日馬富士暴行事件が白鵬・モンゴル力士バッシングへ! 相撲ファンとメディアを蝕む日本礼賛とヘイト

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三島賞作家が指摘、相撲ブームと“日本スゴい”ブームの相関

 こうした排外主義的空気を鋭く分析しているのが、三島賞作家の星野智幸氏だ。星野氏は今年1月「現代ビジネスオンライン」で、現在の相撲ブームを“日本スゴい”ブームの一形態と捉える論考を発表した。

〈場所中の国技館などに足を運べば、このブームの原動力を肌で理解できる。
声援の多寡を決めるのは、「日本人力士」であるかどうかなのだ。この傾向は3年ぐらい前から目につくようになり、2016年にことさら強まった。〉(「「日本スゴイ」ブームの極み、大相撲人気に覚える“ある違和感”」/現代ビジネスオンライン17年1月13日)

 星野氏はその一例として、他のスポーツで見られる「日本チャチャチャ」のような、館内中が力士の名を呼んで手拍子を打つという応援がいつの間にか広まったことをあげている。

〈この手拍子は、モンゴル人力士に対してはまず起こらないのだ。「日本出身」の人気力士か、モンゴルの横綱と対戦する日本の大関陣に対してのみ、起こる。〉
〈これらの現象を見てわかることは、大相撲はまさに「日本スゴイ」を感じるために、人気が急上昇したということである。「日本人」のスゴさを感じられそうな力士を応援し、日本を応援する集団と一体に溶け合って陶酔したいのだろう。〉(前同)

 そして星野氏は、もともとは被差別民の文化であった大相撲の歴史的起源に照らしながら、今起きている現象をこう批判するのだ。

〈その相撲がいつの間にか、純血を求める国威発揚の場に変わろうとしている。恐ろしいのは、この線引きはごく自然なことであり何もおかしいとは感じない、という人のほうがもはやマジョリティとなっていることだ。それが今の日本社会の反映であることはいうまでもない。〉(同前)

 今回の日馬富士暴行事件を引き金にした白鵬バッシング、モンゴルバッシングの広がりは、まさに星野氏の言う「日本スゴイ」の裏返しとしての排外主義、ありとあらゆる場所に浸潤しているネトウヨ的メンタリティが発露した結果といえるだろう。

 実際、ネットには、モンゴル八百長説どころではない、読むに耐えないようなヘイトが広がっている。

「モンゴル力士は見たくない」「モンゴルの人はモンゴルでお相撲したらいい」「モンゴル相撲はモンゴルでやれ」「モンゴル力士は自国に帰れ」

 また、あの暴力やいじめ礼賛の石原慎太郎がツイッターでモンゴル力士の暴力を批判し、貴乃花の告発を絶賛していたが、これも明らかに動機はヘイト的なものだろう。

 いずれにしても、モンゴル人力士たちはこれだけの差別、ヘイト攻撃にさらされ続けてきたのだ。マスコミはいま、モンゴル力士同士で集まっていることや、白鵬の言動を非難しているが、モンゴル力士たちをそういう状態に追い詰めたのは、まさに日本社会のほうではないのか。

 実際、最終日優勝インタビュー後のバンザイ、「日馬富士、貴ノ岩を土俵の上に戻してあげたい」というスピーチ、さらにはきょう報道された「MONGOLIAN TEAM」というロゴの入ったジャージの着用などは、こうした差別への抗議パフォーマンスであることは明らかだ。

 しかし、マスコミや相撲ファンの多くは白鵬の真意を全く無視して、さらにバッシングを強めている。このグロテスクな姿が星野氏の言うように「今の日本社会の反映」だとしたら、この国は相当にヤバいことになっていると言わざるをえない。

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