ロスジェネ社員が壮絶パワハラを告白 無視や公開叱責も日常茶飯事

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『ロスジェネ社員のいじめられ日記』(文藝春秋)

 先日の都議会で、妊娠・出産・不妊に悩む女性への支援を訴える塩村文夏都議に対し、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などの野次が飛んだ「セクハラ野次騒動」。あまりに時代錯誤な野次に、多くの反発する声が沸き起こった。悲しいことに、現代社会において、他人の尊厳を傷つけるのはセクハラだけではない。同様に問題視されているのが、パワーハラスメント(以下、パワハラ)である。

 パワハラとは、「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動」を指す。本音と建前を使い分け、仕事と私生活が地続きになりがちな日本社会では長らく問題になってきた。では、実際にどんな行為がパワハラにあたるのか。金融系ブラック企業におけるパワハラの詳細をつづった、『ロスジェネ社員のいじめられ日記』(山下和馬/文藝春秋)から、日常にはびこるパワハラの実態を見てみよう。

 社会人の常識ともいえる「報(告)・連(絡)・相(談)」。もともとは、部下や現場の意見を吸い上げ、風通しのいい職場を作るために掲げられた造語だが、著者の山下氏が在籍していたブラック企業では、「報告=上司が不快に思う情報は無視される」「連絡=情報共有はあまり重視されていません」「相談=自分で考えろと言われます」と、まったく機能しない。会議議事録や顧客満足度調査をねつ造することが日常茶飯事なため、そもそも風通しのいい職場を作るという発想自体がないといえる。

 パワハラの常套手段とも言えるのが「公開叱責」。山下氏は、他上司がチェック済みの書類に対し、別の上司から20分もの間、公開叱責された経験を持つ。さらには「公開叱責が日常のため特に気を留める人がいない」というのだから、多くの人が精神的に疲弊していたことがうかがえる。

 一番対処に困るのが、上司の思い込みや感情が根本にあるパワハラ。書類に不備があるとして上司から何度も突き返され、見直してもミスが見当たらないと困惑する山下氏。思い切って、「何を間違っていたか教えていただけませんでしょうか」と聞いてみると、返ってきたのは、「分析結果はあってるのだが山下はこの決算書を心の底から理解していない だから突き返したんだ!」という理不尽な言いがかり。日常的にこのような心証をもとにしたダメ出しをされていては、業務に差しさわりが出てくるのではと心配になるほどだ。

 また山下氏は、パワハラの根源にある、管理職2年目が罹患しやすい「管二病」という症状を指摘している。それは「管理職に昇進したことによる万能感を勘違いし、本来の業務であるマネージメントを忘れ暴走すること」。「部下の意見に耳を貸さなくなる」「仕事を教えず、突き放す」「ノルマを与えるだけでマネージメントはしない」「人をモノのように扱う」という不合理な言動を繰り返すのが特徴で、自覚症状がないということも罪が深い。

 山下氏は、パワハラにも管二病にも「特効薬はない」と言い切る。パワハラを生み出すのは、仕事に対する世代間の意識の差や不況ゆえに雇用者の立場が弱い世相など、複雑に絡み合った要因だ。しかし、セクハラ野次発言のときのように、社会として声を上げていくことが、問題の本質に耳目を集めるきっかけになる。パワハラをあるものとせず、断固拒否するという一人ひとりの意識改革が、パワハラ根絶への第一歩と言えるだろう。
(江崎理生)

最終更新:2014.07.11 07:04

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