M-1準優勝・ハリガネロックが解散の真相を告白! お笑いトレンドの変化に翻弄される芸人たち

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 M-1でのブラックマヨネーズの漫才を受けて彼はこう思ったと言う。

〈何かを変えなければならない。いや、そんな生易しいことではない。すべてを捨てて、また新たに作り上げる。そこまでやらなければならないと思ったが、俺には簡単にできることではなかった。新しい漫才のスタイルを作るためには、必ず客前で試さなければならない。スベれない。スベることはすべてを失うこと。どんな人気者がいようと舞台では一番ウケる。これこそ「ハリガネロック」唯一の存在価値だと信じて生きてきた〉

 しかし、そんな思いを抱きつつも、迷走のまっただ中にいる彼らはどんどんうまく行かなくなっていく。ついには、ハリガネロックが絶対的な自信をもっていた「客票」でのコンテスト(08年の「MBS新世代漫才アワード」)にすら敗れてしまう。そして彼は重大な決断をくだす。自分たちがこれからも漫才師として生きていくためには、大上の個性を爆発させなければならない。もしもそれができなければ解散するしかないという決断だ。

〈ネタを作り続け、単独ライブにこだわり、ボケとツッコミも変更。「ハリガネロック」で起こるすべてのことを俺主導で行ってきたが、結果が出せなくなりアイデンティティも失った。俺が本物の漫才師として生きていくためには、それが間違いだったと認めて、俺自身で全否定するしかない。だから極端で身勝手かもしれないが、俺にやれることはもうこれしか残されていないと思った。それは「動かない」ということ。「何もやらない」ということ。そして、相方からの呼びかけをひたすら待ち続ける。動きを止めた俺を見て「ハリガネロック」再興へと動き出す相方を待つ。そこには深い意味がある。相方の自我が目覚めるからだ。俺に言われてネタ作りに参加するのではない。自分からネタ作りの場を作ろうとする。そこに責任感が生まれる。その時、五分と五分の「ハリガネロック」が産声を上げる。自我と自我がぶつかる「ハリガネロック」が誕生するのだ。そう信じて待ち続けると決めた。期間は2013年1月まで。それまでに呼びかけがなければ3月31日、芸歴20年を終えるこの日に解散する。俺は決断した〉

 しかし、それは難しかった。コンビを続けていくなかでユウキロックは大上に緻密な指示を出し、それを忠実に守らせた。そんな日々の積み重ねがいつしか大上から個性や主張を失くさせていってしまったからだ。主義と主義、自我と自我がぶつかり合う漫才をするのは、これまでの2人の関係性からいって難しいものだった。

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