横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」⑨

石原慎太郎のどこが「侍」なのか? 言い逃れと責任転嫁に終始した会見はなんと言おうと「恥さらし」だ!

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横田「売買契約書に判子を押したでしょう。判子を押したということは、(地方自治体の)最高責任者として判断をしたということでしょう。地方自治法を読んでいるのか。会社の社長が責任を取らないのに等しいのではないか。そんな恥さらしの回答をするのか。瑕疵担保責任をどう考えているのか」

石原元知事「私は恥と思っていません。行政の手続きを踏んで上がってきたものを、最高責任者として念を押した上で裁可したのですから」

「森友学園」(豊中市)の国有地払下げと豊洲の土地売買と並べると、石原氏の責任の重さが浮き彫りになる。両方ともゴミ撤去や土壌汚染対策が必要な“欠陥(瑕疵)物件”だったが、豊中市の国有地はゴミ撤去費が過大なまでに値引きされたのに対し、豊洲の場合は土壌対策費の相当分が値引かれることはなかった。その結果、本来なら東京ガスが支払うべき費用を都が負担する羽目になったのだ。

 しかも「部下に一任」「行政全体の責任」といった石原氏の言い訳が通用しないのは明らかだ。地方自治法第147条には、「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する」と定められている。首長(知事や市町村長)は民間企業の社長のような存在で、株主代表訴訟で社長の個人的財産が召し上げられる恐れがあるのと同様、首長も住民訴訟で身ぐるみはがされるケースが存在する場合があるのだ。

 実際、上原公子・元国立市長に対して約3100万円(利子を含めて現在は4500万円)の支払い命令が下ったのは、「マンションの高さを制限した景観保護条例制定は営業妨害だ」と不動産業者が市に損害賠償請求訴訟を起こして勝訴、市が約3100万円を業者に支払った後、一部の市民が市長の責任を問う住民訴訟を起こし、上原元市長に対して4500万円の支払いを命じる判決が下っているためだった。これを不当判決とする支援者が「元市長ひとりに払わせない!」を合言葉に「くにたち上原景観基金1万人の会」を立ち上げたが、判決が首長の役割を萎縮させると問題視されていることはさておき、地方自治体の首長は常に住民訴訟で賠償責任を負うリスクを抱えているのだ。

 部下や議会や前任者(前知事)の連帯責任にしようとする石原氏は、基礎的な法律知識すら理解していないことを告白したといえるのだ。

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