“日本のお笑い芸人が権力批判できない”問題めぐり、太田光が茂木健一郎に噛みつく! 日和った自分への苛立ちか正当化か

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 しかし、2006年、太田の靖国についての言動に対し、右翼団体が所属事務所に抗議活動を展開。警視庁が事務所に警備員を常駐させるように要請し、太田にも護衛をつける騒動が起きた。この右翼の抗議事件をきっかけに、太田の連載やラジオの発言から徐々に、憲法や歴史認識などを扱う機会が減り始め、07年ごろには、こういうイデオロギー的なテーマに触れることはほとんどなくなった。

 しかし、15年3月、太田は『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)のなかで、首相の沖縄に対する対応のひどさを俎上にあげ、「安倍はバカ野郎」と発言した。太田としては久しぶりの過激な政治的発言だったのだが、それも安倍支持者やネトウヨたちから「一介の芸人が総理をバカにするな」「この反日チョン芸人が」「一国の首相に対して名誉棄損だ」などと総攻撃を受けると、以後は一切沈黙。

 その後は、首相主催「桜を見る会」に所属事務所代表を務める妻・光代氏と一緒に出席、腰砕けぶりをさらけ出したかと思えば、一昨年夏の安保法案を巡る反対デモに対しても「そのやり方は通用しないんじゃないかなと」などと発言。政権に対する批判を行い、デモ活動にも積極的に参加するアイドルグループ・制服向上委員会が話題となったときには、「あれ、やらされてるんだろうなぁ」、「あれはさすがにちょっと痛々しいよね」と吐き捨てた。また、安保法制可決後には「僕は9条護憲派ですけど、憲法改正はうんと遠のいたと思ってるんです」というズレた持論を展開するなど、どんどん社会批判のトーンは落ちていく。

 いくら一度茂木に名指しされたとはいえ、こんなに何度も反論するということは、太田は痛いところを突かれたということの証明でもある。安倍政権のグロテスクな極右思想がお茶の間にも知られつつある昨今、森友学園の問題にせよ、首相や稲田朋美をはじめとした各閣僚たちにせよ、徹底的に茶化し尽くして笑いのネタにするには格好の素材なのは間違いないが、前述したような流れから、太田が10年前に展開していたような社会批判を行うことはないだろう。

 ただ、無論これは太田だけの問題ではない。これはお笑い界全体の問題である。『バイキング』(フジテレビ)の雨上がり決死隊、『スッキリ!!』(日本テレビ)司会の加藤浩次、コメンテーターとして『白熱ライブ ビビット』(TBS)出演するオリエンタルラジオ・中田敦彦など、情報番組にお笑い芸人たちが進出する流れができて久しいが、彼らは本業のお笑いで見せる横紙破りなキャラクターが嘘のように、「世間の声」を代弁する「優等生」として振る舞ってしまう。それは、日本のお笑い芸人たちが「世間の空気」を読むことに長けているからで、議論を巻き起こすような発言よりも、大多数の思いを代弁するような言葉を口にすることを選んでしまう。その結果として、『ワイドナショー』(フジテレビ)の松本人志や『ノンストップ!』(フジテレビ)コメンテーターの小籔千豊のように、もはや政権与党の公式コメンテーターのごとく振る舞う人間も出てくるのだ。

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