はこうした委員会での当然の様子に対し、〈国連の場において、日本を貶める言論、考え方、捏造、デマ等がここまで定着してしまったか、という厳しい現実を目の当たりにしました〉と述べている。どうやら彼女にとっては国連さえも“反日捏造の温床”に見えているらしい。

 さらに、この「なでしこアクション」のHPが国連にかみついているのは、慰安婦問題だけではなかった。杉山氏が出席した女子差別撤廃委員会の対日審査について、会議を傍聴したという〈スイス在住のなでしこアクション仲間〉が報告しているのだが、その内容が凄まじい。

 この報告によると、同委員会で日本側が求められたのは、「強姦の定義を広めるべき」「DVからの女性の救済は万全であるか」といった暴力の問題や、「女性の地位が低い」「男女の役割が未だ固定的である」という男女平等の問題、「選択制夫婦別姓を認めていない」点などの婚姻制度の問題、さらに「行き過ぎた性教育にブレーキをかけようとする動きがあるが、若年層の妊娠を防ぐためにも、ブレーキをかけるのは正しくない」という性教育の問題、在日韓国人やハンディキャップをもった女性が二重差別状態にあるといった問題だったという。いずれも先進国と比較して遅れをとっている、あるいは前時代的な問題ばかりだが、〈なでしこアクション仲間〉だという筆者は、このようにまとめるのだ。

〈「性教育をキチンとしろ。女性が強姦されてもいいのか。」と委員から問いつめられたので、私は次のような性教育(狼を寄せ付けない方法)を提言する。

1、売春婦ファッション及び売春婦のような化粧はしない。
2、夜遅くまで外でウロウロしない。
3、20歳以下の女性の飲酒と喫煙は厳禁。20歳過ぎても、外での飲酒と喫煙は極力控える。
4、電車内など、公共の場で化粧をしない。

 以上のことを守れない女性たちは、強姦されたくらいで「傷ついた〜!許せない〜!」なんてしおらしいことを言える立場にはない〉

 夜遅くに出歩いたり、派手な服装・化粧や、外で飲酒や喫煙をするような女は強姦されて当然──。こんなことを言う輩がいるから、日本は男女平等ランキング(ジェンダー・ギャップ指数)で、145カ国中101位(15年度)という結果になるのである。

 このような暴力的な記事を掲載している時点で「なでしこアクション」の本質が極右・差別オヤジと同一のものであることは明白だが、メンバーたちは“女性の支持をとりつけたい”と躍起。現に、昨年10月号の「WiLL」(ワック)に登場した「なでしこアクション」代表の山本氏は、「STORY」(光文社)や「VERY」(同)といった女性向けファッション誌が反戦や9条について考える特集を行っていることを「左側のメディア戦略」といい、十八番の陰謀史観を開陳。「私たちだって「女性の問題」を扱っているのに、呼ばれない(笑)」と嘆いている。“派手なファッションで夜に出歩く女は強姦されて当然”などという主張を許す団体の代表が、読者に支持が得られるとでもこの人は本気で思っているのだろうか……?

 それにしても深刻なのは、「なでしこアクション」のような極右団体と外務省が、連動するかのように国連で行動しているという点だろう。だが、こうした動きは安倍政権発足以降、かなり強まっている。

 以前、本サイトでも言及したように、いまや外務省も官邸の言いなり。たとえば昨年、南京事件が世界記憶遺産に登録されたことに抗議するため日本政府がユネスコに反論のための意見書を提出した際も、外務省は自民党や官邸からの猛プッシュで、極右思想に傾いた教育学者であり、歴史学の専門家でも何でもない高橋史朗・明星大学教授に意見書作成を依頼。結果、〈かえって日本の印象を悪くして逆効果になった恐れがある〉(毎日新聞、15年11月6日付)と指摘され、同記事では歴史学者の剣持久木・静岡県立大学教授が「ナチスによるユダヤ人虐殺を否定するのと同様の印象を世界に与えかねない」と懸念を口にしている。もはや率先して国際社会に顰蹙を買いに出て行っているような状態なのだ。

 安倍首相が総理の座におさまっている限り、国の信頼度は著しく低下していくばかり。いまはまだ失笑で済んでいるものの、他国から「日本は狂った国」として相手にされなくなる日も早晩やってくるだろう。
(水井多賀子)

最終更新:2017.11.24 08:00

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