大橋巨泉事務所がなぜ「反日映画出演」で萩原流行切り捨て? 今は小倉智昭が支配か

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
oohashikyosen_150426.jpg
上・大橋巨泉公式サイト「KYOSEN.COM」より/下・株式会社オーケープロダクションプロフィールより


 小倉智昭が自ら司会をつとめる『とくダネ!』(フジテレビ系)で、亡くなった萩原流行のことを「反日映画に出演した」とレッテル貼りをした問題は大きな反響を呼んだ。しかし、ネットでは、その小倉が所属し、萩原を切り捨てた事務所が、大橋巨泉の「オーケープロダクション」だったということに疑問の声があがっている。

〈あの大橋巨泉さんの事務所なのに、なぜ?〉
〈「小倉智昭」とかいう司会者って、不遇な時代には、大橋巨泉に食わせてもらっていたはずだが…。近ごろは、巨泉とは大違いのウヨタレントになったらしい〉
〈小倉のこと、師匠の大橋巨泉はどう思ってるのかな〉

 たしかに、オーケープロダクションは大橋巨泉のマネジメントを行うために1969年に作られた会社で、その社名も大橋巨泉のイニシャルから名付けられている。

 しかし、巨泉は筋金入りのリベラル派として知られた人物だ。民主党議員だった2001年には、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との表明に民主党でたった1人反対。また最近では安倍政権の数々の“戦争政策”を真っ向から批判してきた。

「僕は、ポピュリズムの権化のような安倍首相をまったく信用しない(略)本当にやりたいのは憲法改正であり、日本を『戦争ができる国』に変えることでしょう。実際、ニコニコして、口当たりの良いフレーズを並べておきながら、国民の過半数が反対した特定秘密保護法を強引に通してしまった。法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」(「日刊ゲンダイ」講談社/2014年5月12日)

 また「週刊現代」(講談社)の連載コラムでも、頻繁に平和や護憲、沖縄の基地問題などに言及、舌鋒鋭く安倍政権批判を繰り返してきた。

 また4月19日には『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)にゲスト出演し、安倍首相主催の「桜を見る会」に言及。自身も招待を受けていたがそれを断ったとして、出席した太田光をこう批判しているほどだ。

「お前利用されてるんだよ。今日のスポーツ紙に出てたよ。『ああ、安倍さんって心の広い人だなあ』って(大衆に)思われちゃうんだよ」

 さらに「テレビ朝日」と「NHK」が自民党に呼び出された一件についても「とにかく、自民党に呼ばれて行ったテレ朝とNHKはいかん。なんで一政党に呼ばれて、言論の自由を守らなければいけない放送局が出て行く? これが陰ながらの圧力なんだ」「俺は戦いたい(略)言論の自由っていうのはね、命をかけて守るべきものなんだよ」と熱く語っていたほどだ。

 そんな巨泉の会社がなぜ、萩原に対しては「在日映画」に出演したとレッテルを貼り、事務所から追放するようなことをしたのか。

 また、小倉智昭もテレビ東京のアナウンサー時代、上層部と対立して進退がきわまったときに、大橋巨泉に拾われて同事務所に入り、番組に抜擢してもらって以来、巨泉とは深い師弟関係で結ばれてきた人物。

 いわば、巨泉にとっては愛弟子ともいえる人物が「反日映画に出演したら解雇されて当然」といわんばかりのコメントをしたというわけで、これにも疑問の声が集まっている。

 しかし、巨泉の名誉のためにも言うが、巨泉は現在の「オーケープロダクション」とは何の関係もない。

 オーケープロダクションは、09年、大手テレビ制作会社イースト・グループ・ホールディングスの完全子会社になっている。

「完全子会社化にあたり、オーケープロダクションの社長で、巨泉さんの実弟が引き続き社長を務めていましたが、ほどなくして退いています。その後釜にはナベプロ出身の人物がついているんです」(テレビ局関係者)

 そのため現在ではオーケープロダクションと大橋巨泉は何の関係もないというわけだ。

 一方、この買収劇に乗じて、自分の地位を固めたのが小倉だった。小倉はもともと同社の株式を持ち取締役に就任していたが、一気に経営への関与を強め、いまやオーケープロダクションの稼ぎ頭として大きな影響力を持って君臨しているという。

「以前は巨泉さんの後ろにくっついていた小倉さんですが、巨泉さんがいなくなったあとはイースト側にベッタリという感じです。古くから巨泉さんを知る局員の中には小倉さんのことを『裏切り者』呼ばわりする人もいるようです」(テレビ局関係者)

 小倉といえば、韓国のナッツリターン事件で、「韓国の人は自分の責任は認めないで他人の責任にするのか?」といったヘイト発言をするなど、最近、巨泉のスタンスとは真逆の右翼的な言動が目立つが、これも事務所の体制が変わったことと関係しているようだ。

「小倉さんが変わったというより、本音を出せるようになったということじゃないですか。それまでは巨泉さんの手前、リベラルなふりをしていたけど、巨泉さんがいなくなったことでタガが外れ、もとから持っていた本性があらわになったんじゃないですかね」(前出・テレビ局関係者)

 小倉は安倍政権のPR放送局・フジテレビの情報番組にとってぴったりのキャスターになってしまった。そして起きたのが、今回の萩原切り捨てを正当化する『とくダネ!』での発言だったというわけだ。

 なんとも暗澹とするような話だが、結局、テレビ業界というのはこういう人物が生き残るようにできているのかもしれない。
(田部祥太)

最終更新:2017.12.23 07:15

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

それでも僕は前を向く (集英社新書)

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

大橋巨泉事務所がなぜ「反日映画出演」で萩原流行切り捨て? 今は小倉智昭が支配かのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。反日大橋巨泉小倉智昭田部祥太萩原流行の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件!
2 櫻井よしこの朝日攻撃の「捏造」が法廷で
3 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
4 乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
5 安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感!
6 久米宏が終了決定のTBSラジオで田中真紀子と
7 セカオワFukaseのいじめ発言
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
10 コロナ収束前の「Go To」予算1兆7千億円計上に非難殺到も田崎史郎は…
11 東山紀之、朝鮮学校無償化に言及
12 五輪延期で発覚!安倍のお友だち「アパホテル」に組織委用の部屋
13 石田純一がコロナバッシングで「組織に狙われている」と語った理由!
14 御用新聞・産経が安倍首相に食い下がった毎日記者を攻撃する露骨ぶり
15 安倍は辞任報道でもお友達優遇! 前回のTBS時代の山口敬之が
16 世界的建築家の「カジノありきの万博」批判に大阪市長が大ウソ反論
17 小泉進次郎が「靖国参拝」したのは父親と同じ右派支持狙いの戦略か
18 総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
19 松本人志『ドキュメンタル』のセクハラ
20 和泉・大坪の安倍側近“不倫コンビ”の新疑惑を政府機関の理事長が告発

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄