『心が叫びたがってるんだ。』が地上波初放送…脚本家・岡田麿里が物語に反映させた自身の引きこもり体験とは

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岡田麿里はどうして引きこもりから脱することができたのか?

『あの花』のじんたんは、亡くなった幼なじみ本間芽衣子(めんま)の亡霊を成仏させるため、めんまが不慮の事故で亡くなってしまうまで仲の良かった幼なじみグループ(超平和バスターズ)と一緒に奔走するうちにひきこもりから脱した。また、『ここさけ』の成瀬順は、地域ふれあい交流会でミュージカルを演じることになり、クラスメイトと一緒に舞台制作や稽古に奔走するうちにトラウマを克服することができた。

 しかし、現実の人生はアニメや映画のようにドラマチックな展開は起きない。高校卒業後、周囲からの心配をよそに彼女は単身、地元の秩父から東京へ。シナリオライターになるために、ゲームの専門学校に通うことになる。

 中学も高校もダメだった彼女が、この専門学校には通うことができたというが、登校拒否および引きこもり生活からの脱却は、そんな簡単ではなかった。決まった時間に登校するのは難しく、やはり週に2回は休んでいたし、人とのコミュニケーションには多くの悩みを抱えていた。

 社会に出てアニメのシナリオライターとして踏み出した後も、あまりうまくいっていない現場だと〈誰に挨拶していいかわからなくて教室に入れなくなった時のように、会社の玄関の前でためらってしまう〉という。

 ただ、それでも、「あーあーはいはい、もうやるしかねぇんじゃねえん」と頭のなかで叫び現場へ向かう。かつてのようなひきこもり生活に戻ることはない。それは、たとえつらくて苦しくとも、作品づくりに生きがいを見出しているからでもあるだろう。本のなかで彼女は仕事についてこのように綴っている。

〈アニメは、皆で作っている。
 その作品に関わった皆が、同じように苦しんで、同じ痛みを同時に持つことができる。だからこそ、強烈に幸せを感じられるときも一緒。それは、観てくれている人も同じ。観てくれた人が喜んでくれたら、泣いてくれたら。私もこうして涙がとまらないのだ〉

 となると、「チームプレーで共通の目的を達しようと頑張るうちに引きこもりから脱する」という『あの花』と『ここさけ』の展開は、やはり彼女の人生の投影といえる。そんなことを念頭に彼女の作品を見返すと、また新たな味わいが生まれるかもしれない。
(新田 樹)

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