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高樹沙耶インタビュー
高樹沙耶が最後の独占告白! 医療大麻解禁、メディアバッシングへの思い「今の日本は異なる価値観を断罪する」
世界では医療大麻解禁は潮流だが、日本では未だ不条理な政策が!
——高樹さんの事件を前後して、大麻に関してはいくつかの“事件”が起こっています。首相の妻である昭恵夫人が医療用大麻の解禁を訴えたり、彼女が支援していた大麻栽培・加工業者が逮捕されたり。高樹さんも昨年の参院選に出馬され大麻解禁を訴えた。そうした動きが当局をナーバスにさせたとの見方もあります。
高樹 確かに大麻に関しては、私が参院選に出た2016年頃から風当たりが強くなったと感じていました。選挙中には、大阪大学が大麻の脳への悪影響についての研究を発表したり、相模原で起こった障害者施設の事件でも、その原因に大麻があるような報道まであって。その後も、産業大麻関連での逮捕者も続きました。日本は、ずいぶんと大麻のことを表に出したくないのかな。これは大麻の法改正の活動に関わって以降、すごく感じたことです。私が逮捕された後の報道でもそれは実感しました。そのなかで、リテラさんだけが唯一きちんとジャーナリズムとして報道されていた。今回のことで、私は自分が住んでいる国に対してとても疑問をもってしまったのです。大麻に関して、一般の人々が普通に情報を入手できる時代です。なのに、ここまで無視して、タブーのようにしか扱わない。
——判決直後の会見でもおっしゃっていましたが、医療大麻への思いは変わらないが、しかし活動からは一線を引くと。その真意はどんなものなのでしょう。
高樹 私個人のレベルで活動をしても、とても難しいということです。逮捕されたことで、その裏にはいろいろなカラクリもあるんだなと、ボンヤリとですが感じました。記者会見で「逮捕されたこと、ありがたく思っております」と言ったのは、一度立ち止まって、自分の活動に一区切りつける、いいきっかけになったと思ったからです。私は性格上、何かやり始めたら成果を出したい性格なので、医療大麻に突っ込んだ以上、結果が出るまでやり通したかった。がんばろうと思っていたのですが、でも実際は本当に大変でした。ですからこれ以上、大麻のことに自分の人生を費やしていてはもったいないし、無力感も感じてしまって。判決の数日前、国会で自民党の藤井基之議員が世界の大麻合法化の流れを質問していましたが、結局は、大麻をはじめとする薬物事犯の取り締りを強化するという結論にいたっただけで。これは大麻の合法化を目指す人たちへのひとつメッセージだったと思うんです。「我が国は合法化なんてやる気なんかないよ」と。研究もさせない、触れてもいけない。こんな現実を見て、私はもうこの世界にクビを突っ込むのは一旦やめようと。
——確かに日本では覚せい剤のようなハードドラッグ、そして危険ドラッグ、大麻を同じレベルで、全部ごっちゃにして盲目的に「危険だ」「違法だ」と叫ぶだけで、その区別もなければ、議論もありません。
高樹 そうなんですよね。世界では医療大麻が合法化され、私自身、日本でも病に苦しむ人たちのために使えないか、とがんばってきました。私がいま、一番心配しているのは、大麻についての正しい知識、情報までもが封殺されてしまうことです。大麻には60種類以上の成分がありますが、精神活性作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は陶酔成分が強く、逆にCBD(カンナビジオール)には抗炎症性や抗不安作用があり、医療に適していることが明らかになっています。CBDだけ抽出すれば本当に人々の役に立つ。しかしそうした研究さえも日本は無視しているんです。
——1964年以降、イスラエルで進んだ研究ですね。
高樹 そうです。そのためCBDを多く含んだ医療用大麻の研究が進んでいる。でも一方では、農業でいうなら遺伝子組み換えのように、人間が操作しすぎた大麻もいっぱい出てきているんです。ですから、医療ではなく質の悪いものを嗜好用としてずっと続けてしまえば、なんらかの弊害は絶対に出てきます。薬物として指定されるような特殊な植物だから、使い方にはすごく気をつけなくてはいけない。強いものを毎日摂っていたら、脳にも障害が起こるだろうし。ですから、覚せい剤や脱法ドラックはどんなものなのか、大麻とはどう違うのかなど、「ダメ、ダメ!」と言わずに、まず正しい情報開示が必要なんです。世界でもアメリカの多くの州で、またカナダ、チェコ、フィンランド、ドイツ、オーストリアなどでも大麻は合法化されています。若い方は旅に行って興味をもつこともあるでしょう。でも日本の子どもたちは、大麻の知識もなく、覚せい剤と同等に「絶対だめ」と教えられる。それはより危険なことです。合法化とか非犯罪化と言う前に、まずは正しい情報を開示し、研究して、それを伝えることから始めないと。いまのように、国民が大麻を“麻薬”だと思っている以上、議論にならない。いくら医療目的だと訴えてもね。国が率先して正しい情報を開示してくださり、マスコミもそれを伝えていただきたい。いまでも、それを本当に望んでいます。
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