有働アナもメロメロ! 吉田鋼太郎に萌える女子は『半沢直樹』の新作を読め

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NHK連続テレビ小説「花子とアン」公式サイト「吉田鋼太郎インタビュー」より


 向井理に綾野剛、松坂桃李、福士蒼太、東出昌大……近年、数々のイケメン若手俳優たちのブレイクポイントとなってきたNHK連続テレビ小説。現在放送中で、高視聴率を連発している『花子とアン』でも、吉高由里子演じる花子の夫である村岡英治役の鈴木亮平や、仲間由紀恵演じる蓮子が駆け落ちした年下男子・宮本龍一役の中島歩、花子の兄役・賀来賢人、幼馴染役・窪田正孝らがネクストブレイクかと見られていたが、ところがどっこい。いま、視聴者から熱視線を浴びているのは、御年55歳の吉田鋼太郎である。

 吉田の『花子とアン』での役どころは、炭鉱王の嘉納伝助。妻・蓮子は若い男と逃避行、さらには新聞に絶縁状が掲載されるなどプライドをズタズタにされながらも、蓮子に「末代まで一言の弁明も無用!」と宣言。伝助のこうした無骨で不器用、そしてちょっぴり情けないけれど、やるときはやるという潔さ・懐の深さに、ネット上では「男前すぎる…!」「器の大きさがケタ違い」と絶賛の声が上がった。

 さらに、蓮子と再会し、別れ際に彼女のおでこにキスしたシーンでは、「最高にかっこいい!」「キュン死した」など、悲鳴にも近い“伝助萌え”を訴える視聴者が大量発生。なかでもその筆頭株はNHKの有働由美子アナで、『あさイチ』では連日「嘉納ちゃーん」「嘉納さまー」「わたしが嘉納さまと結婚する」と吠えまくり、11日放送のスペシャル番組『夜だけどあさイチ』に吉田鋼太郎がゲストに来ることが決まった際は、「嘉納さまがー、ついにー、あさイチにー、クルー!」とザキヤマ調で絶叫したほど。もちろん、『夜だけど〜』の本番でも、有働は吉田が登場するなり「キャーッ」と黄色い声をあげるMAXハイテンションぶり。NHK広報のツイートによれば、当日の有働は滝川クリステルを目指した本気メイク、しかもアイプチで二重にするという気合いの入れようだったという。

 このように、選りすぐりの若手俳優を押しのけて女性たちをメロメロにし、大ブレイクを果たした吉田鋼太郎。だが、じつは彼、あの人気ドラマ『半沢直樹』(TBS系)にも出演していたのはご記憶だろうか。

 こちらでの役は、東京中央銀行営業第二部の部長・内藤寛。半沢を信頼し、味方となるいい上司だった、あの内藤部長だ。といっても、顔芸を世に知らしめた大和田常務役の香川照之や、金融庁のオネエ調査官を演じた片岡愛之助、半沢に倍返しされマニラに飛ばされた浅野支店長役の石丸幹二などといった濃い面々のなかでは、少々埋もれ気味だったことは否めない。

 しかし、先日発売された原作のシリーズ第4作『銀翼のイカロス』(池井戸潤/ダイアモンド社)では、テレビ版とはうって変わって、この内藤部長の見せ場が盛りだくさんなのだ。

『銀翼のイカロス』のストーリーのテーマは、航空会社・帝国航空の再建。帝国航空の再建のために、半沢のいる東京中央銀行が政府から500億円の債権放棄を迫られるというもの。ドラマの結末では、半沢が出向を命じられて終わったが、シリーズ第3作で半沢は出向先で大活躍、この最新作では銀行に返り咲いており、本店の営業第二部次長となっている。そして内藤は、ドラマと同様、第二部部長のままだ。

 まず、内藤部長は、物語冒頭からさっそく登場。半沢に帝国航空の問題を伝えるのだが、半沢はさまざまな疑義を呈する。そこで内藤部長は、このように半沢に語り出す。

〈内藤は、普段は冷静な仮面の下に隠している熱い本性を覗かせた。「頭取は、この難局を君に託された。(中略)肝心なことはただひとつ。ここを確実に乗り切れるのは半沢、君しかいないということだ」〉

 伝助のような表裏のないストレートさもいいが、吉田鋼太郎の渋さは内藤部長のような“冷静沈着スーツ紳士”役では鉄板のハマリ度。「君しかいない」という言葉の説得力も、俄然ちがってくるものだ。

 さらに、銀行内の役員会で帝国航空への債権放棄を迫られる場面では、債権管理担当の常務から厳しく追及されても内藤部長は毅然としたまま。多くは語らず淡々としつつも、半沢があげてきた稟議を通そうと一歩も退かない。ドラマ同様、「泥臭く執念深い銀行員の本性」が露わとなる会議にあって、内藤部長の正義に溢れた態度は、まさに理想の上司。しかも終盤では、ドラマでは北大路欣也が演じた中野渡頭取と渡り合うシーンも。部下である半沢の前では、ときに行動をなだめるクールな印象だが、トップともやり合う熱い情熱をもっている……まるで主役のような魅力に溢れたキャラクターである。

 このほかにも、執務室の書棚に経営学やマーケティングの古典の“原書”に混じってウンベルト・エーコの名作『薔薇の名前』が置かれていたり、はたまた老眼をかけて書類をチェックする場面や、電子決裁でも必ずプリントアウトして紙で思索検討するというアナログ派な一面が描かれるなど、“おじさん好き”にはたまらない描写も。──これはブレイクを果たしたいまこそ吉田鋼太郎でぜひ映像化してほしいものだが、気になるのは『半沢直樹』のドラマ続編が暗礁に乗り上げているという噂だ。

 一部報道では、「堺雅人が続編を承諾しないため難しい」「2016年放送のNHK大河ドラマ『真田丸』が終わった後」などさまざまな憶測が流れているが、「週刊文春」(文藝春秋)8月14・21日夏の特大号では、『半沢直樹』の監督である福澤克雄が、池井戸潤との対談でこのように語っている。

「(『銀翼のイカロス』を読んで)自分の頭のなかでは配役が溢れるように湧いてきます」

 ──これはまだ期待していい、という意味なのだろうか。ともあれ、最近の『花子とアン』で伝助の出番が減ったことにモヤモヤしているみなさんは、ぜひドラマ化を期待しながら『銀翼のイカロス』を読んでみてほしい。吉田鋼太郎で内藤部長を脳内変換すれば“伝助不足”も補えること間違いナシ。有働アナ、オススメですよ!
(サニーうどん)

最終更新:2014.08.13 01:09

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