神社本庁「日本人でよかった」ポスターはウソだった! 極右と安倍政権が煽る「日本スゴイ」ブームの危険を再検証

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過去の「日本スゴイ」ブームは戦争の直前に生まれていた

 頷かざるをえない。これは、わかりやすい歴史修正本だけの話ではなく、あらゆる「日本スゴイ」系の裏に潜んでいる問題だ。つまり、「日本」や「日本人(民族)」の連続性を強調、あるいは印象づけ、視点を過去に向けさせたうえで、それを「スゴイ」と褒め称えるうちに侵略戦争や人権侵害などの負の歴史をうっちゃる。そういう構造が見え隠れしている。

 事実、繰り返しになるが、例の「私 日本人でよかった。」ポスターを制作した神社本庁も、日本会議や安倍政権と足並みをそろえて、戦前復古的な運動に邁進している団体のひとつである。

 また、早川氏は前述の論考のなかで、1931年の満州事変以降の出版界にも「日本スゴイ」本ブームが襲来し、その数年後に日中戦争や国民精神総動員運動が始まったことを指摘している。

 早川氏によれば、当時の『出版年鑑』(東京堂)から日本哲学、国家・国体論、政治一般などのジャンルで日本主義・日本精神論の書籍を調べたところ、1931年に18冊だったそれが、翌32年には41冊、33年には54冊、34年には56冊と爆発的に増加したという。「過去に学ぶ」とは本来、こうした地道だが有意義な検証作業を指すはずだ。

 いずれにせよ、こうした「日本スゴイ」コンテンツの跋扈は、政治や国際環境の大きなうねりのなかで生まれ、国家ぐるみで推進される。今年に入ってからも、明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を政府が支援するという“国策映画事業”の方針が報じられ、経産省が発表した「世界が驚くニッポン!」なるコンセプトブックでは、「あなたは日本がこんなにも注目されていることを知っていますか?」から「虫の“声”が聞こえる日本人」まで、あらゆる「日本スゴイ」系コピーが乱造された。

〈「日本スゴイ」コンテンツを、もはやエンタテインメントのレベルだけで語るわけにはいかない。この二〇年間で再発見された「国民意識」形成のイデオロギーが、私たちのすぐ身近に迫っているのだ。〉(前掲「「日本スゴイ」という国民の物語」)

 そう早川氏が述べるように、この種のイデオロギッシュな自画自賛と自己陶酔は、「万邦無比の神の国」を自称したあの頃に酷似している。言うまでもなく誇大広告で、日本は破滅寸前まで暴走した。

 翻って、第一次政権で「美しい国」を掲げた安倍晋三首相は、教育基本法を60年ぶりに改正して「愛国心条項」をぶち込み、2012年末には総裁として「日本を、取り戻す。」と雄叫びをあげた。その後のなりふり構わぬ政権運営は周知のとおりだ。

 奇しくも今回、安倍政権と同調する神社本庁による「私 日本人でよかった。」ポスターが“張りぼて”だと露見したことは、連中の煽るナショナリズムがあまりにお粗末であることを示した一方、この国の暗い将来を予見しているようにも思える。いずれにしても、安倍政権と極右団体が牽引する「日本スゴイ」プロパガンダを警戒するにこしたことはない。

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