東京五輪で代理店に支払う会場準備担当ディレクターの人件費は1日42万円! 下請けパソナは日当1万2000円で募集しているのに…

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

人件費20万円以上なのに、パソナのHPではマネージャーでも日当1万2000円

 だが、問題なのは人件費が高額であることだけではない。問題は、ここでも絶句するような「中抜き」がおこなわれる可能性が高いことだ。しかも、中抜きするのは、菅義偉首相のブレーンである竹中平蔵氏が取締役会長を務める人材派遣大手のパソナグループだ。

 パソナグループといえば、「人材サービス」カテゴリーで「東京2020オフィシャルサポーター」として組織委と2018年に契約を締結。一方、会場運営を支えるスタッフの多くは派遣であり、斉木議員によると「パートナー契約では、人材派遣サービスはパソナにしか許されていない。43会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに出さなくてはならない契約になっている」という。

 昨日の衆院文科委員会では、組織委の布村副事務総長が「すべてにわたってパソナさんのパートナーの権利が及んでいるという実態ではない」と答弁したが、一方、組織委に入っている派遣スタッフのほとんどはパソナからの派遣であることを認めていた。

 だが、問題はここから。じつはパソナのHPに掲載されている東京五輪大会スタッフ(職員)の募集概要によると、責任を担うマネージャーでもスタッフでも時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増賃金)。日給にして約1万2000円ほどなのだ。

 前述した4月19日の衆院決算行政監視委員では、斉木議員が組織委の内部資料ではディレクターの単価が1日20万円なのに対して人材派遣会社がディレクター職くらいでも日当1万2000円で募集をかけていると指摘し、管理費などを含めて計算すると「中抜き率は95%。これはあまりにひどすぎるんじゃないか」と追及をおこなっていた。しかし、もし仮に今回発覚した内訳書にある1日42万円のディレクター職でも実際には1万2000円しか支払われないのだとすれば、中抜き率は97%になる。

 会場運営を委託された電通をはじめとする広告代理店が儲け、さらにあくどい中抜きによってパソナが潤う──。つまり、国民からこれだけ東京五輪開催に反対の声があがっても、菅首相や組織委がその民意を無視しつづけるのは、こうして利権に群がる大企業の利益を優先しようとしているからだ。

 本日、組織委の武藤敏郎事務総長は「医療やコロナ感染の観点はあるが、日本経済全体を考えれば、五輪を開催するほうがはるかに経済効果があると思う」などと発言したが、儲かるのは結局、電通やパソナ、公式スポンサーの大企業だけ。それと引き換えに国民は命の危険に晒されるのである。

最終更新:2021.05.27 10:51

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

東京五輪で代理店に支払う会場準備担当ディレクターの人件費は1日42万円! 下請けパソナは日当1万2000円で募集しているのに…のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。パソナグループ丸川珠代東京五輪東急エージェンシー武蔵野の森総合スポーツプラザ毎日新聞編集部の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄