15歳で集団レイプされた女性が壮絶告白! 摂食障害、リストカット、整形…レイプ被害がもたらす想像以上のトラウマ

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『私は絶対許さない 15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』(雪村葉子/ブックマン社)

 女性に対するレイプ被害は後を絶たない。女性の3割もが性的暴力にあっているという調査さえあるが、しかし強姦は被害者による告訴が必要な親告罪のため、多くの女性が泣き寝入りしていると見られ正確な実態は薮の中だ。

 そんななか、あるレイプ被害者の女性の手記が波紋を呼んでいる。それが『私は絶対許さない 15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』(雪村葉子/ブックマン社)だ。

 本書に描かれる葉子の体験は壮絶だ。中学3年生の元旦、5人の男に拉致され集団レイプされてしまったのだ。この日葉子は高校入試のための補習を受け、田舎の無人駅で母親の迎えを待っていた。そこに現れた男たちに突然顔を殴られ車でその1人の自宅に連れ去られたのだ。そこで朝方まで何度も集団レイプを受けるが、男たちが寝入ったすきに逃げ出すことに成功。しかしなんとかたどり着いた自宅で両親はそんな葉子に関心を払わず、朝帰りしたことで父親は葉子を殴ったという。

 田舎の大きな農家で育った葉子だったが、父親は家父長制度を重んじ母親は子どもを所有物のように扱うタイプで、レイプされたことを相談できるはずもなく、もちろん警察にはいかなかった。このレイプ後、まじめな優等生だったという葉子は大きく変わっていく。

 母親はその後も何かと葉子を罵倒し、学校では集団レイプされた“汚い子”と陰口を叩かれる。そんななか、意外にも葉子の癒しとなったのが、レイプ犯の義父でもある中年男・早田だった。レイプ現場となった家に鞄を置いてきてしまったために、それを取り戻すという無謀な行動に出た葉子だったが、そこでレイプ犯の義父である早田と出会った。家まで送るという早田は葉子にこう言った。

「あのさ、もし嫌じゃなかったら…おまえに小遣いをあげたりする関係というか、面倒を見るというか…そんな関係になりたくてさ」

 自分をレイプした男の義理の父からもちかけられた“援助交際”。しかもレイプされてからまだ1週間も経っていない。しかし葉子はこれをなぜか受け入れ、30万円を貰ってセックスをしたあと、こう思ったという。

「だけど早田は誠実な男だとも思った。経済と若い肉体の等価交換をするのだから。誠実な早田の前で、死んだ私の肉体も、誠実でなければならない…いつしかそんなロジックが私の中でできあがり、今後も早田と付き合うことにした」

 家庭的に恵まれなかったとはいえ、まじめな優等生が集団レイプによって、その1週間後には父親と同じような年齢の男の愛人になる。その激変は驚くばかりだが、葉子はそんな生活のなか、摂食障害になり、リストカットを繰り返した。そして両親が反対するなか、早田から貰った計400万円ほどのお金を元手に葉子は東京へ進学する。上京直後整形し、おっぱいパブやヘルスで働き始める。

「結局、男はセックスしたいのだ。
 女の身体の穴という穴に排泄をしたいだけなのだ(略)。
そのころの私にはすでに、男性の経済力と自分の身体を天秤にかける癖が出来上がってしまった」

 ここまでの葉子の軌跡には驚くが、本書では葉子が愛人になり、そして風俗で働く明確な理由は記されていない。ただレイプされた以降、地元での生活が忌まわしいものになったことは想像に難くない。

「東京で小さくでもいいからこのお金(400万円)を頭金にマンションを買って、誰にも罵倒されたり、人格を否定されたりすることなく、静かに暮らすという目標を立てた。地元の学校教師か看護師になりたいという夢はとっくに葬った。もう山も田んぼも牛も見たくなかった」

 そんな葉子だったがその後ある男性と知り合い、結婚する。しかし籠の中の鳥のような生活に疑問を感じ始める。

「結婚とは、なんなのだろう? 私と雪村さん(夫)が交換したものは何だろう?
 結局は、お金と肉体の交換でしかないのではないだろうか?
 だとしたら、結婚という形がありで風俗という形がだめなのは、なぜ?」

 こうして夫に内緒で再び風俗に戻ったり、自宅に引きこもったり、またジム通いやボランティアをしたりの試行錯誤を繰り返した葉子は看護師資格を取ることを決心、一人東北で生活をしながら看護師資格を取得する。

 こうした葉子のレイプの後の人生が語られるが、しかしそこにはどうしても精神の不安定さ、あやうさが随所に見て取れる。やさしかった夫が次第に変化していくことに嫌悪を表し、彼から独り立ちする形で看護学校に行きながら、しかし現在でも離婚をするわけでもない。看護師資格を取ってからは、東京で看護師をしながら、家では主婦業をこなし、さらにSM嬢として働いてもいるのだ。

「昼は看護師、夜はSM嬢、そして仕事が休みの日には同じ職場の同僚医師や、キャバクラ時代に知り合った外資系企業に務めるセックスフレンドと、寝る間も惜しんでセックスを楽しんでいる」

 しかもこうした夫以外とのセックスは必ず金銭を伴うものだ。その理由もこう記されている。

「男というものは、相手に対して何の責任も取らないくせに、セックスをするためならば、『愛している』『好きで好きで仕方ない』などと平気で耳障りのいい嘘をつくのだから」

 レイプによるトラウマやPTSDなのか。一見、支離滅裂とも思える葉子の行動様式、多くの人は首を傾げてしまうかもしれない。だが巻末にある精神科医の和田秀樹医師による解説を読むと、葉子のこうした支離滅裂で一見不可解な世界は、トラウマの精神科医の立場から見ると、腑に落ちるものばかりなのだという。

「その日から、自分の生きている世界が一変する。
人というものが基本的に信用できなくなり、過去が現在とつながって感じられなくなり、自分がこれまでとはまったく熱の世界に生きているように感じてしまう。生きていることが苦しくなり、一生涯にわたって引きこもるということさえある」
「レイプされた人がレイプされそうな場所に再び出かけていくなど、自らトラウマを招くような行為をすることがある。最近の学説では、トラウマの際に、その苦しみを和らげるために脳内麻薬は出るのだが、その依存症状態になって、さらにトラウマを求めるのではないかという考え方もある」

 そう考えると葉子のこれまでの人生での行動は、集団レイプの後遺症が想像を絶するものであることを物語る。レイプは一時的な犯罪ではない。その後もその記憶に苦しみ、時には精神を蝕み、そして人生を大きく、苛烈なものに激変させてしまう。こうした実態をとくに多くの男性たちに知って欲しい。
(林グンマ)

最終更新:2018.10.18 03:09

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