指原莉乃が語る「いい炎上」と「悪い炎上」の違いとは? ファンとケンカしても叩かれないさっしーのSNS利用術がスゴい

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さっしーは炎上も計算ずく?(『逆転力』講談社)

 これまでも定期的にSNSを通してネットを炎上させてきた指原莉乃。総選挙で1位に返り咲き絶好調ないま、ここに来て再びネットを焦がす機会が増えてきた。

 まず、7月10日には、ツイッターに「今までリツイートしてきた人とかリプくれたファンのみんなのツイッター見てたんだけど、推しメンをプロフィールに書くなら他のメンバーの悪口書かないほうがいいとおもうなあ。自分のファンがそうだったら恥ずかしい。指原推しで他のメンバーの悪口書いてるアカウント見つけたらブロックしちゃお笑」と投稿。

 自分のファンであろうと、他のメンバーの悪口を書いたらブロックするという強硬な発言に話題が集まった。

 さらに、その数日前、7月2日には、「中卒ブス原 早く死ねよカス」といったコメントに「これだけは言わせて!中卒じゃない!」とやり返し、その直後、別のファンから「あなたのようなメンタルが欲しい。どのような思考回路なのかぜひとも教えていただきたい。。。」とのリプライが来ると、「こんな昼間から悪口リプ書く人の環境考えたら自分の方が幸せって思えるしほんとに我慢できるよ」と返答した。

「早く死ねよ」との下品なコメントも大概だが、それに対してわざわざ火をくべるようなコメントを返し、案の定大炎上したかたちだ。

 このように、ネットを通じて次々と炎上コメントを投下する彼女だが、そこにはどんな思いがあるのだろうか? 彼女の著書である『逆転力~ピンチを待て~』(講談社)から、さっしー流のSNS活用術を考察してみたい。

 指原とインターネットの深い付き合いは、小学校時代までさかのぼる。

 モーニング娘。を始めとしたハロー!プロジェクトのファンであった彼女は、ネットに触りだすとすぐに、ファンが書いているブログやテキストサイトを読むようになった。そして、小学校5年生になる頃には、ついに、「2ちゃんねる」まで閲覧するようになり、さらにそこに書き込むような子どもに育ってしまう。中学生になると、自分でもモーニング娘。の応援ブログを書くようになり、コメントをくれた読者とメッセージのやり取りも交わす濃厚なネットユーザーへとなっていく。

 本人も「私の人格形成に大きな影響を及ぼしてます。間違いなく」と書いている通り、この時に培った素地がいまの巧みなSNSの使い方の基礎になっているのは間違いない。

 彼女は、幼い時からのネット体験により“文章力”という武器を勝ち得、さらに、インターネット空間における“空気の読み方”という、炎上コントロールのために重要な知識を習得する。
 
〈2ちゃんねるの掲示板は、何か盛り上がるテーマが投下されると、いろんな人のコメントがリアルタイムでどんどん書き込まれていきます。コメントが上から下に、どんどん流れていく。
 そういう時に、「○○ちゃんが好きです。こんなところがかわいいと思います」みたいな流れに関係ない書き込みをする人が現れると、悪目立ちするんですよ。「空気読めよ」ってなる。
 そうやってポツーンとしちゃうコメントをいっぱい見てきたので、自分の言いたいことを言おうとする前に、全体の空気を読むクセがついたんだと思います。
 客観視できないと、痛い人になっちゃうと思います〉(前掲書より)

 どんなに炎上してもそれが彼女のキャリアを傷つけるような炎上にはならず、むしろ“炎上マーケティング”として機能するようにコントロールされているのは、この“空気を読む”力によるものなのだろう。

 実際に彼女は「たとえ炎上したとしても、コントロールできる自信はあります。なぜかというと子供の時から、2ちゃんねるばっかり見てたから。火加減がうまいんです」と語っている。

 また、その“炎上”にも、「良い炎上」と「悪い炎上」があると彼女は言う。

〈炎上にも良い炎上と悪い炎上があります。悪い炎上はたいてい、人にあおられたことでカッとなって、衝動で書いたことをすぐにアップしちゃうことで起こります。
 ツイッターやぐぐたす(Google+)、ブログに書き込みする時に大事なのは、流れとタイミングです。書く内容よりも、そっちのほうがぜんぜん大事。瞬発力は禁止。
 思ったことをすぐ言うとケンカにしかならないから、まずは感情を飲み込む。ぐっと我慢して、その後でどうやったら自分に得なのかを考えて書く。あとは、流れとタイミング。
 飲み込むばっかりの人生です〉(前掲書より)

 たいそう自由に暴言を繰り返している印象だったが、そこにも彼女なりの美学を基準とした自制が効いていたのである。

 しかし、彼女の職業は“アイドル”なのに、なぜこんなにも炎上を繰り返すのだろうか? そこにも、指原流の考えがあった。

〈そもそも悪口を言うのは、気になっているから言うんじゃないでしょうか。前向きすぎですかね?
 でも、気になっていなかったら、悪口さえ言いませんよね。一周回ってそれは、好きと同じなんじゃないのかなと。
 例えば、漫画家の小林よしのりさん。
 私は一時期、よしりん(小林よしのり)に「指原のことが嫌いだ」と言われていました。そのことを書いたブログがネットを通じて拡散して、私の耳にも届いたんです。
 ラッキー、と思いました。
 テレビやラジオでよしりんに嫌われているという話をしまくって、よしりんにまた嫌われて、対決の構図を強化しました。
(略)アイドルって、好きな人と嫌いな人が両方いることで盛り上がる、と私は思っています。賛否両論があることで、人気がふくらんでいく。
 話題がないことが一番怖いんです。燃料をどんどん足していかないと鎮火しちゃうから、鎮火する前に「好き」でも「嫌い」でもいいから、話題になるような燃料を見つけて自ら投下する〉(前掲書より)

「悪名は無名に勝る」というのを地で行くのが指原莉乃というアイドルなのだ。「死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です」という、マリー・ローランサンの有名な詩があるが、定期的に炎上の薪をくべている限り、彼女が世間から忘れられることはないだろう。

 こうして考察してみると、なんとも関心するばかりの巧みな指原流ネット活用術である。

 しかし、こういった計算高さが、秋元康をはじめ権力者から気に入られ、大人たちに「それでも好きだよ」と言わせてしまうところにつながっているのだと考えると、なんとも複雑な気持ちになってしまうのだが……。
(新田 樹)

最終更新:2015.08.08 11:43

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