さんまが15歳女子に告白、キムタクのバンジー、モト冬樹の反復横跳び…これがフジテレビの“本気”? 中居頼みの『27時間テレビ』

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『FNS27時間テレビ』公式サイトより


〈めちゃ×2ピンチってるッ!~本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!! ~〉。こんなサブタイトルのもと、今年もフジテレビ夏の恒例特番『FNS27時間テレビ』が放送されている。バラエティも軒並み低空飛行、月9ドラマ『恋仲』は1ケタスタートと視聴率凋落であえぐフジテレビだが、ついに窮地に立たされた状況を自虐するまでにいたったようだ。

 でも、自虐といえばテレビ東京の専売特許のようなもので、事実、開局以来さんざん他局&視聴者にバカにされつづけてきたテレ東が自虐しながらもオリジナリティを模索してきたのと、看板の上に胡座をかいてきたフジが自虐してみるのでは、まったく意味がちがう。実際、放送を観ていても、フジに“背水の陣”の意識がちっとも見られないのだ。

 たとえば、通し企画であるたんぽぽ・白鳥久美子の「バンジージャンプギネスに挑戦」なんて、完全に日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』でありそうな企画。しかも白鳥の相方・川村エミコは『イッテQ』の準レギュラーで、その体当たりぶりはたんぽぽの認知度アップに大きく貢献している。たんぽぽを『めちゃイケ』新メンバーとして抜擢したものの番組では個性を活かせなかったのに、いざ他局でブレイクすると、企画ごと自分のものにしてしまう……これはたんにパクるよりみっともない話だ。

 だが、企画の既視感はバンジーだけじゃない。19時台から放送されたSMAPとめちゃイケメンバーの水泳大会は去年とまったく同じだし、負けたSMAPチームの罰ゲームとして木村拓哉がバンジーに挑んだが、躊躇なくあっさりクリアするといういつもの“完璧人間キムタク”節を発揮。同時並行でスタジオでは具志堅用高が勝手に暴走して腕を痛めるというミニコントが生まれていたが、具志堅のオチがなければお寒いだけの罰ゲームになっていただろう。

 しかし、つづく21時台のさんまと還暦芸能人たちの体力測定はもっとつらかった。企画自体が『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)の定番・スポーツテストの焼き直しにしか見えない上、集まったアラカン芸能人は村上ショージに松居一代、ドン小西、錦野旦、野村将希……という特番のゴールデンタイムとは思えないB級感。さんまの還暦イヤーにのっかったのだろうが、企画者はモト冬樹や水沢アキがただ反復横跳びをするだけという地味すぎる画を事前に想像しなかったのだろうか……?

 さらに、おなじみの「さんま・中居の今夜も眠れない」も、岡村が生電話でライザップの女性スタッフに交際を申し込んだり、さんまが街で気に入った一般人女性がじつは15歳だったことが発覚するなどのハプニングはあったが、まあ、これくらいは例年通り(唯一、さんまが「ラブメイト」の10位に熊切あさ美を選んでいたことは、ネタではなくちょっと本気が入っていそうだったので今後のためにも覚えておきたいが)。

 むしろ、3時からはじまった、フジと芸人のあいだで起こったもめ事を心霊再現VTRのように公開していくというコーナーは、ちょっと見どころがあった。というのも、鬼ヶ島・和田貴志の妻と不倫して松竹芸能をクビになったと噂されたさらば青春の光の東口宜隆が出演、同じひな壇には和田もいたからだ。ただ、その生々しい不倫暴露話を除いた肝心の“フジとのもめ事”というトークのほうは「『ピカルの定理』の最後の打ち上げが(フジのイベントでオープンしていた)フードコートのEXILE居酒屋だった」というような愚痴話に終始。5時台の「早朝のフジ本気ロックフェスティバル」にいたっては、テレ東『ゴッドタン』の「マジ歌選手権」を劣化させたシロモノという厚顔無恥っぷりだった。

 だいたい、大久保佳代子の88キロマラソン挑戦や「FNSちびっこホンキーダンス選手権」も、『24時間テレビ』の「チャリティマラソン」と「高校生ダンス甲子園」の二番煎じ。オリジナル企画で番組の目玉でもある岡村隆史とEXILE、氣志團、モーニング娘。OG、劇団四季などとのコラボにしたって、すでに『めちゃイケ』で何度もやってきたオファーシリーズの繰り返しなだけだ。この他局の流用だらけの内容で本気でフジが「本気」と言うのなら、焼きが回っているということを自分から強調しているだけな気もする。

 しかし、この『27時間テレビ』には“大きな隠し玉”があるのではないかとも言われている。それは『めちゃイケ』メンバーだった極楽とんぼ・山本圭壱の“生放送復活”だ。2006年に未成年の少女に性的暴行で被害届が出され(その後書類送検され示談が成立)、吉本興業を解雇されて以来、何度も復帰が噂されてきた。が、今年に入ってお笑いライブに出演したり、7月5日に行われたコントライブでは9年振りに加藤浩次と共演するなど、再始動の準備が進んでいる。

 そして、今回の『27時間テレビ』のタイムテーブルにも、グランドフィナーレ前の山場で「めちゃイケ サイドストーリー」という企画が予定されている。番組HPの説明文には「あのコーナーが復活?」としか書かれていないが、これが山本の生出演になるのではないか、と見られているのだ。

 だが、山本復活は『めちゃイケ』の特番放送で何度も噂されてきたが実現することもなく、今回も話題づくりのために山本復帰を臭わせているだけという見方もある。ただ、たとえ山本が復活したとして、それに期待する視聴者はどれくらいいるのだろう。

 ちなみに、そうしたフジの目玉企画の裏では、『イッテQ』がイモトアヤコの北米大陸最高峰マッキンリー登頂を2時間スペシャルで放送する。「裏番組のほうが本気出してるじゃん」と言われてしまいそうな気配が濃厚だが、はてさてどうなることやら。とはいえ、ここまで夜通し視聴してきた印象ではすでに期待感はゼロ。ああ、昨日の夜の『アド街』観たかったなあ……というため息しか出てこないのであった。
(大方 草)

最終更新:2015.07.27 07:47

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