北原みのり逮捕の原因は安倍批判? 不可解な「週刊朝日」連載中断も

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インターネットラジオ婆星公式HPより


「ろくでなし子」再逮捕について、リテラではさっそく、この逮捕が前回同様不当であるうえ、警察の報復だった可能性が高いことを指摘したが、実はこの逮捕にはもうひとつ裏がありそうだ。

 それは、一緒に逮捕された作家の北原みのりに関する話だ。北原はフェミニズムの視点からジェンダーやセクシュアリティを語り続ける作家・エッセイストで、97年には日本で初めて女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を立ち上げ、経営している。

 今回の逮捕容疑はそのショップでろくでなし子の作品を陳列したというものだが、そもそも、アート作品をめぐってアーティストでなくギャラリー側の展示行為がわいせつ物公然陳列に問われるというのは、異例のこと。そんなところから、何か別の意図があるのではないかといわれているのだ。

 実は、北原はフェミニストの中でも、その舌鋒の鋭さで知られ、安倍政権に対して辛辣な意見をはいてきた。特に8月の朝日新聞の謝罪会見やバッシング以降、「なんでここまでやられるの!」と、安倍政権批判をエスカレートさせていた。

 例えば逮捕直前の12月1日、ネットサイト「LOVE PEACE CLUB」の連載で北原はこんなことを書いている。

「ふだんフェミっぽいことを話す女性の中にも、安倍のことは嫌いだけど女性政策は評価したい…みたいなことを言う人がいる。西島秀俊に騙されるならまだしも、安倍に騙されるなんて信じられないです。これほど過激な政権のもとで、かつてないほど「女性活用」がうたわれていることが、私には不気味だから。これまで「従軍慰安婦問題」は「日本国の名誉の問題」であると言い続け、フェミニズムに対する偏見と無知のままジェンダーフリーバッシングの急先鋒に立ってきた安倍さんは、「男女平等」なんて興味ないでしょ。男女平等の概念がないまま「女性活用」と声をあげる安倍首相の頭にある「女性政策」とは、国に協力できる女性を求めること。意見は言わず、目標を持って、国のワガママは許し、放置されても、理解を求めない、そんな「プロ女国民」求めてますよね」

 また、国会での辻元清美議員への態度を例に、安倍首相の態度はあからさまな女性差別的態度であり、笑って質問と存在を無化するような、貶める方法だと指摘している。

「安倍さんは、辻元さんが恐いのではないだろうか。苛つくのではないだろうか。ひるまず質問をぶつけ、その言葉に力がある政治家の一人だから(略)。女の発言を無化し、感情的に「感情的だ」、非論理的に「非論理的だ」と批判して、デマを書き立てて、貶めるようなスタイルが日常化している。」

 しごく真っ当な意見である。だがこうした北原の姿勢が今回の逮捕に何らかの影響を与えていたとしたら――。まさかとは思うが、北原の周辺では「不当逮捕」「国策」という言葉が飛び交い、「反フェミの山谷えり子国家公安委員長が警察を動かしたんじゃないか」という憶測まで飛び交っている。これについて、詳しい大手紙社会部記者が語る。

「この程度の事件に官邸や国家公安委員長が指示するとかいうのはありえない。ただ、警察が政権の空気を忖度して動いたというのはあるでしょうね。ろくでなし子の周辺を調べていたら、安倍首相を批判しているとんでもない女がいた、ついでにこいつもパクっちまえ、という……。警察は山谷えり子が国家公安委員長になってからというもの、イケイケで、露骨に上が気に入りそうな相手ばかりをあげるようになっていますから」

 なんとも暗澹とするような話だが、北原に関してはもうひとつ気になることがある。それは今年8月、北原を襲ったある“異変”だ。

 北原は「週刊朝日」(朝日新聞出版)に長期連載「ニッポンスッポンポン」を持っていたが、今年8月22日号から約1ヵ月後の9月26日号まで連載が休止されていた。その理由は慰安婦問題だったといわれているのだ。

 そして「週刊朝日」の連載でも、慰安婦問題について女性としての視点で安倍政権批判のキャンペーンを張る予定だったといわれていたのだ。それが一転、コラム自体が掲載されないという事態に――。

「北原自身、旅行に行きたいから休んだと周囲に語っていたようですが、北原さんがライフワークのようにしてきた慰安婦問題がこれだけ騒がれた時期だけに、大きな疑問です」(北原に近い関係者)

 そして指摘されているのがコラムの内容を読んだ編集部の自主規制、そう第二の池上彰事件だと言う指摘だ。この一件を報じた「選択」(12月号)にはその理由がこう記されている。

「『当該号の内容は、従軍慰安婦寄りで(朝日の)検証記事を否定する内容だった』(同誌関係者)とされる。これが社内で問題となり、最終的には『印刷機を止めてまで掲載を中止した』のだ。強硬手段にでたことからも『朝日上層部の判断だったことは間違いない』」
 
 言論の自由、表現の自由は、あらゆる場所で、さまざまなやり口で、確実に奪われつつある。
(伊勢崎馨)

最終更新:2018.09.27 01:01

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