大炎上! 鈴木おさむ・大島美幸に出産シーン放映を焚き付けたのは出川哲朗だった?

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左・映画『福福荘の福ちゃん』公式サイト/右・スマイルカンパニー公式サイトより


 鈴木おさむ・大島美幸夫婦に対するバッシングが止まらない。7月5日の『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)にて、自らCCDカメラをつけた大島美幸の出産シーンが放送され、ネットで大炎上が起こったのだ。

「赤ちゃんまで商売道具にするのか」「記録に残すのはいいことだけど公共の電波を使うべきではない」「出産はプライベートなことなのに、不特定多数の他人に見せるのはいかがなものか」「大々的に妊活(この表現も好かん)を商売道具にしたかと思えば今度は出産シーンも含めて商売にする大島美幸さんとその夫が嫌い」といった言葉がネット上に溢れだした。
 
 しかし、鈴木おさむ・大島美幸夫婦による“プライベート切り売り芸”は、ここで大炎上が起こるというのも今さらな感じがするくらいで、2002年10月に2人が結婚した瞬間からずっと繰り返されてきた。

 結婚直後に出版された鈴木おさむのエッセイ集『ブスの瞳に恋してる』(マガジンハウス)では、交際期間0日で入籍したエピソードをはじめとして、定食屋で夕食をとった後急に便意を催した妻が耐えかねて野糞するのを必死で隠した話まで登場する。

 さらに驚くことには、結婚初夜に彼女が処女を喪失した時の痛がる様子、また、その後しばらくして妻からカンジダを移された話まで書かれているのだ。

 その後も、妻が小中学生の時に受けた、いじめ体験をベースに『美幸』という舞台劇をつくったり(後に小説化もされた)、24時間テレビのなかで流産していた過去を明かしたりと、2人は常に夫婦のプライベートを世間に公開することで話題を呼んできた。

 そのたびに「私生活をネタに金儲けしている」という批判が巻き起こってきたのだが、とくに今回は、“神聖”な出産シーンをネタ化したということで、いつも以上の炎上になったということだろう。

 まあ、批判したい気持ちはわからなくもないが、しかし、「私生活をネタに金儲けしている」というのは少し違うような気もする。

 というのも、鈴木おさむは、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)、『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)、『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』(テレビ朝日系)など多数の人気番組を抱える放送作家であるばかりではなく、次々と新著を発表する文筆家。また、妻である大島も、14年5月から妊活のため休業しているものの、女芸人のトップランナーであり続けてきた。なにも、こんな壮絶な“プライベート切り売り芸”に走る必要はまったくないのだ。

 では、2人が大炎上を巻き起こしてまで、“夫婦生活のネタ化”を続けているのはなぜか。

 実は鈴木おさむは、最近、出版したAV関係者5人と対談した対談本『AV男優の流儀』(扶桑社)のなかで、今回の出産シーン公開を予告し、その理由をこう話している。

〈僕の奥さんの話なんですけど、妊活休業に入る直前、彼女が命を懸けて出ていた番組『世界の果てまでイッテQ!』で、尊敬する出川哲朗さんから「上島竜兵さんとリアクション芸を継ぐのは誰かって話をしてて、二人とも次はお前だって思ってた」って言われて、泣いて喜んだんですよ。実は僕、今回の休業で彼女はもう芸能界から引退すると思ってたんです。たぶん彼女もそのつもりでした。でも、この出川さんの話から1週間後に、お願いがあるって切り出されたんです。「いつか子供を産む時がきたら、リアクション芸人がよく被ってるカメラ付きヘルメットを被りたい」って言い出したんです。真顔でですよ。「バンジージャンプとかの時に着けるやつ」、「フルフェイスじゃなくて半分のやつが最近あるから」と指示がやたら具体的なんですよ〉

〈「私のお腹に赤ちゃんが来てくれたら、帝王切開じゃなかったら、ヘルメット着けて産みたい!」って。「いや、俺がカメラで撮るから大丈夫だよ」って言っても「違うんだ!」って。こっちのカメラに意味があると。なんで? ってしつこく聞いたら、「これだけは出川さんにも上島さんにもできないから」って言ったんです〉
〈この時、子宮の手術をした後だったんです。芸人よりも女性としての性が勝ったんだと思った最中に、その話をしてきたんで。僕もこうなったら彼女と一緒に人生を全部さらすかしないと思ってるんですね〉

 つまり、出川に触発されて、私生活をすべてネタにする女芸人としての覚悟を持ち直した大島が今回の計画を思いついた、というのだ。そして、夫である鈴木おさむはその覚悟に付き合うことを決心したのだ、と。

 だが、鈴木には気がついていないことがひとつある(もしかしたら、気がつかないふりをしているだけかもしれないが)。それは、大島にそういう覚悟を持たせたのは他でもない鈴木だということだ。

 鈴木は前述の『ブスの瞳に恋してる』で、「知り合ってから半年。交際期間0日。相手は処女で入籍まで純潔を守った美幸と僕の実験的とも言えるこの結婚がこの先どうなるのか? みんなは理解できないと言うが、ハッキリ言って僕はワクワクしてる」と書いているが、最初に結婚生活そのものをネタにするというこの実験を思いつき、実際にそれを具体的なプロジェクトにしてきたのは鈴木だった。大島はその鈴木の「実験」に乗っかって、覚悟を決め、パフォーマンスをエスカレートさせていったのだ。

 しかも、大島の目的は、世間へのアピ―ルというより、鈴木へのアピールという部分が大きかったはずだ。女芸人としての生き様を見せ続けないと、鈴木に「日和ったな」と軽蔑され、捨てられてしまうかもしれない。そんな強迫観念が彼女を過激な私生活暴露へと駆り立てていったのではないか。

 では、鈴木の方はどうだろう。もちろん当初は、TV人、放送作家として、大島との結婚生活をネタにする面白さを追求していたはずだ。しかし、その鈴木も途中からは逆に大島の過激な覚悟に巻き込まれて、計算や戦略はどこかに飛んでしまった。とくにこの1、2年は「感動を与えたい」「夫婦愛を伝えたい」という強迫観念にとりつかれて、完全にバランス感覚を失っている印象がある。

 そうでなければ、13年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)のようなクサいパフォーマンスはできないだろう。

 あの年は大島がチャリティランナーを務めたのだが、大島のゴール前に鈴木が登場。“24時間マラソンに挑戦した本当の理由”と題し、じつは07年末に大島が妊娠したものの流産していたことを告白。流産が判明して泣き崩れる大島の姿を自らカメラを回して撮ったVTRを流したのだ。

 実は今回の出産シーン放映もそうだった。出川に触発されて大島が「リアクション芸」として思いついたものが、結局は、涙、涙の感動ドキュメンタリーになってしまっていた。

 そのスタンスは、本業である放送作家の仕事にも悪影響を与えている。今回の『イッテQ!』は平均視聴率18.5%の好視聴率をマークしたが、鈴木が放送作家をつとめている他のバラエティ番組は思うように視聴率がとれず、『ペケ×ポン』(フジテレビ系)のような人気番組ですら視聴率1ケタ台まで落ち込むようになってしまった。脚本を担当した映画『新宿スワン』も評判は最悪だ。

 先日、鈴木は、今後約1年間、テレビの放送作家業を休止すると発表したが、このままいけば、放送作家を廃業してしまう可能性もあるのではないだろうか。もしかしたら、童話作家かビッグダディのような子育てドキュメンタリストになってしまうかもしれない。

 しかし、妻と子のために仕事を捨てるというのは、夫にとってはひとつの愛情表現ともいえる。

 夫のために自分の性まで暴露する妻と、その妻との関係を番組化することに夢中になって仕事を捨ててしまいそうになっている夫――。そう考えると、鈴木・大島の夫婦生活の暴露は、「私生活の切り売り」などでなく、テレビ人夫妻ならではの「究極の愛のかたち」だったということなのかもしれない。
(新田 樹)

最終更新:2015.07.08 01:25

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