宇多田ヒカルが“夫がヒモ状態で離婚危機”報道に本質つく反論! 男にだけ経済力を求める価値観は非論理的

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 宇多田がここで問題にしているのは、男女の非対称性だ。たとえば、ニューヨークヤンキースで活躍する田中将大選手と結婚し、日本での芸能活動が休止状態の里田まいに対しては「夫を支える良妻」などと褒めそやす声は大きいが、「経済力が違いすぎる」などという疑義が呈されることも、経済格差を理由に「里田が働かないから田中は離婚も考えているのでは?」などと書き立てられることも一切ない。「そんなの当然だろ」と考える人もいるだろうが、そのことを宇多田は〈非論理的だ〉と批判しているのだ。

 こうした男女の非対称性を生み出しているのは、言わずもがな「男は女・子どもを養うべき」という家父長的な役割分担だ。日本の場合、武家には「男は外、女は内」という役割分担があったが、それが本格的に一般にまで普及したのは明治以降、男性本位の「家制度」が制度として旧民法で定められてからだ。戦後、この「家制度」は廃止されたが、現行の民法でも結婚可能年齢が男性は18歳、女性は16歳と差がつけられるなど、その名残はある。この2歳の差こそ“男性には経済力が必要”という現在にまで温存されている価値観を表すものだ。

 しかも、男女平等が憲法で保障され、さらに男女雇用機会均等法によって多くの女性たちが社会進出を果たしても、いまだ男女で賃金の格差は大きい。現に今年、経済協力開発機構(OECD)が発表した男女間の平均賃金格差ランキングでは、加盟する34カ国中、日本は堂々のワースト2位という不名誉な結果となっている。一体、何が「女性が活躍する社会」だ、と言いたくなるデータである。

 労働力として過小評価され、さらに家事や育児、介護といった仕事は女性の役割という価値観を押し付けられていれば、「女は外で働かず、男に養ってもらうのがいちばんの幸せ」などと考える女性がいても無理もない話だと思うが、しかしこれは当然、女性だけの問題ではない。

 一方の男性は、労働力としては女性よりも優遇されているとはいえ、やはり女と同様に「働くこと、養うことは男として当然」と古い規範を押し付けられ、“経済力こそが男の価値”などと縛られているからだ。でも、男性にも家事や育児が得意な人もいるし、パートナーを支えるために家の仕事を引き受けたいという“逆・里田まい”だっているはずで、宇多田の夫もそういう考えなのかもしれない。だからこそ、宇多田は〈男の子って大変ね〉と同情を示したのではないだろうか。

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