“裁量労働制データ”はミスじゃなく捏造だ! 安倍政権は安保でもアベノミクスでもデータ捏造しまくり

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“裁量労働制のほう労働時間が長い”という反証を葬り去った安倍政権

 安倍首相や加藤勝信厚労相は当初、この数字を厚労省が2013年10月に公表した「労働時間等総合実態調査結果」にもとづくデータだとしていた。しかし、この「労働時間等総合実態調査結果」では、実際には一般労働者の1日あたりの労働時間のデータは算出されていなかった。

 算出されていないデータをもとに、なぜこんな主張が可能なのか意味がわからないが、厚労省の担当者が同調査の数字をもとに改めて算出しなおした数字だと説明していた。

 しかし、この数字がデタラメであることは、ほどなく明らかになってしまった。安倍首相や加藤厚労相が根拠にしているその「労働時間等総合実態調査結果」の公表データとの決定的な矛盾が露呈してしたからだ。

 同調査では、一般労働者の1週間の法定外労働時間(平均的な者)を公表しており、これが週あたり「2時間47分」だった。週あたり「2時間47分」ということは、1日あたりの法定外労働時間はそれを5でわった「34分弱」ということになる。これに法定労働時間の8時間を足すと、8時間34分。安倍首相がもち出した「一般労働者」の1日あたり労働時間「9時間37分」と大きな開きがある。

 そのデタラメぶりは別の調査と比較しても明らかだった。厚労省が毎年公表している「労働経済の分析」によれば、2013年の一般労働者の月間総実労働時間は168.2時間。20で割ると「約8時間24分」であり、安倍首相のいう「9時間37分」との差がさらに広がる。

 いったいなぜ、安倍首相はこんなインチキな数字をもち出してきたのか。官邸周辺からはさっそく「厚生労働省の単純ミス」だの、「答弁書に参考でつけていたものを誤って読んでしまった」だのといった、責任の逃れの情報が流されているが、そんなレベルの話ではない。

 なぜなら、このインチキなデータに対しては、当の厚生労働省内で何度も反証が示されているからだ。たとえば、厚労省の要請で独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が調査(13年11月中旬〜12月中旬実施のアンケート)によれば、結果は1カ月あたりの平均実労働時間は一般よりも裁量労働制のほうが長時間だった。

 また、昨年9月4日には、加藤厚労相に裁量労働制を含む働き方改革関連法案を「おおむね妥当」と答申した厚労相の労働政策審議会の労働条件分科会で、労働者代表の委員が2015年4月〜5月、1066人を対象にした実態調査の結果を報告。「実労働時間に関しては、裁量労働制が適用されている方のほうが、適用されていない方に比べて労働時間がやはり長くなっているという傾向があります」「裁量労働制の対象業務拡大はもとより、現状の裁量労働制における労働時間の実態については、昨今過労死の現状など見ると少し危機感を覚えざるを得ないと考えております」とはっきり指摘していた。

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