作品を模倣して性犯罪が起きたと警察が漫画家に“描くな”の圧力! 作家たちが一斉に反発、共謀罪施行後を危惧

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確かに作品内容に問題はあるが、警察のこの動きは危険

 この事件で犯人が模倣したのは、クジラックス「がいがぁかうんたぁ」だとされている。この作品は、少女が一人で留守番をしているところに、市役所の環境業務課に属していると名乗る男が、「先の震災に伴う政府の要請で東日本全域の各世帯内における放射線レベルの一斉検査を実施しております」と理由をつけて訪問。信用して家に招き入れた少女を男はカッターナイフで脅し、そのまま性的暴行を加えるといった内容だ。

 描かれている内容は、一般的な感覚から見れば不快極まりないし、女性差別的だ。ともすれば「こんな最低な漫画を描く作家には警察が行っても当然だ」と言ってしまいたい気にもなる。

 しかし、だからといって表現に責任を負わせるのは間違っているのではないか。漫画家の榎本ナリコ(野火ノビ太)氏はこのようにツイートしている。

〈現実と空想は違います。表現は入力も出力も思考実験であり、現実にはなりえない。読み手のなかで犯罪に繋がることがあったとして、それを逆流させて表現に犯罪の責任を負わせるのは絶対に間違っています。表現の内容がどんなにあかんものでもです。〉

 この一件は、漫画業界のなかでは重く受け止められているようで、『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』といった作品で知られ、日本漫画家協会(理事長:ちばてつや)の理事も務める赤松健氏はツイッターを通してこのように述べている。

〈毎日新聞だけ、「今後描かないと了承した」という報道になってますね。まだ分かりませんが事実なら大変困ったことです。今週末の日本漫画家協会の総会でも問題提起します。〉

 また、法律的な視点から見ても、今回の埼玉県警の動きには看過できない部分がある。弁護士の山口貴士氏はツイッターでこのように意見を述べている。

〈警察が作品内容が犯罪者に模倣されないように配慮することを求めることを認めれば、作品の受け取り方は人それぞれなので、「社会に与える影響」を口実として、警察は、いかなる作品についても「因縁」をつけられるようになります。非常に危険な動きです。〉

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